第28話 新生活

 その場はそれでお開きになった。


 それぞれが部屋で休むために散会していくが子供たちが少し心細そうにしている。キャサリンとブライアンは一緒に子供たちの部屋に送って行く。

ミゲールはいつのまにかブライアンにとても懐いている。ブライアンはミゲールをベッドに寝かせ、それからブライアンの孤児院の話などをしていた。ミモザはキャサリンとお菓子の話などをしていた。

やがてふたりともうとうとと眠りだしたのでブライアンとキャサリンはそおっと部屋を出ていった。


 部屋に入ろうとするところでラルフに呼び止められた。

「疲れているところすまないな。ちょっといいか?」

「はい。いらっしゃいますか?お茶入れましょう。」

「悪いな。じゃあ少しだけ。」

ラルフ、アレックス、キャサリン、そしてブライアンがお茶とキャサリンの焼き菓子で寛ぐ。

「ブライアン、あしたからは領地で引継ぎか?」

「そうだな。まあ家令がとりしきっていたということなので、その確認ということでよいか?」

「うむ。しっかりした、信頼できる男だ。よろしく頼む。俺は病気が重いのでな。」

「言ってろ。」

皆で笑った。


 アレックスが

「あのねブライアン、ハース国って行ったことある?」

と訊いた。

「昔何度か行ったことがある。魔導士団を作ると言うことでその手伝いにな。なかなか明るい自由な雰囲気の良い国だったぞ。」

「でしょう?あのさあそこの王太子にうちの親戚の子が嫁いでるんだ。子って言ってもけっこう俺たちより年上なんだけどね。それでさ、ちょっとこの前ラルフィーと話してたんだけど、キャサリンがまた攫われたりするのも嫌だし、なんだったらしばらくキャサリンとブライアンでハース国に逃げてたらどうかなって思ってさ。ラルフィーもね、ラルフィー」

「そうなんだよ。もう平民になるんだし、早いとこ離婚しちゃって、逃げちゃえばよくないかと思ってな。下手に看病のために夫婦を続けるとか言って、キャサリンを王家が横取りしようとしてもいかんし。」

「ラルフィー殺して奪っちゃえってことになっても困るじゃない?」 

アレックスは本気で心配そうだ。

「ここには魔法で毎日通えるしさ。ちょっと訊いてみたら大歓迎だって。しかも平和利用の魔道具だったらぜひハース国にも売ってほしいって。研究施設も提供するってさ。それと、できればブライアンにはハース国の魔導士団に魔法を教えてほしいって。」

「あら、楽しそうですわね。」

「ただなあ、ここを父上だけにするのもなんだかなあ。」

「そうですわ、ゼレおばあさまに相談してみては?」

「そうか、その手があったか。なにか名案があるかもしれないな。」

ラルフとアルフィーは早速ゼレを呼びに行った。

「いっそのこと、こことつなげてしまったらどうかな。」

ブライアンが考えだした。

「そんなことができたら素敵ですわね。だけど、それってこの国には脅威かも?」

「そうだなあ、戦の火種になってはまずいな。なんとかバレない方法は無いものかな。」

「前世では、国を超えて事業をしているところはたくさんありました。多国籍企業と言って、大きな会社はそういうのが当たり前のようでした。私たちも平民になれば、そういうことも可能ではないかしら。」


 「良いことを考えておるな。きょう、正式に儂らも平民になったそうだぞ。」

いきなりブラッドレー卿が口を出したので、キャサリンは驚いてきゃっと声を上げた。

「父上、驚かさないでくださいよ。キャサリンは身重なんですから。」

ブラッドレー卿はラルフに叱られて慌てた。

「キャサリン、大丈夫か。すまなかった。医者を呼ぼうか。」

キャサリンは

「大丈夫ですわ。こんなことくらいで。」

と笑っていて、皆ほっとした。


 「ところでな、3日ほどで医者がここにやってくるそうだ。そこで儂らが死んでいればそれを報告、死んでいなければそれなりに報告をすることになっておるのだと。まあ、重度の障害ということで終わりだろうな。」

