デートしようよ
「えっ!?無理だよ!」
「……」
「なんで私が学生のあんたを彼氏にしなきゃいけないの?」
「同じ……、」
「え?」
「まぁ、いーや」
言いかけた言葉を止めてから、ダイは大きな溜め息をついて、
「今日デートしようよ」
なんて台詞を軽々しく続ける。
「は?誰と?」
「……」
「もうお礼したじゃん!」
「ユミのさ、お祝い買いに行かね?」
ズルい、ズルい!
ユミのお祝いを選びに行こう、だなんて私が断る訳ないじゃない。
「おっせーよ!」
「ご、ごめん」
私の家の前で待つのは、昨日と同じ様に車に乗ったダイの姿だ。
「いくぞ」
「……」
やけに偉そうなダイはエンジンをかけて車を発進させる。
昨日の服装というか、ユミに借りた洋服のまま出掛ける事なんて出来ないから、一端 家に帰ってから待ち合わせをしたのだ。
「かわいー!ねぇねぇ、これなんてどう?」
ショッピングモールのベビー用品売り場に響くのは私の声で、手にはぴんく色の靴下セットが握られていた。
「……女か男かも分からねぇのに、ベビー用品って早ぇだろ」
「あ、そっか。じゃー黄色にしよ」
「だーかーら、まだ産まれてもないのに気早すぎじゃね?」
「……」
「結婚祝いが先だろ!」
「なんかダイ、親父くさい!」
「オ、ヤジって、お前の順番が逆なんだろ!」
「可愛いものを可愛いって言って何が悪いのよ!」
「お前、いくつだよ?」
「はぁぁぁあ?それ禁句ですけど!禁句!!」
「いやいや、知ってるから……」
「じゃー、聞かないでよ!」
「さっきから、声でけーよ……」
ダイの呆れた様な声に"はっ"とすれば、周りから視線を向けられている事に気付いて、
「で、出ようか」
慌ててその場を離れる事になってしまう。
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