動画送ってエロいやつ



三好ちゃんや他のメンバーと別れて最終バスに乗って家に帰れば、当たり前だけど既に真っ暗になっていた。

バスを降りると、夏の夜の冷んやりと気持ちのいい空気が頬を突き刺す。


両親逹を起こさないように玄関を開けて、自分の部屋がある2階へ上がった。




「あー、疲れた……」


自分のベッドに寝転がると、身体が鉛の様に重くなって相当気を遣っていた事に気付かされる。


合コン1つ位でこんなに疲れてしまうのか。

三好ちゃんの言う通り、知らない男の人に出会いを求めなきゃ負け組になるのかな。


先週、ダイと出掛けた時はそんなんじゃなかったのに……。て、当たり前じゃん。



「何で、比べる必要があーるーのよー!」


今頃、酔いが回ってきたのか大きな独り言と共に、小さな溜め息が漏れる。


次の瞬間、鞄に入れっぱなしだったスマホの振動が部屋に響いた。


ゴロンと身体を横に動かしてスマホを取り出せば、画面には新着メッセ1件と表示されていた。



───────────

榊原 大


"動画送ってエロいやつ"


───────────



「……」


頭をかかえては重い溜め息が出る。


ダイからは時々メッセージが送られてくるものの、こんなんばっかでふざけてるとしか思えない。



───────────


誰が送るか!!!

ぶぁーーーか!!!!"


───────────


一応、"付き合って"的な事は言われたけど、軽い感じだったし。

それに、あんなのヤッた後のついでっぽかったし。



"アリカのケーチ"


"馬鹿じゃないの?ユミに言いつけるし"


"今が大事な時期なんだから言うなよ?"


大事な時期って……。

お前が言うか?確かに私もダイとの事をユミに言えなかったけど。



「あー。本当ほんと、馬鹿……」


何通かやり取りをしてれば、馬鹿馬鹿しくなってくる。

スマホを枕の上に投げ置いてゆっくりと瞳を閉じた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る