「そうですか。それではその時は特にキャサリンを警戒すべきですね。」

ブライアンは少し心配そうだ。

ゼレがにやりと笑って

「もうひとりキャサリンを作ろうか。」

と言って皆を驚かせた。

「え?私をもうひとり?」

「ちょっと待っておれ。お前さん、一緒に来てくれるか?」

ゼレはそう言ってブライアンと部屋に戻っていった。

「なんだかワクワクしますわ。もうひとりの私?ふふふ」

キャサリンが楽しそうに待っている。

間もなく、ゼレとブライアンがキャサリン2号を連れて戻ってきた。

「わー。はじめまして、私さん。」

キャサリンが興奮してキャサリン2号の手をとろうとした。

「あら」

そしてちょっとがっかり。

「実態は無いんですのね。」

「そりゃそうさ。まあ、身代わりの人間がいれば実態のあるコピーを作ることもできるがな、それは少々危険じゃろ?」

「そうですねえ。ちょっとがっかりですけど。」

「キャシーはひとりで十分だよ。」

ブライアンがキャサリンの方を抱いてそう言うと、ウッドフェルド卿は

「そのとおり。これがもうひとりいたら大変だ。」

と言って大笑いした。

「まあ、おとうさまったら。」


 アレックスがちょっと閃いたように言う。

「ねえ、それさ、キャサリンが聖女かもしれないってことが困るんでしょ。だったらさ、別に聖女がいればいいじゃん?」

「そうか・・・そうだよな。」

ラルフも同意して2人でゼレを見た。

「第3王子ってもう婚約者いるの?いるんだったらさ、その人に聖女みたいな力をつけりゃよくない?」

「いるにはいるが、それの父親は第3王子派のトップでなあ。それをやったら王太子を第3王子にして権力を握ろうとしそうな腹黒い奴だ。それよりも、第2皇子の婚約者は宰相殿だから、その令嬢に聖女になってもらえば丸く収まるな。」

「でもどうやって聖女になってもらう?」

「そうじゃな。聖女ならば、強い回復魔法ができればよかろう?ブライアン、おまえさんは回復魔法は得意か?」

ゼレに訊かれてブライアンは

「いちおう最上級まではできますが、しかし聖女並みの辺り一面人間も動物も植物も、というようなものはできません。」

「そうか、ではおまえさんの魔法力とエリクサーを組み合わせればよかろうよ。簡単じゃ。」

そこにいる皆が

「簡単~!」と驚いている。

「エリクサーにブライアンがブライアンの回復魔法を移譲してそれを飲ませればよいのじゃ。」

「なるほど。でもそれって1回限りじゃないの?」

「まあこっそりと何瓶か渡しておけばよかろうよ。宰相様とは懇意なのであろう?」

「そうだな。王も、実は今の王太子夫妻には頭が痛いと言っているし、宰相殿は良い方だから、国のためになることなら喜んで協力するだろう。よし、ブライアン、明日にでも宰相殿に話してくれ。」

「承知しました。」


 翌日は医師が来て、ブラッドレー卿もラルフも回復の見込み無し、今後はもし命長らえても虚弱で普通の生活は送れない、という報告をした。

幸い、キャサリンと使用人たちは早期に感染を発見し適切な治療を行ったので、数日は療養が必要だが、その後は全治する見込み、とも報告をした。


 「さて、これで自由の身じゃな。」

ブラッドレー卿は、実に嬉しそうに研究室に入っていった。

「ラルフ様、私も平民になれたのでしょうか。」

「特に貴族に残りたいと願い出なければ、夫人は自動的に夫の爵位が無くなれば自分も爵位がなくなるから、大丈夫だよ。」

「嬉しい!これで晴れて自由の身になれたのですね。」

「ああ、あとはブライアンとアレックスだ。ブライアンは元々平民だから魔導士を辞めればもう自由。アレックスは家から抜いてもらってそれと魔法師団を退団するという手間があるが、まあ、そう時間はかからないだろう。」

