私はあんたのこと赤ん坊の頃から知ってるのよ!

私とユミは幼稚園時代からの友達で、ずっと一緒だった。

小学校も中学校も1クラスしかなかったら同じクラスで、電車で通った高校も一緒、腐れ縁といっても大袈裟じゃない。



「まだ社会に出た事もないダイなんかに、そんな言われる筋合いが無い!!!」


「おい、飲み過ぎだぞ?」


家政科だったのに、カレーのルーの量を間違えてあげくに鍋焦がした事もあった。バックだって入り口にミシンかけちゃう位だから、卒業制作だって苦労してたくせに。



「だいたい何よ!20?21だか知らないけど、チャラチャラしてるくせにっ!!」


「21だよ。……て、アリカ 煙草吸うの?」


「何よ!吸っちゃいけないの!!?」


「そこまで言ってねーし」


流石に目指す夢や大学は違ったけど、それでも一緒に上京をする為に先生のところに通ったのも一緒だった。


「人の事、"アリカ"アリカだなんて呼び捨てにしてさぁー」


「はぁー、昔から呼んでんじゃん……」


「女が煙草吸うんじゃねーよって言うしさぁー」


「だからそこまで言ってねーだろ……」


小林さんと付き合い出した時だって"結婚?全然考えてないって"なんて笑ってたのに。


2日連続で、しかも空腹状態でアルコールを入れる事が全ての失敗のはじまりだった。

ダンッと勢いよくジョッキをテーブルに置いた音があたりに響き渡る。


「あたしはあんたの事、赤ん坊の頃から知ってるのよ!」


「いっ、いてて」


ダイの口元を左右へと引っ張れば、偉そうだったコイツも"やめろ"と言わんばかりに手を制止してくる。


「生意気なのよ何が適齢期よ!」


「悪酔いし過ぎだって」


ん?誰の事を言ってるのかよくわからなくなっていった。

グニャングニャンの手首をダイのひんやりと冷たい大きな手に捕まれる。


「ひゃははは!!」


「……」


ダイがどんな表情をしているのか分からないのに、なんだか訳も分からず面白くてなってきた。

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