第20話 閑話 聖都居住編_前編
【祝星歴727年――エルトラウム王国聖都ロダティオン十三ノ月/天竜月】
【ドラシール教の支城、オルメガ要塞にて集った4人は斯くして世界樹の麓、エルトラウム王国の首都であるロダティオンへと足を踏み入れた。かつてのオーランド領とは比較にならない中世、オリエント、アールデコ調とも取れる多種多様の形式の建築物が、各種族の文化と混在一体化として立ち並んでおり、目も眩むような摩天楼や聖堂、遊興施設、劇場、華やかな飲食店、酒場――と、瘴気の影響の少ない聖都の一等市民街は、黄昏を迎えつつある様相など一切伺い知れない洒脱な雰囲気が広がっている。】
【無論のこと、そういった綺羅びやかな情景が広がるのは王城界隈の一部であった。トトポヤの住んでいた部外の者が住まうトロールサイドと呼ばれる三等市民街は下層区とも称されて、貧困や疾病は極々一般的なものとして蔓延している。そういった正負の表情が極端に二分化してしまっているのが、現在の聖都であった。】
【施工段階で空白化した、地上と地下の間――日差しの届くことのない陰湿な一室は、人の手が入ってこそいたが、黴の匂いをはじめとした決して衛生的とも快適とも評せない空間である。タニヤマンの隠れ家へと決して短くはない道程、オルメガから約数日をかけて4人が帰り着けば、ターニャを覗く3人を出迎えた拠点の情景は、客観的にみて陰鬱な心象を覚えざるを得ないものだった。】
【ロールスタート】
秘匿のダアト「――……戻ったか。(一同が仄暗い地上と地下の狭間へと足を踏み入れると、一室の片隅、寂れた木椅子に腰掛けた姿で糸髪を揺らす。変わらず感情の起伏が見て取れない無機的な面差しのまま、一同の姿を見回せば、教化も受けずに五体満足であるトトポヤの姿へと一瞥を放り、小さく嘆息し)……生きていたか。一先ずは……何よりも、お前たちが無事で喜ばしい。(緩く4人へと双眸を向けては、眼差しを細め)」
タニヤマン『ようこそ我が家へ!!!狭いけどゆっくりしていってね!!(数年の間住み慣れたマイホームに愛しの兄妹達を招き入れる。これ以上の喜びは無いと言わんばかりに嬉しそうにくるくると回るが、さも当然と言わんばかりにそこに居座るダアトの存在を視認すれば警戒心マックスで逆回転をはじめ)……!?侵入者―侵入者ー!誰かケーサツ呼んで―!!』
ダリル「着いたか…。(ドラシール教の支城からいくつかの拠点を経由してようやくたどり着いた目的地に少し息を着く様にしてそう言葉が漏れれば、そこで予期せぬ人物に声を掛けられその方向に首を向ければ)」
トトポヤ「聖都にこんなところが……私達が住んでいた場所も快適とは言えなかったですけど……。(最小限の照明と、最低限の家具。無味乾燥といっても過言ではない空間へと足を踏み入れれば、ぐるりと周囲を見回してぽつりと呟く。療養教会も決して居心地に優れているというわけではなかったけれども、ここまでではなかった。唖然とするのも失礼かと言葉を濁しながらも視界の奥のダアトへと気づけば大きく頭を垂れて)ダアトさん、お久しぶりです。……何年振りになりますかね……」
ボッツ「うへっ……なんだよ、ここっ……ジメジメしてて黴臭くて……っ、兄ちゃん達あんなに強いのに何でこんな場所に住んでんだよ。(感覚器が鋭敏な獣頭種にとっては中々慣れにくいだろう空間、思わず鼻先へと両手で覆うようにしては半目がちに、ぶつくさと文句を紡ぎ)」
クラスタ「(ロダティオンに入ったのもつかの間、周囲を警戒しながら颯爽とタニヤマンの隠れ家へと足を運ぶ。陰湿な地下通路を通り長い通路を抜けた先にあった扉を開けた)あーあー、なんだねこの無駄のないジメっとした部屋は!ボカぁこれでも可憐でプリティな乙女だぞ!(天井の低い薄暗い室内を眺めながらブーたれながらも足を進める。)」
クラスタ「……――なんだ、キミもいたのかね(奥の椅子に座る蒼髪の女性。自分たちの上位存在ダアトの姿を見つければため息を吐く)
ダリル「―――貴様………!!!!(そう目が合った瞬間に詰めいる用にして距離を縮めればキスしそうなほどの距離で怒った表情で双眸を睨みつけるようにすれば)母さんをよくも放っぽり出したな………貴様と命を共有していなきゃ此処で叩き斬ってるところだ………(そう殺意を込めてそう告げれば)」
秘匿のダアト「――居住性は悪いが、聖都で潜伏するには十二分だ。私はここが気に入っている。(非難轟々といった様子の隠れ家へと、双眸を伏せては小さく呟く。そうして、クラスタの嘆息に次ぎダリルに間隙を縮められれば、平坦な面差しは崩すこともなく、両手でダリルの頬へと五指を添えて)――うむ、逞しくなったな。……然し、随分な物言いだな、アレを復元したのは私だ。――感謝されるのはまだしも、謗りを受ける謂れはない。」
タニヤマン『いやーびっくりした!あれからずっといたんだね変なお姉さん!!母上ちゃんの知り合いかい!?(そう言えばトトポヤとダアトはそんな間柄だったような話を暗く霧がかった記憶の彼方でした気がする)……!!?(ボッツの言葉は全面スルーしつつもクラスタの言葉は受け流せず仄かにダメージを受ければ)』
クロ「(ドラシール教の一つの拠点である神殿の激戦を掻い潜り、息つく暇もなく、ターニャの隠れ家に到着すれば。その部屋は、今のターニャの本当の心情を表している様な、無機質で飾りっ気もない、小さな部屋があり、自分の巨体ともいえる二メートル近い身体には狭く)うぅ・・・今のオレッチには少々狭いっスね・・・(っと、中腰になりつつ、踏みしめるたびに、巨体を支える体重で床はギシギシと軋み、これ以上動いたら床が抜けそうだと、ゆっくりと巨体を揺らし)とりあえず・・・落ち着く為にも、とりあえず、みんなのお茶でも入れるっスかね・・・。ターニャ、お茶っ葉と、お湯を沸かす給湯室あるっスか?(っと、ターニャの隠れ家に行けば、ダアトがいることは予想できたので、その存在を確認しつつ、皆に対応を任せて、自分はお茶の準備をしにいこうと)」
