彼女かなーって
「あー、そういえばダイがねー」
「えっ!!ダ、ダイが?な、何?」
急にユミが"ダイ"の話にするから、自分の声が不自然な位に上擦った。
「なんかー、就職はこっちでするような事言ってたよ」
「あっ、そうなの?」
「まだ先なのにねー」
「へ、へー……」
「彼女かなーって思うんだけど」
「……か、彼女っ!!?」
「アリカ、どうしたの?」
「いや、だ、だってダイが彼女とかって。あんな小さかったのに……全く想像つかなくて」
なんて空笑いをしてみるものの。自意識過剰かもしれないけど私の影響なのか、それとも本当に彼女とかそういう影響なのか一気に不安に落とされる。
「分かる!ついこの間までランドセル背負ってたのにねー!!」
「ね……」
「飲んだとき恋バナとかしなかったんだ?」
「ははは……」
「なんかさー、突然こっちの試験受けるって言ってたからさぁ」
「……え、試験て?」
「アイツ、教育学部だよ?」
「え?……あ、そうだったの?」
「先生になりたいんだって!似合わないよねー」
なんて眉を下げてユミは笑うけど、ダイの大学の事なんて全然知らなかった。
ダイが彼女がいるか、いないかも。
かろうじて何処の大学かは知っていたけれど、学部や卒業すれば何の試験が受けられる資格が取れてダイが何を目指していたかなんて。
私は本当にダイの事を何も知らなかったんだ──。
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