「全員が平民になって職も辞すことができたら、お祝いしたいですわね。」

「そうだな。その時はぜひキャサリンの特別メニューで頼むよ。カナッペも忘れずにな。」

「あら、カナッペ、気にいっていただけて嬉しいです。」

「あれは美味いからなあ。」


 そんな話をしていると、ブライアンが戻ってきた。

「おかえりなさいませ。」

「ああ、話は無事済んだ。宰相殿は第3王子擁立のことで頭を痛めておられたので、天の助けだと喜ばれてな、王もとてもお喜びだ。偽の聖女といっても、実際にあの薬があるので、国のためにもとても良いしな。」

「そうか。ちょっと父上に報告に行ってくる。」

「行く前にもうひとつ報告をしておく。」

「なんだ?」

「今日付けで俺も円満に魔導士を辞職できた。」

「え、そんなに早く?どうやったんだ、お前、やっぱりなかなか腹黒いな。」

「腹黒いとはずいぶんだな。良い条件を出しただけだ。」

「ほう。どんな?」

「まず、俺は戦は好きではない。平和に穏やかに暮らせる国が良いと思うと言った。」

「そうだな。大多数の者の願いだろう。」

「そのために、この薬やいろいろと薬や魔道具を開発したいと言ったのだ。」

「なるほど。その通りだな。」

「だろう?そう言ったら王も宰相も二つ返事でぜひ頑張ってくれと。いや、まったく簡単だった。」

「そうか。まあでも、その通りだよな。おめでとう。」

「ブライアン様、おめでとうございます。私もとても嬉しいですわ。」

「ありがとう。」

ブライアンはそう言ってキャサリンの肩を抱いた。

「おい、じゃれつくのはあとにしてくれ。俺はこれから父上にこの報告をしてくる。」

「ラルフ様、あとはアレックス様ですわね。」

「そうだな。ちょっとアレックスとも話してくるから君たち少しの間いちゃいちゃしていていいぞ。」

「ふん、お前から許可をもらう必要はない。」

「ははは、まあな。」


 「キャシー、ちょっとこれからのことを話したい。」

「はい。」

「まず、何をやっていくか、計画票を作らないか?具体的に書いていくと漏れもなく、わかりやすい。」

「そうですね。いろいろな部門ができそうですから、その辺もはっきりさせておいたほうが良いですね。」

「そうなんだ。君も出産前後はいろいろ大変だろうしな。」

「どんなに大変なのかしら。まったく想像がつきません。・・・可愛いでしょうね。私、好きな人の子供を産むのが夢だったんです。ブライアン様、ありがとうございます。」

「礼を言うのは俺のほうだよ。君にばかり苦しい思いをさせて申し訳ない。生まれてきたら存分にかわいがろうな。」

「はい!」


 ラルフが父たちと戻ってきた。

「今、父上とも話していたのだが、まず、1階のライブラリーで時々会議を行うようにしよう。」

「そうだな。今、キャサリンとも話していたのだが、実際に何をしていくか、計画表を作るべきなのではないかと思っているのだ。」

「それをライブラリーに置いて、進捗状況を書いて行けばよいな。」

「まず、方向性を確認したいと思います。」

「おおっ、ブライアン、いきなり仕事モードだな。」

ラルフがちょっとからかう。

「いや、でもこれは大事なことなので。」

「ブライアン、まじめだな。気に入ったぞ。」

ブラッドレー卿が言う。

「恐れ入ります。」

キャサリンはそんなブライアンをうっとりと眺めている。

ウッドフェルド卿はそんなふたりを見て、実に嬉しそうに、涙ぐんでいた。

ブラッドレー卿が

「簡単に言うと、なんのために、誰のためのものを作るか、じゃな。」