クラスタ「うむ、ボッツよ、少し待っていたまえ。ターニャよ、ちょっとリフォームさせてもらうぞ(不満を零すポッツを制し錬金術のグリモアを手に取る)」
クラスタ「この程度なら賢者の石を使うまでもあるまいさ――箱庭……発動(魔力を開放する。突如タニヤマンの秘密基地が揺れ始める。突如カベや床が揺れ始め、ありとあらゆる地形のが描き変わっていく)」
トトポヤ「だ、ダリルさんっ――……!お、落ち着いて、落ち着いて下さい……!(切迫してダアトへと詰める青年の背中から宥めるように紡ぐ、事情を汲み取れないことから、ただ宥めることしかできずに)」
クラスタ「これから長いことお世話になるかもしれない場所だ。アリの巣よろしく個室を各自設けようじゃないか。――あっ、あとゆっくり浸かれるお風呂も欲しいな(グリモアから魔力を吐き出しながら、思い付きでどんどん壁を貫通させ開拓してく)」
ダリル「―――ッ!!!………復元をしたらハイさよならなら貴様に頼ることなどしなかった…今後は俺たち兄妹で母さんを護る。(そう頬に添えられた手を払う様にして再び睨みつけるようにしてそう告げれば、そっぽを向く様に背を向けて距離を取れば)」
タニヤマン『私の家が劇的ビフォーアフター!!!素晴らしい!!流石我が妹!!(パチパチと手を叩きながら喜べば給湯室を要求するクロに目を向け)そんなものないよ!!紅茶ならいくらでも沸かしてあげる!私の魔法でね!!(そういうといつの間にかポットとコップを手に持ち器用に何が入っているかわからない紅茶を注ぎ)味は保証しないけどね』
ボッツ「す、すげぇ!すげぇや、クラスタ姉ちゃん!!(周囲の環境が劇的に変容すれば、目を丸くさせては感嘆の呼気を漏らす。鼻腔の奥を貫くような匂いも消え失せており目を輝かせて)へへっ、俺にも個室作ってくれよ!」
クロ「(クラスタの錬金術により、まるで御伽噺の魔法の様に、狭くるしい部屋はみるみる改造、組みあがっていき、まるで高級ホテルの、一等客室の様な広さと内装に様変わりし)おおっ!流石大錬金術師、クラスタっス!さすクラ!!(っと、中腰だった部屋から、普通に立てるくらいになり、助かったと巨体の身体を伸び伸びさせつつ、クラスとをベタ褒めし)」
ダリル「―――あの女と私たちは因縁がありまして…俺は譲れないところが正直あります。(そういつの間にか一等客室並みになった部屋を見渡して宥めてきた彼女に説明する様にそう紡ぎながら幾分ましになったスペースの良さそうな椅子に腰かけるように椅子を引けば)長旅でお疲れでしょう、どうぞ。」
クラスタ「(一通りい魔改造をおこなったフロアをみて満足そうに胸を張る)ふふふ、みたまえよこの空間、じめじめとした地下という印象を払拭すべく、天井を高くして窓を付けた!聖都の地下にはしる霊脈から魔力を少々吸い取って光を放つようにした。これにより明るい室内で優雅に一日を過ごすことが出来る!それにみんなで入れる大きなお風呂も作っといたぞ!これを作るのにはコツがあってな、地中の龍脈とドラゴンスパインの動脈からとれるマナが……――(意気揚々と部屋の紹介をしながらいつになく饒舌に語る)」
秘匿のダアト「――全く、誰が親かまだ理解していないようだな。――言ったはずだぞ、私は戦闘力を持たない、これでも尽力したほうだ。礼の一つくらいはあっても良い筈だぞ。(剣呑とした態度で返されれば、大した起伏もなく平時通りの淡としたにやや不満気な彩を乗せる。)」
ダリル「錬金術様様だな、クラスタありがとう。(そう部屋を綺麗にしてくれた彼女に感謝の言葉を純粋に告げれば)」
タニヤマン『いや~はっはっはっ素晴らしいねぇ~こうして天井も歩けるよ!!その上私の部屋は住み慣れた我が家のまま!!(作られた新しい部屋を開け放てばカビの匂いが充満しており)素晴らしい湿度だ!!』
クロ「(ターニャの魔法で作られた怪しい紅茶が注がれたコップを貰いつつ)大丈夫なんっスかこの紅茶・・・、まあ、死にはしないっスよね・・・(っと、楽観視しつつ、ターニャからポットを受け取り、双長耳と両手を器用に動かしながら、コップにみんなの紅茶(らしき)物を注ぎ、配っていき)はい、ダリル。ほい、クラスタ。へい、トトポヤちゃん。ほらよ、ボッツ(っと、最後に上位存在の前に立ち)そい、上位存在(ダアト)さん(っと、仲間はずれしない様に、紅茶のコップを置き)」
クラスタ「もちろん、ボッツの自室も用意しといた。年頃の男の子となれば一人部屋も必要だろうよ(ポッツの懇願に頷きながらダアトの座る椅子の対面に腰かけて」
トトポヤ「……複雑な事情とは伺い知れますけど……ダリルさんみたいな男の人にいきなり詰められたら、ダアトさんも怖がっちゃいますよ……。(嗜めるよう青年の背中を撫ぜては、ね?と首をかしげて見せる。椅子へと誘われれば、周囲を一度見回して素直に腰をかければ)ありがとう、ダリルさん。貴方こそ、疲れているでしょう?あんなに大勢と戦って……。頂きますね、クロさん。(至れりつくせりとばかりに紅茶を頂いて)」
クラスタ「さてと、ダアトくん……キミがいるということは今後について話があるのではないのかね。んっ、クロありがとう(クロから紅茶を受け取ればひとくち口に含み)うへぇ、苦い……」
