第7話

「……っ!私帰る!」




「帰すわけねーだろ」






冷たい目で見下ろせば、面白いくらいに目を潤ませる。




「せんぱい、お酒は気を付けて飲まないと。わっるーい男のひとに捕まっちゃうよ??」




「…ご、ごめんなさい……」




「別に謝って欲しい訳じゃないし、謝ったとしても帰さないから」




「…春……くん?」




「あぁ、安心して。大学には欠席するって連絡入れておいたから。」




「…ねぇ春くんどうしたの!?」






彼女が一際大きな声を出したのと、彼女の足のあたりからカチャンと乾いた音がしたのは、ほぼ同時だった。







「……え?…なんの音……?」




「そんなに気になるなら自分の目で確かめてみたら?」






俺の下で彼女が息を飲むのが分かる。








俺は無言でブランケットをめくる。








「……!!…ごめんなさい……うッ……ひっく……」









……彼女はとうとう泣き出してしまった。







そりゃあそうだ。なんせ彼女の足につけたのは足枷。比喩表現とかじゃないガチのやつ。









「ごめんね~?逃げられたら困るから。………うわぁ、泣き顔もそそるわ……」




「……なんで…?…怖いよ春くん……」









「………………………へえ?あの時・・・のこと、忘れちゃったんだ…?いいよ、これから嫌ってほど思い出させてあげるから。」






別に意図していないのに、自分のものとは思えない冷たい声が出て、少し驚いた。

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