友達というか親友というか彼氏というか
学生作家志望
ギリ彼氏止まり
「大っ嫌い、近寄んなよー」
「ははwほんとツンデレだな、ぽまえ。」
「ぽまえってなんだよ!!てか私ツンデレじゃなんですけど!!」
私の彼氏は私の親友だ。男女の友情はありえないなんて非常な現実は受け入れたくはなかったけど、気付いたら親友と呼べるほどの仲である和也は、彼氏と呼べるほどまでの仲になっていた。
友達が親友になることには大した時間は要さなかった。しかし親友が彼氏になるまでには果てしなく時間がかかった。
友情的好きと恋愛的好きでは同じ言葉でも感情が大きく違う。だから意識はしていたものの中々くっつくまでに至らなかった。でもくっついてみたらあっという間だった。
付き合っているっていう感覚は1年とちょっとくらいを乗り越えても生まれない。産まれないけど、逆に言えばそれが私たちにはちょうどよかった。いつものノリで暴言だって好きなだけ言えるしカップルらしいことも一切しなくてよく、気が楽だ。
私の最高の彼氏にして親友、それが野村和也。
「美波はさあ、やっぱり愛情表現しないだけで相当俺のこと好きだと思うよ。冷たい口するくせに距離はずっとそのまんまだし!!」
「うるさいっ!!もう他人のフリしちゃおうかなあー」
「うわいじめやん、、俺かわいそう。」
「黙れゴミ。」
どこかの他人からすれば、変人同士の会話か何かだと思ってまさかカップルの会話なんて思わないはずだ。私はそれくらいでいい。それくらいが幸せ。
本当に今こうやって一緒に歩いている時間が幸せ。でもこれが本当に好きって感情ならそれは一体どっちの好きなのか。好きなのに好きじゃない、それは認めてないだけの愛か、それとも偽物かな・・・・・・
「美波は大学とかどうすんのー?」
「ああっどうしよ。」
「俺はもう決まってるけどストーカーされそうだから教えないわ。」
「は!?そんなんしないし!妄想激しいんだよ!」
大学はどこにするの?って聞きたい気持ちもある。でも先に和也に言われちゃって言いづらい。できればずっと同じ場所に居たいし、今の時間がずっと続いてればなんて思ってる。心から。それでも私はいまだにそれを口に出せない。
もう付き合ってるはずなのにどこかもう一歩突き進まなきゃいけないその距離や壁が間にあるような気がする。付き合ってるならもう少し近くにいないとダメだよね、、いやでも相手は親友の和也だし。
「てな感じでさ、ずっと最近そればっかり考えてる。」
友達は私の相談を親身になって聞いてくれ、さらには最適解まですぐに出してくれた。
「和也くんも多分同じこと思ってるよそれ。どっちかが心を開かないと、結局気楽なんて訪れないよ。それとも?前みたいに戻りたいってこと?」
「そうじゃない、けど。」
付き合う前の方が幸せだったのかな。そもそも付き合うことになったのはほかの奴らからお似合いだとか変に言われて流れで付き合った。つまりちゃんとした理由はない。じゃあ。
「付き合ってるなら、幸せって言えなくともそういう行動とか雰囲気は出すべきだと思うの。私はだけど。無理にとは言わない。でもそれが言えないんだったらなんで付き合ったのか私にはわかんないもん。」
下ネタも言い合った、暴言も吐きあった。それが私たちの楽しさで幸せだった。好きとか幸せと言い合うことが出来るようになったら、それが今度は楽しいって思えるようになるのかな。
和也の家の前についた。扉の前の階段を上ろうと踏み出したその時の裾を私はそっとつかんだ。
「ん?どした?」
「もうちょっとだけ話したい、寂し、から。」
階段のすでに1段を上り切った足をおろして和也が私をゆっくりと抱き寄せた。
「ごめん、いつも。付き合ってんのにいつまでもガキみたいなことばっかやって。やっぱり大好きだわ、美波のこと。」
「ちょっ、息苦しいしぬ、」
「あやべ。」
「ぱあっ!あぶねえなあお前!!殺す気かよ!」
「照れてるじゃん。」
「黙れええええ!!!!塵になって消えて存在ごと無かったことにされればいいんだよ。」
「大ジョブ?一人で帰レル?」
「当たり前だろはげ!!二度と話しかけんな!!」
なるべく早歩きで和也の家の前を通り抜けていった。
明日も話しかけてほしい、なんならずっとそばにいてほしい。私は親友みたいな彼氏みたいな和也が大好きだ。これがきっと恋ってやつなんだね。
小さくバレないように手を振りながら、帰路につく。
友達というか親友というか彼氏というか 学生作家志望 @kokoa555
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