タニヤマン『(逆さのまま器用に紅茶を飲めば)ところで変なお姉さんは私の家で何してんのかな~?(ふにゃりと首を傾げて当然の疑問を問い)』
ボッツ「ありがとう、クラスタ姉ちゃん!やっぱ時代は錬金術だな!しっかし……本当、兄ちゃんたちが居ないと今頃どうなってたか……(思い出すだけでもオルメガの情景に身震いしては、クロに紅茶を渡されれば素直に笑み)ありがと、クロの兄貴!」
ダリル「親は今も昔も【一人】しかいない………それを危険な目に合わせるなら上位存在だろうが何だろうが刀の錆にしてやる。(そう出された紅茶を茶道のように片手で飲みながら両目を瞑って眉を寄せてそう淡々と言い放てば)お気遣い痛み入ります。(そう危険な目にあったのに他者を気遣う女性にそう言葉を返せば)」
秘匿のダアト「上位存在に属するお前たちの所有物は私のモノ、お前の隠れ家にいるのは自然なことだ。……勝手なことを――……当然だ、これからお前たちに本来の目的を果たしてもらうのだからな。世界樹の踏破、そして神域への到達。もう忘れたとは言わさんぞ(目を伏せては、さめざめと嘆息を零す。クラスタの錬金術によって変性した空間に対してはやや難色を示し、続く質問に遅々と首肯し)……これからは私と共に常に行動してもらう。」
クロ「(ターニャから貰ったコップの紅茶を口に含み)うーん・・・、森で空腹を誤魔化す為に苦し紛れに飲む、薬草茶よりはマシなくらいっスかね・・・(っと、渋い顔をしつつ、疲労を感じる身体に取りあえず水分を入れておこうと、ゆっくり流し込んでいき)」
秘匿のダアト「うむ、結構……お前も随分使えるようになったな。(クロに紅茶を受け取っては、変わらず苦言を呈するダリルへと浅く嘲るように笑み)――お前の血肉は私が分けたものだ、何れ解るさ。……その態度を私に向けろというのだ(紫色の糸髪をもつ女性への振る舞いに唾棄するよう紡ぎ)」
クラスタ「ダリルよ、そこまで邪険にすることもあるまいさ、彼女が居なければボクたちはこの世界に生まれてくることすらなく、飛行機事故で無様にこの世から消失して――いや待てよ(この世界に生れてきたことを"特別なこと"だと認識していた。そう、この世界にボクたちはこうやって転生したのだ。だがもし、その転生という行為は人が死んだら当たり前に行われるサイクルなのだとしたら――いや、よそう。たられば論こそボクの一番嫌いな理論だったじゃないか。忘れよう)」
トトポヤ「本当……改めて皆さんには何と言ったら良いのか……あの場所で助けて頂かなかったら、私やボッツもみんな教化というのを施されていたでしょうから……それに皆を安全な場所まで届けていただいて……。(コップを軽く揺らし僅かに波打つ紅茶を俯瞰しては、改めて4人へと告げる。思い出しても余りある情景を払拭するようコップの中身を一度含み)――変わった味ですねぇ」
タニヤマン『………親御さん同伴の旅かぁ…イカれ帽子屋がもっと怒りそう!!楽しい旅になるねトゥワ太郎!!(愛杖になんの脈絡も無く話しかければそのままぽいっとその辺に投げ捨て紅茶をすすり)』
トゥワズブリリグ「ぬぁ…」
クラスタ「ダアトくん、キミがこの世界にボクたちを転生させていくれたことには感謝しよう。だがキミの所有物になった覚えはない。ボクたちはこの世界に産まれ意思をもつ以上、キミに物のように扱われるいわれはないと思っているよ。端的に還元すれば『調子にのんな』だ。ほかの兄弟たちは知らないがボクはあくまでこの世界の住人として、この世界の危機を守るためにキミに従っているにすぎんよ」
秘匿のダアト「――……そうか、涙ぐましい人間性だな、クラスタ。お前の情愛が世界樹踏破に助してくれることを祈るよ。(非難の声へと視線を向ければ、咀嚼するように言葉を受け止める。盲いた瞳を少女へと向けては、緩く応えてみせた。)今回の件は――……私にとっては大きな博打であった。オルメガに単身向かわせてタニヤマンを失うわけにはいかなかったからな、上手く4人が迎合できたのは偶然ではないのだろう。これからは私に侍り、私の指示のもと動いてもらう。」
クロ「(なにやら上位存在(ダアト)と論戦を繰り広げているが、とりあえず自分はこういう時はあまり口を出さない方がいいだろうと、静観し)そうだ、クラスタ、オレッチの膝に座る?今なら兎の本皮座椅子が無料サービスっスよ?(っと、何ともマイペースに、8年間、姉妹(きょうだい)に会えなかった寂しさと家族愛を埋めようと、豪腕な両手を広げ、モフモフの胸深毛で待ち構え)ウェルカムっス!(っと、ペットが飼い主に甘える愛くるしさで)」
クラスタ「せいぜい期待してくれたまえ……――うぇ、苦ぃ(ダアトの言葉に澄まし顔で紅茶を含む。しかしつんざくような苦みが舌を襲い、苦悶の表情を浮かべながら)ターニャ、砂糖……甘味の類はあるかね(タニヤマンに糖類を催促すればヒザをポンポンして催促するクロを見据え)クロよ、ボクも花をも恥じらう年頃の乙女(美少女)だ。いくら兄弟といえど男子であるキミの膝に座るようなマネはできまいさ。許したまえよ」
ダリル「誰が貴様を母と思うか、ただ生き返して赤子のまま母さんに丸投げしたことは忘れはしない。(そう、未だに母親面する女性に突き放つように言葉を告げれば)俺たちに好かれたいなら【愛情】を理解することだな。一蓮托生という面から同行は許してやるが…丁度いい。そこのところを母さんから学ぶといい。(そう指を差すように口をへの字にしながらそう嫌味をいえば)」
