第13話
「……は、春くん…起きて……もらっても、いいですか……?」
「………ん、おはよ。身体大丈夫?痛くない?うずいたりしない?」
「…………。」
「ごめん。そりゃあどっちも当てはまるよね。」
「……ごめんなさい!!私、春くんの気持ちなんて考えたこと……」
「それはもういい。」
「…………。」
「ご飯食べる?」
「……はい。」
普通なら、何が入っているか分からない俺の作ったもんなんて食べるわけないんだけど、やっぱりお腹が空いていたらしい。
「……春くんは食べないの??」
「ん。俺は大丈夫。」
足枷を外され、自由に動けるようになったお姫様が、俺のもとによってくる。
優しい言動は、彼女なりの罪滅ぼしのつもりなのだろう。
「りこちゃん。」
「……は、はい!」
「もうお家に帰っていーよ。」
「……え?」
「こんなこと言われるなんて思ってもいなかった?」
「……はい。正直……」
「りこちゃんにはあったかい家族がいるでしょ?帰ってあげなよ。それに俺んちにずっといたら、何されるか分かんないよ??」
俺はガオッ!といって彼女と目を合わせる。もう襲ってるけど。事後だけど。
「じゃあ私帰るね」
おそらく二度と見ることはない彼女の姿を見送り、玄関の鍵を閉める。
俺はポケットからスマホを取り出し、幼なじみの猫かぶりバーテンダーにメッセージを送った。
「ちゃんと家に帰したよ。」
すぐに既読がつき、「おう、
中学校が違ったので、涼は俺の過去をあまり知らなかった。
それでも、涼はいろいろ察してくれて俺を責めるようなことはしない。
いい親友をもらって幸せだなぁ、俺。
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