「そうですね。父上、俺はやはり平民の生活向上と技能向上のため、だと思うのですが。」

「「「「「賛成」」」」」

「そうだな。では、まず生活向上の魔道具はなんじゃ?」

「家事が楽になるもの?」

キャサリンが小さな声で言った。

「そうだな。家事で何が大変か、だが。いや、意外と難しいぞ。今までずっと人任せだったからなあ。」

「それなら私、けっこうわかりますわ。家の人たちと一緒に家事してきましたから。」

「すまなかったな、苦労かけて。」

ウッドフェルド卿が申し訳なさそうにキャサリンに言うが、キャサリンは

「お父様、私はやりたくてやっていましたし、ああしていたから今、何が必要かわかるのですから、むしろ有難いですわ。」

と、ふんわりと笑った。

「家事では、まず、お洗濯が機械でできれば楽になります。それから食材を腐らせないような機械、お皿等を洗う機械、水仕事には寒い時にお湯が出ればいいですし、暑い時は疲れやすいので涼しくする機械が欲しいですわね。」

「なるほどな。では、キャサリン、家事を助けるのに必要なものを、書き出してもらえぬか?」

「はい。もちろんです。」

「では、家の外のことはどうじゃ?」

「そうですね、馬車の代わりになるものができれば。馬にひかせなくても動かせれば良いですね。それと、のこぎりや金づちなどがもっと楽に使えるものとか。」

「そうだな、ではそれはラルフ、お前とアレックスで頼めるか?」

「はい。」

「では私はゼレ殿に助けていただいて作れる魔法薬を。」

「おお、そうだな。それはすごく助かる。」

「承知しました。」

「ではそれぞれの宿題を頼むぞ。あさってまたそれを発表しよう。」


 必要なものリストがそれぞれから提出された。

キャサリンからは、洗濯&乾燥機、食器洗い機、給湯機、冷凍&冷蔵庫、そしてクーラー

ラルフたちからは、電動馬車、電動のこぎりなどの工具

ブライアンとゼレからは。傷を治す薬。病気を治す薬、上肢下肢の複製


 「ふむふむ、ブライアン、ゼレ組が身体を治し、キャサリンの提案で家事が楽になり、ラルフ・アレックス組で物を運んだり人を運ぶのを楽にする。こういうことだな。」

「良いですね。ただ、これだけでは足りないものがあるな。」

ウッドフェルド卿が

「親が働いているとき、子供はどうする?」

なるほどと考える。

「・・・・・・そうか。学校があればいい。」

アレックスが思いついた。

「さらに小さな子には保育園のようなものがあればいいですね。」

キャサリンも付け加えた。

「そうじゃな。・・・だが、儂らはこの島にいる限りは安全だが、今外に出て行って何かして、それが王家に知れると面倒なことになる。」

うーむ・・・

皆が考えているとき、ブラッドレー卿が

「セビエスキ公爵はどうかな。」

と、呟いた。

「ああ、今はここの領主だな。」

「前にここに来て話した時、まずは領主になるからには、その領地を理想的な地にすればよいと助言したが、それにいたく感激しておった。彼の思想は王家からすると危険思想になるがこの領地は王都よりかなり離れていて派手に動かなければ知れることもないだろう。まずここで実験してそれから徐々に広めていけば良いのではないか?」

「父上、良い案だとは思いますが、確か彼がうちに訪れた後、ブライアンが記憶を消したのではなかったですか?」

「いや、俺は記憶を消したわけではない。口外できぬようにしたが。すべて忘れさせたのではなく、なんとなく良い印象は残してある。今後協力を頼むかもしれぬと思ったのでな。」