タニヤマン『いいよ(いつの間にやら天井から降りて来て自身に従えというダアトの言葉に何の躊躇もなく賛同する。ターニャ的には彼女に従った結果兄弟達に会えたのでそこまで好感度は低くないのだ。いやさ恩人と言って差し支えないとさえ言ってもいい)』
ボッツ「なんか難しい話してんなぁ~……兎に角、オイラも兄ちゃん達には感謝……って、やっぱ、そうだ、おかしいって!なんで、トトポヤ姉ちゃんを母ちゃん呼びなわけ!?(改めて感謝を述べるとトトポヤに続こうとした矢先にダリルの言葉に耳を疑うように尾を跳ねさせて、ダリルへと向き直って)」
秘匿のダアト「ふっ――……親子の縁というのは、感情ではない。最終的にお前が手を差し伸べるのは私の方だ、ダリル。(学べという言葉に軽く眉を持ち上げては、緩く糸髪を揺らして首を振る――タニヤマンの言葉に対して、小さく口許に笑みを滲ませれば)それで良い、機能的には問題ないようだ。安心した。」
ダリル「何を言ってる、母さんは母さ………。(そう疑問を投げかけられた少年に何を当たり前のことを言っていると男は怪訝な顔を浮かべたがハッとした表情になれば)ウオッホン!!!!トトポヤ、さん、が私達の亡くなった母親に似ていてな!?つい癖で呼んでしまったんだッッッ!!!(そういかにも汗汗というような男に珍しい早口言葉でそう告げれば)………トトポヤさんも気を悪くしたらすまない。(そう少し落ち着く様にしてそう言葉を続ければ)」
タニヤマン『勿論兄妹達が良いと言ったらね!!(悪魔で自身の優先順位は兄妹達であるとダアトに意思表示すればポンッと魔法で瓶詰めの角砂糖(盗品)を出して優しくクラスタに差し出し)これでいいかい我が愛しのアリス?舐め過ぎたら虫歯になっちゃうから気をつけてね!!』
クラスタ「さて、冗談はほどほどにしてダアトよ、今後の方針について少し相談だ(兄弟たちとの談笑に一旦区切りをつけ、真摯なまなざしで兄弟たちを見て、ダアトを見据えた)ボクたちについてくることに関しては構わないのだが、指示に従ってほしいということは今後の方針も決まっているのだろう?ひとまずの方針を聞かせてはくれないかね」
クロ「ちぇ、せっかく8年間の兄弟姉妹(きょうだい)との絆を深めようと思ったに~(っと、クラスタの返答に、唇を尖らせつつ、不満そうにしながら)」
クロ「そうだ、トトポヤちゃんどうっスか?今なら兎の本皮座椅子が出血大サービスっスよ?(っと、ターゲットを変え、今度はもう別人とはいえ、母であるトトポヤに親孝行しようと、双長耳を両手の様に広げ、さわり心地の良さそうなフカフカの深毛を靡かせつつ)ウェルウェルウェルカムっス!!(っと、愛嬌ある、飼い犬が甘える様なスマイルで)」
ダリル「クロ、なら俺が甘えさせて貰おう。(そういい椅子を見つけたと言わんばかりに筋骨隆々の男が妹に振られて寂しそうにしていた前に立ってそう言葉を告げて問答無用にドンッと座れば)ふむ、座り心地は抜群だな。」
クラスタ「ありがとうターニャ、ボクは常に頭を使う仕事柄か、どうにも甘党が過ぎるようになってしまっていてね。何事にも甘くないと思うように食が進まないのだよ(タニヤマンから貰った角砂糖を次々とティーカップに入れていく。それはもうティー1:砂糖4くらいの勢いで山盛りだ。)」
トトポヤ「……私もよく事情を飲み込めていないのですけど……(ボッツの純粋な疑問へと自身も呼応するよう視線を向ける。青年の言葉にようやく納得がいったように小さく幾つかの首肯を落として見せる。戸惑ったように宙空に視線を投げては、ダリルの手を取って)ごめんなさい……あまり、言いたくないような事をボッツが聞いてしまって――……その、全然不快とかじゃないですよ。たまには呼んでも良いですからね、ね。」
クロ「てめぇ!ダリル!!男は呼んでねーんっスよ!!くたばれ―――っ!!(っと、膝に乗ってきたダリルを、兎特有の足の脚力で、ダリルの尻を蹴り飛ばし)」
クラスタ「それでは、当人から許可が出たことだし存分に甘えるとしよう(トトポヤとダリルの会話に割って入るようにトトポヤの膝に頭を潜り込ませれば、頭をぐりぐりと押し付けて)ママー!」
秘匿のダアト「無駄話を打ち切ってくれて助かる。――……ああ、無論だ。今、私が保持しているをお前たちにも共有してもらおうと想ってな。それと…・…ある程度の方策は示すが、戦術単位での行動はお前たちに一任したほうが良いだろう、私はこの通り、戦えんからな。(クラスタの言葉に面差しを改めては、紅茶を一口つける。ふぅっとため息を零せば)不味い、数ヶ月振りに口に入れるものではない。」
ダリル「む?兄妹と8年ぶりに仲良くしたかったのだろう?(そう尻を蹴られたのをものともしないようにして再び両手を構えながらまるでタックルする様に構えれば)仲良くしようじゃないか。(そうニッコリしているがどこか影も見え)」
クロ「ヒェ・・・、すんませ、ダリルさん。もう調子に乗らないっス・・・(っと、ダリルの独特のマザコン殺気にドン引きしつつ、身を小さくして謝り)」
トトポヤ「きゃっ、く、クラスタさんもですか――……!?もう、なんかいきなり子供が出来たみたいじゃないですか……(膝に乗る少女の総身を受け止めては、懐へと誘う。かつての女性とは相違した肉感的な体躯で抱きとめながらも、背を撫ぜるようにしては白い糸髪に鼻先を押し当てて、感慨深そうに呼気を零し)ああ、クラスタ………」
ダリル「っと冗談はさておき、貴様の方針とやらを聞いてやるからとっとと話せ。(そう上位存在の話を聞くべく腕を組んでそう言葉を投げれば)」
