第3話

体重の事、終わってからの食事の話、最近の事

などを話しながら、久しぶりに呑んで居た。


10時を過ぎて、そろそろ烏龍茶に切り替えようか。などと話はじめた頃、入ってきたお客さんは、他にも空いているのに、わざわざ隣に座ってきた。


「いらっしゃいませ。」


チイは、にこやかにおしぼりを手渡した。


「こんばんは、ケイさん。何になさいます?お席、いつもの場所ではないていいのですか?」


と私の方を確認しながら、話して居た。


「うーん、きょうは〜〜。カシスレモン。でも、レモンは半分ね。チイ、俺が彼女の隣はダメなの?」


とチイに言いながらも、私の方へと話しかけてきた。


「はーい。ケイさん手がはやいから〜」


と言いつつ、私に待っててねと合図を送ってきた。


「ねぇ、1人?」


と定番の文句と共に、爽やかな笑顔を向けてきた。


彼の浮気症が治らなくて、3年付き合った彼と別れてから約一月経とうとしていた。まだ、恋愛する気になれない私は、聞こえないふりをしていた。


「ケイさん、おまたせしました。」


戻って来ると、私の方に伸びかけている手の上に、わざとカシスと付け出しの、小皿を置こうとした。


「チイちゃん?危ないよ?」


と笑いながら、慌てて手を自分の方に戻した。


「あら、ケイさん。背が低過ぎて、色々見えなくて。ごめんなさい。まさか、そんな所にケイさんの手があるなんて思って無かったんです。」


と悪びれることなく、追い払った。


私は、2人のやり取りを見て、ひとまず閉店時間までは大丈夫と思い、チェックを頼もうと


「チイ、終わったら電話して。いつもの所にいるから。」


と告げて、席を立つ準備をすると、横から


「もう、帰るの?まだ、10時でしょう?それとも、誰か待ってるの?」


「きょうは、あそこ駄目だよ。どうする?」


私の言ういつものとこと、チイの言うあそこはもちろん同じで、チイのお客さんのお店で、今日の呑み代も彼から出ている。彼、栗原泰輔とは、10年程の付き合いになる。お店の他にも色々と持っているらしく、毎月、専用の通帳にお金が振り込まれている。毎月、決まった金額以上の使用がないと、こんな感じでチイから呼び出される。


「えっ?タイさん、いないの?どうしようか?」


「聞いてないの?今週いっぱい、海外だよ。お土産いっぱい買って来るって言ってたよ?」


わざわざタイさんが、時間があったら、行って欲しいって先週言ってたのを思い出した。


「納得、それでね。先週のタイさんが変だと思ってたのよね。」


「ね〜、チイ?タイさんって?」


2人の会話に混じって来た。それには答えずに、


「じゃあ、ルイのとこに行くよ。」


「うーん。もう少しいて欲しいけど…後30分位。ダメかな?」


「チイって、聞いてる?」


「ケイさん?聞いてるよ。でも、チョット待ってね。」


と威圧的な笑顔で、言葉を止めさせた。

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