不可思議な春よ、せめて祈りになるまで。美しいものなど、ない。と気づいたところに、君の祝福と私哲学はある。スタートダッシュを切れ、君の思考はその瞬間にエンジンを全開にして火を噴いた!


桜の花は、頬に透ける血のように熱い。俺は人を生かす心理について考えを巡らせながら、永遠と見まがうほどに一瞬間を降りしきる桜の花びらを全身で受けていた。


『死ぬな、尊厳のある、俺よ。死ぬな、永遠を知った、俺よ。美しいものなど、ない。ここには、ない。と気づいた時から、俺の音楽は高らかに鳴りだした。俺よ、死ぬな!』


不可思議な春よ、せめて願いになるまで。明らかに輝くものが世界を動かしてなど、ない。市井の不可視な英雄たちが、世界を辛うじて滅亡から遠ざけている。と知ったところに、君の祝福と私哲学はある。歴史の中に起立せよ。大河の中の一本の旗のように勃起せよ。俺よ、死ぬな。


桜の花は、人類史のように熱い。俺はドクドクなる心音を合図として、一回きりの人生を、俺自身の音楽で埋め尽くそうと、そのとき、咽を大きく開いたのだ。

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