クラスタ「能書きはいらんよダアトくん。戦術に関してはキミ本人がまともに戦えない、戦う気がないのは周知の事実だ(もしまともに戦闘が出来るのなら、8年前の惨劇など起きなかっただろう)そのとやらをさっさと開示したまえ(トトポヤの膝に頭をのせ膝枕をしながらバブみを感じつつも、視線だけはダアトを見据えていた)」
クロ「ちぇ・・・ダリルの奴、本気にしやがって・・・、マザコンは怒らせたら怖いっスね・・・(っと、ダリルのマザコン気質にドン引きしつつ、トトポヤに関する冗談は今後控えようと一人ゴチ)」
クロ「なら、上位存在(ダアト)さんどうっスか?オレッチの兎の本皮座椅子?今ならディスカウントのさらに半額、お買い得っスよ?(っと、ここまでくれば、勢いとノリだと、まさかのダアトに提案し)」
秘匿のダアト「……まずは、お前たち
クラスタ「うむ、魔力の質はすっかり変わってしまったがママ……いやトトポヤくんはは相変わらずいい匂いだ……(トトポヤに頭を撫でられながら夢見心地な気分を味わう)この世界は輪廻転生、ボクがこうやって生まれ変わったように、トトポヤくんも生まれ変わったということなのだろうな」
タニヤマン『(山のように角砂糖をほおり込むクラスタや突然罵倒してくるダアト、相変わらずマザコンっぷりを発揮するダリルとそれにつっかかるクロに優しく接するトトポヤ。どこか懐かしいような何かを思い出せそうな…ここ数年は味わっていない情景にお口あんぐりとなり)紅だぁぁぁぁ!!!(嬉しさのあまり懐かしき旋律を吹き鳴らせば)』
秘匿のダアト「要するに――歯牙を向ける相手はお前たちが判断しろ、その為のは可能な限りくれてやる(飲みかけのコップを寂れたテーブルへと置いて)」
秘匿のダアト「うるさいぞ、タニヤマン(ぎんぎん煩い旋律に眉根を寄せては――つかつかと歩を進めてクロの膝へと見た目以上に重量感のある体重を預けるようにクロの膝へと無遠慮に腰を降ろせば)……欠けた木椅子よりマシか。」
トトポヤ「(クラスタの糸髪を手櫛で梳いてあげては、何となしに郷愁を覚えてしまう。前にもずっとこうしていたかのような感覚――懐かしさを感じる匂いと胸の内から沸々と湧き上がる感情に戸惑うも、笑みは変わらぬまま)クラスタさんも、これから――遠慮しなくていいですからね。」
タニヤマン『じゃあ静かな曲はいかが!?止めろというのは無しだよ!!今の私は止められない!!(うるさいと言われれば即座にしっとりとした曲を吹き始める。来る日も来る日も一人で演奏し続けたため曲のレパートリーは山ほどあるのだ)』
ボッツ「すっげぇ、なにその楽曲!クールだぜ、タニヤマンって人!!もっと吹いてくれよぉっ!(ダアトに制止されながらも、紅の旋律を気に入ったのか飛び跳ねて)」
ダリル「フッ、懐かしいなこの感覚も………。(そう幼少期の朝の光景をふと男も思い出し口元を上げるようにしてそう言葉が漏れれば)クロ、良かったじゃないか、お待ちかねの椅子扱いだぞ。(そう昔を思い出すように冗談を言うような形でそう告げると」
クラスタ「(トトポヤの膝枕を堪能しながらダアトを見る)要領がつかめないなダアトくん。転生者と戦うことになるのは百も承知だ。そのうえで協力できそうな人間とは協力しようというのは理解できるさ。といっても現状、転生者たちがどのように動いているのかが全く把握できていない。こんな状態で仲間を見極めろといっても卓上の空論も甚だしいよ(そこまで言って一息ついた。そして自分の考えを口にする)端的に話をしようじゃないか。戦わないといけない転生者は何人いて、ボクたちはどのような状況にあるのかね」
タニヤマン『後でねねずみくん!怒られるからね!!(吹きながら普通にボッツを制止しつつ)楽しいなぁ!この日をずっと待っていたんだ!!(長きに渡る孤独を経て兄妹達に会えたことが心底嬉しいのか空中をふよふよ浮かびながら演奏を続け)』
クロ「(結構ノリで言った面はあったが、まさか上位存在(ダアト)がそのノリに付き合ってくれるとは思わず、自分の膝椅子に座り込めば)おお・・・、まさか本当に座ってくれるとは・・・、ダアトさん、以外とノリがいいんっスか・・・?(っと、意外な面に少し面くらいつつ、女性にしては大きく、大体自分と変わらないくらいの身長と質量に、膝に負荷を感じつつも、流石に8年で成長し、一緒に暮らしていたユゥクで女性の扱いは勉強したので、重いなどと失礼な事は言わない)なんだろう、不思議な安心感があるっスね・・・(やっぱこの世界の生みの親だからなのか、近くにいると何だか不思議な抱擁感あり、自然とモフモフの双長耳で彼女の肩を包み)」
秘匿のダアト「728年の大祝祭を前に――聖都は今、かつて無いほどの混乱期に陥っている、これまで一強であった王国の力が外部からの圧力や流入によって徐々に弱体化しているという事情もあるが……(クラスタの言葉に眼差しを伏せる。相手の言葉を咀嚼するようにうんうんと頷いてみせ――)転生者の現在の数は私も掴めていない。だが、この聖都ロダティオンで既に一つの陣営では決して届かないレベルにまで達している陣営は3つ程ある。」
秘匿のダア「先ずは、お前たちも面識があるだろう、アディシェス=フレン=リーンだ。エルトラウム王国の第四王子としての身分的な強大さも然り、幼少の頃からの桁違いの場数がその実力の裏付けになっている。3年前のフェイエール会戦を期に現在は、王国内の内政に力を入れているようだ。」
クラスタ「ふふふ、トトポヤくん言ったね。ボクは18歳になっても羞恥心なんて気にせずバブりを強行することができるアイアンハートの持ち主だ。存分に甘えさせてもらおうじゃないか(トトポヤの膝に頬ずりをしながらギュッと抱き着く)」
