第4話

次の日。

「おはよう父さん」

「おはようララ」

父さんは珍しくこの時間に朝食を食べていた。朝早くに起きてすぐ工房に籠る父さんとはあまり会えないのだ。

「昨日預かったナイフだが、刃を別の柄に付け替える必要がある。時間も予算もかかるからもし今日ケリーかアンディに合ったら伝えといてくれないか」

「おっけー任せて」

「頼んだよ」

父さんはそう言ってまた工房に戻って行った。

父さんは口数こそ少ないけど別に無愛想ってわけでもないしむしろよく笑う。

でも仕事関係でよく関わる人からはあまり愛想がいいとは思われないらしい。

「ララ、ご飯食べたら今日は庭の野菜達を収穫してそれを売りに行くよ」

「はーい」

母さんから声をかけられるのと同時に椅子に座って朝食を食べ始める。

どうやら母さんは既に済ませているみたいだ。

いつも通りの美味しいご飯を食べ終えて作業着に着替えてから庭に行く。

「今回は豊作だしいい感じに育ってるから大体は取っちゃって大丈夫よ。あとで仕分けするからね」

「おっけー任せて」

私はこの庭での野菜の収穫が好きだ。

この野菜達を美味しいと言って何度も買ってくれる常連さんがいて、その人達が喜んでくれるのが嬉しいのだ。

幸せな気分になりながら庭にある野菜を全部収穫して家の中に運ぶ。

母さんの腰は昨日一晩寝たらより良くなったらしく今日は軽快に作業をしていた。

家の中に運んだ野菜を街で売る分とうちで食べる分を仕分けして売る分だけを包む。

「さて、じゃあ行こうか」

「はーい」

昨日と同じく母さんと一緒に街まで歩く。

もちろん荷物は私の方が多い。

街に着くとすぐに場所探し。

今回売るのは野菜だから同じ野菜を売る人の近くには行かない方がいい。

「おっ、今日は競合がいないみたいだね」

「だね〜」

ここで商売をする人達は自分達の出せるときに店を出すからこうやって競合がいない日もある。そういうときはラッキーだ。

「今日はミルトさんもいないみたいだね」

「みたいだね。昨日売れたからまた画材でも買って制作してるんじゃないか?」

「なるほどね〜」

ミルトさんの絵は私は結構好きだけどなかなか好みが分かれるものらしい。

母さんは好きでも嫌いでもないって。

興味がないだけだと思うけど。

「よし、今日はあそこにしようか」

「いいね」

母さんの決めた場所は適度に隣人がいて並べている商品も被っていない。

昨日と同じように敷物を敷いて仮場所取りをしてから隣人に許可を取る。無事許可を貰ったので母さんと商品を並べていった。

「今日の値札は1個2コインと、そうだね……3個で5コインの2つを置いておこうかね」

「はーい」

昨日とは違って今日みたいに野菜とかを売るときは1個の値段と何個かまとめて買ったときに少し安くなる値段を書いておく。

そうすると結構たくさん買ってくれたりするから大事なのだ。

「よし、おっけー」

「じゃあ鳴らすよ」

「はーい」

母さんがベルを鳴らす。

今日は収穫をしたりしていていつもよりは遅い時間に来ているからか並ぶ人はいない。

今日はのんびりと出来そうだな。

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