ラルフが嬉しそうに、

「おお、ブライアン、やっぱりお前は腹黒い。」

と言った。

「なんだよ、腹黒いって言うな。」

「褒めたんだよ。」

「褒めてない。」

「でもさ腹黒いよね。うまいことやってる。」

アレックスもニヤニヤしている。

「そうか・・・ということは、セビエスキ卿に会ってまた話をすると良いな。ブライアンの腹黒さに助けられるな。いや、有難い。」

ブラッドレー卿も嬉しそうだ。

「まあ、お義父様まで。」

キャサリンも笑顔だ。

「まあ、いいですけどね。セビエスキ卿なら、この頃毎日領主館に来ていますから、ここまで呼んでくることはできますが。」

「そりゃあいい。すまないが、ちょっと呼んできてもらえるか?」

「はい。では。」

ブライアンはそう言ったかと思うと、もう姿を消していた。

「あいつは全く仕事が速いな。」

ラルフがそう言うと、アレックスが

「ほんとだよね。みんないつもブライアンがさっさと仕事しちゃうから、自分たちの出る幕が無くなるとか文句言ってるよ。」

「それはダメだな。見習ってさっさと仕事をすりゃいいんだ。事実、見習って仕事が速くなってる奴は出世してるだろ。」

「ラルフィー、ちゃんと見てるね。さすが団長。」

「まあな。」

「ふふふ、ブライアン様ってさすがですわ。・・・でも、そんなすごい方がよくすんなり辞められましたわね。」

「そこだよ。そこがあいつの腹黒いところさ。あいつは頭が良いからな。あいつにかかったら、議論して負けない奴を見たことないよ。普段は無口なのに言う時は言うから。」

「ちょっとラルフィー、キャサリンの目がハート型になってるよ。」

「ははは、まあ俺が女だったら惚れて・・・いや、ないな。あいつは暗すぎる。」

「まあ、そんなことありませんわ。お茶目さんだったりしますわよ。」

「お、お茶目さんって。」

ラルフとアレックスだけでなく、その場にいたブラッドレー卿とウッドフェルド卿も涙目になって声を抑えて笑っている。

「まあ、何がそんなに笑うことがあります?ブライアン様って、あまえんぼちゃんだし、可愛くって、楽しい方ですわ。」

キャサリンは何をそんなに笑われるのかわからない。

「いやぁ、ブライアンも幸せになったのだな。良かった良かった。」

ラルフが感慨深げにつぶやいた。

「キャサリン、ありがとう。あいつを幸せにしてくれて。」

「まあ、何をおっしゃいます。私が、幸せにしていただいてるんですわ。」

「良いなあ、若いもんは。お似合いだ。ポール、良かったなあ。」

「全くだ。彼は本当の息子のような気がするのだよ。ラルフ君良い人をキャサリンに紹介してくれてありがとう。」

ウッドフェルド卿は少し泣きそうな顔をしていた。。


 そこへ、ブライアンがセビエスキ卿を連れて戻ってきた。

「おお、お茶目さんが帰ってきたぞ。ご苦労。」

ラルフがそう言うと、ブライアンは一瞬何を言ってるんだ?というような顔をして、しかしすぐにブラッドレー卿に

「お連れしました。」

と挨拶した。

セビエスキ卿は、

「わざわざお迎えいただきありがとうございます。」

と挨拶をした。

皆、セビエスキ卿はブラッドレー卿は瀕死の床にいることになっているはずではないかと不思議そうな顔をしたが、ブライアンが

「少し状況を説明しました。セビエスキ卿は仮病のこと、魔道具のことを少しですがご存じです。」

「大事なことを、お話しいただきありがとうございます。私はアカデミーは既に退職致しましたので、これからはずっと領地におります。なんなりとお申し付けください。」

「おお、そうか。それは嬉しい。だが、勉強会をしている仲間たちはどうするのだ?」

「それが、目下一番の問題でして・・・皆王都にいるので、私が王都に行けば一番良いのですが、王都までは馬で走っても片道3日はかかるし・・・ということを、実はブライアン殿に話したところ、転移魔法で送っていただけるとのお申し出をいただき、とても有難いことと感激しております。」

「そうだな。それが良いだろう。ブライアン君、君はそれでよいのか?」

「はい。時々王都に行く時にキャサリンも一緒に行けば、キャサリンはレストランの準備もできますし。」

「まあ!そうですわね。ああ、ブライアン様、なんてすばらしいの!ありがとうございます。」

キャサリンは思わずブライアンに抱き着いてお礼を言っている。皆は2人の仲は慣れているが、セビエスキ卿だけは目のやり場が無いようで困った顔をしていた。

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