ダリル「アディシェス………!!!(そう因縁のある男の名前が出れば反応する様に男が感情を露にすれば)―――あの時の仮を存分に返してやる………。(そう妖刀が男の感情に呼応するよう深紅のオーラが漏れだしながらそう静かな闘志をフツフツと燃やせば)」
タニヤマン「アディシェス…?いひっ…(アディシェスの名を耳にすれば先ほどまで上機嫌で浮かんでいたのが一転内包していた汚染されたマナをまき散らし)殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……(壊れたラジオの如く同じ言葉をブツブツとつぶやけば即座に冷静になり)…はっ!失礼!取り乱したよ!!(とまたしてもふよふよ浮かんで笛を吹き始め)」
クロ「アディシェス=フレン=リーン・・・(ダアトの説明に耳を傾けつつ、第一の勢力と言う様に、8年前の因縁の名前が出れば、嫌でもあの惨劇の情景が思いだされ、苦虫を噛み潰した様に表情が曇り)正直、一番にブッ潰したい相手っスね(っと、8年でどれほどの実力をつけられたか分からないが、復讐(リベンジ)を果たしたい真っ先の相手であり)」
クラスタ「(アディシェスという名が出てくれば、眉を一瞬ピクリと震わせる。それですぐ平常を保って)ふむ、彼がそこまで強大な勢力になっていることは想像に容易いな(8年前、兄弟と離散してからアディシェスについてはある程度しらべがついていた。第四王子という肩書がある以上、一筋縄ではいかないと認識していたが)――問題ない続けたまえよ」
秘匿のダアト「現王ノヴレスは人心の精神的支柱であり――何よりも議会の失脚によって、王権が益々勢いづいているところだ。大約定内……停戦協約中のモラトリアムに他の
トトポヤ「あははっ、良いですよ。療養教会でも甘えん坊さん一杯いましたし……(クラスタの肢体を強く抱きとめながらも、緩く背を撫ぜる。ダアトが紡ぐ言葉。アディシェスの単語が出てくれば聞き覚えのある名前で)……人気ですよね、アディシェス王子……。奥さんに先立たれても率先して、民に寄り添ってくれてるって評判ですよ。」
秘匿のダアト「加えて――上位存在のネツァクの加護かは分からないが、人心掌握、或いは扇動の能力を持っているおそれがある。奴の臣民からの支持や幼年期の事件がそれらの証左だな――……王国秘奥の神剣ゼニスや、ネツァク自身の能力は未知数だが――……私は、ネツァク自身の能力も上位存在では頭抜けていると踏んでいる。」
クロ「(母であったトトポヤから、アディシェスに対して好意的な言葉が紡がれれば、家族や大切な仲間を崩壊に追い込んだ男に、好印象を抱いて入る事から、やはり彼女はまったくの別人なのだと、何とも言えない感情になり、苦笑いしつつ)人気で・・・評判っスか・・・ハハッ・・・」
ダリル「外面だけで騙されてはダメです、アイツは………。(そうあなたを殺したと続けようとした口をギュッと閉じて言葉を続ければ)兎に角一番信用しちゃいけない………アイツは俺たちを陥れた屑だ、一番タチが悪いと言っても過言じゃない。(そうあの男のことを語るのもおぞましいといったように吐き捨てれば)悪鬼羅刹を幾人と斬ってきたこの刀で処断するのに一番似合う奴だ。」
秘匿のダアト「落ち着け、タニヤマン――何れどう足掻いても首を獲らねばならない相手だ、安心しろ。(狂気の渦に呑まれたような男へと諫めるように紡ぎ)……王のノヴレス、そして長男のレオスタッドが表面的な政は取り仕切っているが――水面下でアディシェスの思惑が働いてることは確実といえる。王と長男も英雄の血筋だ、決して転生者といっても油断できる相手ではない。」
タニヤマン『………(トトポヤの言葉に眉を顰めるが特に何も言わず宙を見つめ静かに笛を鳴らす。同様にダアトに対しても一瞥をくれるだけで何も話さずその言葉に大人しく耳を傾け)』
トトポヤ「そうなんですか……(どこか4人の空気が張り詰めれば緩く頷いて見せる。またこれも複雑な事情、もとい深い因縁があるのだろうと自身で納得し、膝上のクラスタを撫ぜ)」
クロ「まあ、ゲームでいうラスボスっスかね。俄然やる気がでるっス!(っと、豪腕な拳を手の平にパシッと打ちつけ、一筋縄ではいかないというアディシェスの復讐(リベンジ)に燃え)」
クロ「んー、何か小腹が空いてきたっスね・・・、ターニャ何かお菓子ないんっスか?後、まずい紅茶のおかわり(っと、ターニャにずうずうしく要求し)」
秘匿のダアト「ここ数年は王国での地位を盤石にするため、策動していた男だ――私が保有しているでは全容を掴むに足りないだろう。とはいえ、今は瘴気の蔓延で各大陸からの難民の流入に歯止めがかかっていない。――……アディシェスにとっても悩ましい状況であることは言っておこう。……他の2陣営の存在もあって決して軽はずみな行動ができないからな――お前たちに対しても即座に斬りかかってくることはないと思える」
クラスタ「ふむ、やはり聖都だ。一筋縄で攻略できるものではないね(王都の散布図を確認しながら陣地を一つ一つシミュレートしてく)こちらにはニオファイトが4人いるとしても兵力差は自明の理だ。となると聖都中央を突破するのは後回しにするのが賢明だろうね」
クロ「クラスタの言う通りっスね。直ぐにブッ潰せないのは悔しいっスけど、まあ、あいつとの因縁は最後のお楽しみにとっとくっスかね(っと、クラスタの意見に、腕を組みながら、頷き)」
秘匿のダアト「アディシェスの人物像自体は――……まぁ、お前たちは直接対面した相手だ、言うまでもないだろうが狡猾な男だ。あらゆる状況に機微を示さず無感動に目的を遂行する、奴にとって落ち葉と人間に価値的な大差はない。大小の違いだけだ。」
