荷解き、または制裁

 入学式が終わって、ぼくちゃんはまた寮に戻った。そこは、変態リアノ・エイドの住む部屋でもあり、ぼくちゃんの住む部屋なのだからそりゃもう憂鬱だ。

それに、荷物自体少ないし多く持つほうじゃあないのですぐに部屋が変態一色に染まるのが目に見えている。部屋に戻りたくないな〜とか、今からでも荷物を増やそうかなんて思っていると奴が戻って来るであろう部屋についてしまった。暫く戸の前で悶えてると中から音が聞こえた。もうとっくに帰ってきていたのか。


どがらぐらっしゃーん。


 そんな音が部屋から聞こえる。奴が醜態さらしていると思い、戸を開ける。助ける気なんてサラサラないが。

「イロイロと大丈夫ぅ?」

 煽るように問う。そこには、ぼくちゃんの荷物を勝手に紐解いてる、知らない奴がいた。

「だれぇ?」

「ギイヤァアアアァァアアァアアアァアアアアァア!!」

 そいつは、金属と黒板がこすれあったような金切り声でわめき出した。

「フホウシンニュウ!!ヘンシツシャ!!」

 本当ですか。いや、部屋番は間違えていないはず。それにこいつが開けているのはぼくちゃんの荷物だ。つまるところ。

「変質者は君だよぉ!!!!!!!!!!!!!」

その声は学園中に響いた。

「つまりぃ、君は間違った部屋版に入ってしまいぃ、間違った荷物を開封してしまったとぉ。で、だれ?」

「エェエット、ワタシハアン・エイリーンデス。スミマセン。ワタシノヘヤハココノトナリデス、、、」

 意外と普通の理由だった。というか“アン”?

「どうでもいいけどリアノって人知らない?同室のやつなんだけどさ。」

「いいえ、まったくしろリマセンネ。ダレデスカ?ソノリアノッテヒト。」

 あいつは真面目にストーカーだった。

「というかぁなんでここにいるのぉ?ココ男子寮だよぉ?」

「ハェ?」

「じゃぁ君は痴女かぁ」

 そんな事を言っている隙に廊下からドタドタと足音が聞こえてきた。変態かと思い、彼女を死角へ誘導する。戸が開くと同時に轟いた声はスピーチで聞いたものと同じ音だった。

「生徒会だぁっ!!」

 なんでココにいるのかわからない。ともかく彼?彼女?は名乗りを上げた。


「我名はリツキ。規律の名を背負い、第十二代厨ニ生徒会会長の名の下に、正義を執行するものであるっ。正義の縺れを察知し、切り離すためにやってきた。大丈夫か、そこの僕?」


 さっき見たキャラとぜんぜん違う。本当に同一人物か?

「大丈夫ですぅ。どうしてココにぃ?」

「新入生の君に解説してあげよう。この学校の校則は知っているね?後ココが治外法権だという話を。」

 流石に知っている。ココは権力が強いから治外法権らしい。

「でもって、ヒステリア校長の話は聞いたね?いわゆる天才が集まる学校だって。でもって天才ってどこか螺子の抜けた所あるでしょ?だから通常の感性を育てようとして皇律が厳しく適用されるんだよ。といっても衛兵に引き渡すわけじゃない。治外法権だしね。バツはあくまで反省文だけだよ。そのバツは罰金で決まるんだけど、一メルティオン(一円)に付き一文字という漢字だよ。懲役の場合は一年一万文字だよ。わかった?じゃあそいつを引き渡して。」

「はい、どうぞぉ。さようならぁ。」

「さようならだっ。」

 嵐が去っていった。しかし、物騒だな。これでは殺人が簡単にできてしまう。本当に倫理観がこれで育つのだろうか?そんな事を考えている隙に。リアノが笑顔で帰ってきた。彼の頬には赤が着いていた。十万文字の反省文を書かされることになったと彼はゆっていた。

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王立王都中央地区第二高校附属中学校 照門テグス @An2Yu1

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