私に会いたかったとかー?
「誓いますだぁ?私のユミを返せー」
「まぁまぁ、アリカ落ち着いて……」
ユミの式と披露宴は無事に終わって二次会中。
綺麗なカフェバーを貸し切りにして立食パーティー風のその場に、私の叫びが響き渡った。
「小林さんだっけ?優しそうじゃーん」
「あ、ゲーム始まるみたいだよー」
前の方でユミは仕事か大学時代の知り合いに囲まれて賑わっている。
まだちゃんと話せてないなー。なんて、少しムッとしてしまう。
そんな中、店内はは話し声と笑い声、楽しい雰囲気が充満していた。
「それにしてもさー、アリカのスピーチ良かったよ」
「うん、あはは。あれは泣けた泣けたー」
地元の友達に思い出したくもない、披露宴でのスピーチの事を言われる。
「もーそれ言わないでよー!」
頭をかきむしゃったところで、
「よー!あんま飲み過ぎんなよ?」
なんて後ろから肩をポンと叩かれた。
「ダイ……」
振り返ればすぐ後ろには、ビールを片手に持つダイが立っていた。
披露宴中はダイは親族席だし、スピーチもあって緊張していたから殆ど話せなかったんだよね。
「うわ、ダイ君?大きくなったね!!いくつだっけ?」
「21だよ」
「えー!こんな大きくなっちゃってびっくり」
なんて、ユミの弟の存在を知る友人逹がダイを囲みはじめる。
ダイはもちろんスーツ姿。
紺色のジャケットに紫のストライプのネクタイを緩めたというちょっとチャラい感じなのだけど、格好良く見えてしまうスーツマジックが憎い……。
「な、何で姉の結婚式の二次会なんて来てんのよ?」
"普通来ないでしょー"なんて唇を尖らせた。
「あー、母ちゃんがユミが心配だから行けって……」
ユミのお母さんなら言いかねないと納得したところで、
「それに」
ダイがチラリと私に視線を向ける。
「それに?」
「……」
「あ、私に会いたかったとかー?」
ダイが黙り込むものだから、私はからかい半分に口を開いた。
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