第2話
「え、あの人RUIって呼ばれてなかった……?」
「待って、じゃああの人たち」
「うっそ!まさか本物……っ!?」
4人組の1番後ろをダルそうに歩く彼のミルクティー色の髪が、真夏の熱風にも負けず毛先がくるくると跳ねて涼しげに揺れている。
サングラスをかけたその顔は、高くスッと通る鼻筋と細い顎からでも顔の作りが良いことがわかる。
RUI。
人気バンド
インディーズ時代に動画配信サイトで公開した曲が1500万再生を達成し話題に。
メジャーデビューからわずか2年で、ファーストアルバムに収録された曲“真紅”がストリーミングチャートで総再生回数1億回となった。そして、見事その年のアルバム売上枚数も1位を記録。
そんな飛ぶ鳥を落とす勢いで人気アーティストへと昇っていった彼らは、人気の秘密は音楽だけではない。
ボーカルのRUIの
「やっべ……ちょっと騒ぎになってきた〜」
「おい、事務所まで走るぞ」
「RUI!お前もだよ!」
「え〜、暑い……」
バタバタと楽器を持った彼らが、私の前を通りすぎようとした時。
私のスマホが再び着信を知らせて鳴り出した。
ひっ!なんでよりによって、今……っ!
慌てて席を立つと、キャップを目深に被りなおす。俯き気味に店内へとダッシュで逃げ込んだ。
「お〜い!るーくん!何やってんだ、止まるなっ!」
背後でリーダーの
そんな事を気にするよりも、私の目下の心配事は……。
『grisさん〜っ!どこいるんですかぁ〜!どうして来てくれないんですか〜〜』
「は、はい!ごめんなさい、
事務所行きをすっかり忘れてカフェでくつろいでいたことを、菫さんにどう弁解しようかということ。
ごちそうさまでした、とお会計を済ませて店の外に出たときには、さっきの騒ぎはすでに収まっていた。
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