タニヤマン『(笛を吹きながらポンッと魔法で林檎のような果実を出せば果実はそのままふよふよとクロの元へ飛んでいく。紅茶も同様にポットだけがひとりでに空中浮遊し空のカップに紅茶を注ぐ)』
クラスタ「ところダアトくん、聖都は後回しにするのは理解できた。それとは別にこれはボク一個人の質問なのだが、ドラシール教の総本山『ヤレファ大神殿』ついても少し聞きたい。そこにもニオファイトが居たりするのかね」
秘匿のダアト「地勢的な条件も王城は、昼夜問わずに厳戒態勢が敷かれている、アディシェスを倒すのならば世界樹内部時点が望ましいと考える。(クラスタの問いかけへと言葉を区切っては一度調息し)……ああ、残りの二陣営の一つがドラシール教のユカリアだ。」
クロ「ターニャ、サンキューっス(っと、注がれた紅茶を受け取りつつ、ふよふよ飛んできた林檎らしき果物を片長耳でパシッと包み込む様に受け取れば)ダアトさんも食べる?(っと、膝に無機質に座っている上位存在(ダアト)に、せっかくだから半分食べる?っと質問し)」
ダリル「致し方あるまい…その間に刃を研いで存分に闘り合う準備をしてやろう。(そうフツフツと燃え立つ闘志を宿らせながらキンッと刀の鍔を鳴らして言葉を紡げば)」
秘匿のダアト「ドラシール教の首魁ユカリアは、上位存在の司教……マルクトの子として生まれ瞬く間に界隈を席巻した
クロ「ドラシール教のユカリア・・・。今まさにオレッチ達が戦ってきた、もっともフレッシュな話題の宗教団体っスね(っと、自分達が戦う勢力の中で、今さっき関わり会ってきた、まさに自分達にとって新鮮な勢力であり、一番に動向が知りたいと言っても過言ではなく)」
ダリル「タニヤ、俺もくれるか?(そうどこからともなく現れた果実を横目で見ながらパスと言わんばかりに片手を上げれば)」
秘匿のダアト「不要だ、もっと栄養価の高い物をもってこい。(クロの問いかけに対し膝上に乗ったまま首を左右に振り)……特に厄介なのは、時勢と奴らの能力が見事に整合しているところだな。瘴気の影響による難民やフェイエール会戦での戦争孤児の存在、奴らの教化の素材として剪定するには十分過ぎる程の人口量だ。」
トトポヤ「ドラシール教……私達を攫った方々達ですね…。(直前の事件を想起しては軽く身震いする。真っ当な国教として広く知られている宗教でこそあったが、ああいった内情とは露知らず。)難民の保護や慈善活動の数々も、その……教化という行為の為なんでしょうか……」
クラスタ「なるほど、難儀なものだね(ダアトからドラシール教が三大勢力の一つだと言葉を受け取れば一息つく。)ドラシール教には近々赴く用事があるからね。事前に知れただけでも幸甚だ(コルタナが生きている可能性があるり、遠くない未来に衝突は必須の陣営だ。)ドラシール教の聖紋の使途を見た。あれはこの世にあってはならない力だ。どのみち潰さなけれはならないさ」
クロ「おkっス~(っと、ダアトのいらないという返答に了承し。ターニャから貰った林檎を兎特有の齧歯類の前歯で、シャクシャクシャクっと、高速に食べ始め)美味いとも、まずいとも言えない、普通のリンゴっスね・・・(っと、適当な感想を言いつつも、ハムスターの様に頬袋一杯に果実を含み)」
タニヤマン『(ダリルの言葉にバスケットに入った全員分の果実を出現させれば)これで全部だよ。みんなで仲良く食べてね!!(言えば自身も持っている果実を一口で噛み砕く。カノエも言っていたユカリアという頭目。それに近づけば必然『彼女』にまみえることになる。いずれ潰すとしてもターニャ個人としては少々時間が欲しい。兄妹達が決めたことなら無条件で従うが『その後』どうなるかはターニャ自身もわからないであろう)』
クロ「ちなみにダアトさんの託宣で行った神殿で、幹部らしき『カノエ』っていう奴に会ったんっスけど、あいつはドラシール教の中では何番目くらいの実力者なんっスか?(っと、上位存在(ダアト)その人物を把握しているかは不明だが、もしを知っているなら、あいつにダリルは勝った事だし、ドラシール教幹部の勢力の実力が、どのくらいかの物差しにする事ができるだろう)」
秘匿のダアト「お前たち3人には説明がまだだったな――……教化を受けて聖紋を受けた原生民は、その肉体的、魔術的な能力が劇的に増す。……王国に比肩するほどの力を蓄えつつあるのも、教化兵の存在が正しく大きい。(聖紋を見たというクラスタの言葉に大きく頷き)……今のお前たちの敵ではなかっただろうが、物量でくるとなれば話は別だ。」
ダリル「同感だ、あの力は人に施していいものではない。(そうクラスタの言葉に頷く様にすれば、片手で受け取った果実を適当な木の皿に置いて指先でトンっと叩けば綺麗に6頭分されれば)ほら、三人とも食べるといい。(そう一切れ貰った後に母娘組とボッツに話しかけるようにして渡せば)」
クラスタ「んっ?――んっ?(ダリルが指先でリンゴを6等分すれば首をかしげて)」
クロ「ダリル・・・お前、ターニャ以上の奇術師(マジシャン)にでもなったんっスか・・・(っと、刃物を使わずに、林檎を指先一つでパカッと六等分するのを見て、人間辞めているのかと少し引き気味に)」
タニヤマン『(素手で果実を6等分するダリルに唖然とすれば)……キミトイレ行った後手洗った?』
秘匿のダアト「首座司教のユカリア――……そして、もう一人、その片割れであるカノエと呼ばれる
ダリル「己の鍛錬を欠かさなければこのくらい誰でもできるようになる。(そう常人の域を超えた技をさも当たり前と言わんばかりに腕を組んでそう告げれば)」
クロ「(神殿で出会った『カノエ』が、首教であるユカリアと同程度だと言われれば)なら、ダリルはそいつに一度勝った事だし、この勢力は勝ったも同然っスね。オレッチ達超強い!!(っと、腕まくりしながら、油断は禁物なのに楽観視し)」
タニヤマン『そーだそーだ!私たち強ーい!!一騎打ちに応じてくれればね(あの勝利は両者の漢気があったればこそ。ユカリアがそういった矜持を持ち合わせてなければ厄介な相手には違いない)』
クロ「オレッチも獣頭種(リカント)になって人間本当の意味で辞めちゃってるっスけど・・・、そんな事できないっスよ・・・(っと、ダリルの満足そうな態度に。鍛錬でどうにかなるという次元じゃないだろうと、ドン引きしつつ)」
秘匿のダアト「総本山であるヤレファ大神殿――そして、ドラシール教は世界樹の3層にも旧くから多くの拠点を持つ。世界樹踏破を前に、何千という教化兵を送り込んでいるようだ――……(男性の楽観的な言葉を聞き受ければ、さめざめとした嘆息を零す。ダリルへとその光のない双眸を向ければ)……戦ったのか。なんとも安易な……」
クラスタ「まあ、ボクたちのパーティは気楽さが売りだからな。クロの言うような気楽さがあったほうが今後の戦闘も御しやすいかもしれないぞ(クロがカノエ達に関して楽観視しているのをみて微笑む)実際、ネガティブよりはマシだろうさ」
トトポヤ「それに一対一でダリルさんはカノエさんに勝ちましたからね。……でも、私はなんとなくカノエさんに悪印象はないんですよね……なんとなく、ですけども……(造園のなか手打ちにした東方風の青年、強面であったが芯は入った人間なのではないかと)」
ボッツ「へへっ、ダリル兄ちゃんに剣を教えてもらえれば、オイラでも勝てそうだったぜ……!」
クロ「(クラスタやターニャの賛同をへつつ)そうっス!一度勝ってるなら次も勝てるっス!ポジティブシンキング!(っと、双長耳と、豪腕な両腕で力瘤ポーズを作り)」
ダリル「カノエと同じような奴がゴロゴロいるのか………俺は対峙したが決して弱くはない、むしろ一歩間違えば負けていたのは俺だったかもしれんからな。(そうユカリア陣営に対してそう感想を告げれば)しかし、一度勝った以上負ける気もない。物量で押されようが一騎当千といこうじゃないか。(そう攻め込むならやってやると言わんばかりに口元を上げれば)」
タニヤマン『うん!母上ちゃんの言う通りあいついいやつだ!!(その点においてはトトポヤに同意する。さもなくばあんな時代劇みたいな勝負になったりはしないだろう)』
秘匿のダアト「……ユカリアの人物像としては、未知数だが……少なくとも原生民に躊躇なく教化を施せる人間性だ、道徳的な感性を期待するのは難しいかもな。聖紋の適正は教化を受けた個人次第だ――……お前たちが相手をした聖紋の使徒はそうでもなかったようだが、転生者に匹敵する聖紋の使徒の存在も否定はできんぞ。(決して一度利を取ったからと楽観視できるような相手ではない釘を差すように言葉を強め)」
クロ「まあ、カノエは何だかんだ漢気溢れた良い奴だったっスから、あいつとは戦わない道を選べればいいんっスけどね(コルタナらしき人物にも、約束はできないが会わせてくれると言っていたし、なんだかんだで話を聞いてくれて、も教えてくれた、筋を通す奴であった事は間違いないので、できれば争い以外の道を選べればいいのだが、しかし、戦うとなったら容赦はしないと、それだけは心に留め)」
ダリル「俺もあの男と剣を交えたから分かるが、悪い奴ではないな。(そう勝敗後のあっけんからんとして威勢のいい態度もどこか憎めない奴であり)ただ妹をたぶらかすのは絶対に許さん。(そう最後にそう付け加えれば)」
秘匿のダアト「カノエは体の良い斥候役だな……竹を割ったような人物で、あまりドラシール教に迎合はしていない。……妙なことは教えてないだろうな(カノエの評判を4人から聞き取れば睨みつけるよう眼光を鋭くさせ)」
クラスタ「ふむ、確かにあのカノエという人間はボクたちを精力的に制圧しようという気概はなかった(もしかしたら協力者として取り込めるかもしれないという一末の期待を感じさせる雰囲気を纏っていた気がしなくもない)」
クロ「ドラシール教に固執してないなら、仲間にできる可能性もあるんっスかね・・・(っと、腕を組みながら、コルタナの件で落ち合う事ができたのなら、説得するのも一つで手かと、可能性を探り)」
クラスタ「それで、第三勢力というからにはあと1勢力はどこになるのだね」
秘匿のダアト「協力や同盟程度は結べるかも知れないな――なにせ、上位存在と転生者は一体不可分、マルクトが死ねばカノエも死ぬからな。(そうして三つ目の陣営を少女から尋ねられれば視線を向けて)最後は世界樹内の商会連合を束ねるオド商会の連合会長――ククルマニー=オド=シュゼット。西方大陸を中心に莫大な資本と財を築いた変異種のヴァーナだ。他の2陣営と比べ正攻法でこのルナヴェスでのし上がってきた傑物だな、」
タニヤマン『なにも話してないよねぇ?(カノエにはこの場所を教えたくらいで他には何も…と心底何も覚えてないといった表情で頭を抱えれば)』
クロ「いあ、妙な事を教えてないかというか、カノエにはこっちが妙な事を教えられたっスね。死んだコル姐が生きてるってっス(っと、ダアトの言葉に、こちが教えられた妙なを開示し)」
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