第19話 ダリルとカノエの一騎打ち
教化近衛兵「(青年に追従しては、一挙手一投足、乱れぬ所作で参陣する。これまでの兵らとは明らかに実力差は明白――面立ちすらも覗かせぬ全身鈍い銀色の鎧に包まれた風体で、まるで無機物かなにかのように佇立し続け)」
要塞司令シュヴィンデル「き、貴様は……か、か…カノエッ――首座様に侍りながらも、キャソックも纏わぬ不届き者ッッ……!!生まれの恩寵のみで安逸を貪る不逞浪士風情が……(不意に現れる東方風の装いをした男、己にとっては目の上のたんこぶ以外の何物でもないその青年へと視線を向ければ)」
カノエ「じゃかぁしい、あんなゴテゴテした服着て戦ば出来るかっちゅーんじゃ」
クラスタ「(司祭に問い詰めていたその時、聖堂の奥から一人の青年が現れた。周りの人間とは一回り違う風格、風貌は今まで戦ってきた者たちと一線を超す。そう、8年前に戦った青年と同等の雰囲気を纏っており)――キミは、そうか……《ニオファイト》かね」
トトポヤ「錬金術師さんに……道化師さん……みなさん、兄弟で興業でもされているんですか……?(クラスタの言葉とターニャの言葉をなんとか噛み砕いて理解しようとするなかも、一瞬で全身が粟立つような感覚。ぞくりと背筋を走る悪寒、一瞬で空気が一変すれば、声の主へと視線を向け)」
クラスタ「(パラパラとグリモアの書をめくる。先ほどの戦いで賢者の石にため込んだ魔力を消費してしまった。だが問題ない、まだ戦える)キミがボクらの邪魔をするというのなら、受けてたとうじゃないか」
ボッツ「ひっ、ひぃっ……!?ま、また出やがったッ…………に、兄ちゃん達、ま、また何とかしてくれよ~!!」
ダリル「―――新手か………。(そう音もなく現れた相手にそう言葉を紡ぎ、全員を守る様に前に軍靴の音を鳴らして前に出れば)手練れとお見受けする、名を聞こう。(そう男が目を細めながらそう告げると)」
クロ「(司令官らしき男を倒して、この場の物語は終了、っという流れになった空気を吹き飛ばす様に、強者の空気を纏う、一人の和服らしき方言の男が現れれば、獣頭種(リカント)独特の獣の本能で、毛が逆立ち、最大限の警戒が脳裏に鳴り響き)あいつは・・・何者っスか・・・?(自分の転生者(ニオファイト)の血が共鳴する様に感じる、自分と同じであり、あいつもあの憎き仇であるアディシェスと同じ、転生者(ニオファイト)であると本能で分かる)ダリル・・・、あいつ、オレッチ達と同じ転生者(ニオファイト)っスよ・・・、強敵っス(っと、気おつけろっというように、眉間に皺を寄せながら、言葉を投げかけ)」
タニヤマン『その通り!我らはサーカスの仲間さ!!嘘だけど。いひゃいひゃ!!おや…?新しいお客さんだね!!キミたちはどんな魔道具を持ってるのかな!?美味しいといいなぁ!!(乱入者に対し大仰な態度で出迎える。と東洋風の異様な風貌の男に何処か異質な気配を覚え)キミは………懐かしい匂いがするねぇ…(仇敵のそれに近い雰囲気を感じ取り一気に殺意を上げれば)』
カノエ「――きさんら……(シュヴィンデルの言を短く唾棄し、本題と言わんばかりに鋭い眼光を4人へと向ける。大太刀を担いだまま指先を向けて、ひぃ、ふぅ、みぃと数えると、得心がいったように自ら首肯してみせ)……ほう、ほうっ……なんじゃ、大当たりじゃのう。ほじゃのう、そう呼ばれちゅう……ワシの名前は庚(かのえ)、ただの戦バカじゃ。(クラスタの問いかけに小さく笑み)」
クラスタ「庚くんか。ふむ、覚えておこうじゃないか(グリモアを構えたまま相手の一挙手一投足を見据えながら油断しないよう構える)ボクの名前はクラスタ。クラスタ・リズ・クレーメル。キミと同じくただのしがない錬金術師だよ」
クロ「トトポヤちゃん、話は後っス。今は目の前に現れた男に最大限の警戒をするっス(自分達の素性を聞こうとしたトトポヤに、話は後でと遮り、警戒をっと、言葉を投げかけ)」
ダリル「―――………面白い。俺も戦は大好きだ………名はダリル。分け合って村正の家名も継いでいる。(そう相手の名乗りに対してそう高揚するようにしてそうギラギラとした眼で告げると)」
タニヤマン『キミが何者でも関係ないねぇ。今こそ盟約の時。いっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!(兄妹達のように名乗らずいつでも殺せるといったオーラとドス黒い瘴気を放つ)』
クロ「オレッチは『クロ・ホーランドロップ』弱気者を守る、正義の味方っスよ(っと、とりあえず現れた転生者(ニオファイト)らしき方言の男に、おどけて自己紹介し)」
カノエ「オーランドのにおふぁいとっちゅうんは、赤母衣衆の連中並に血の気が多いのう。――……ワシはアディシェスの奴らばより不作法者ではないがじゃ。くっ、ははっ、知っちゅぅ、知っちゅう、ダリルにクラスタ、クロ、タニヤマンじゃろ?よう知っとるがじゃ。悪いのう、ワシばかりきさんらの身の上知っちゅーって(全員の名を聞き受けながらも、どんと胸元を叩いて、顎先へと指をあてがえば――眼差しを細めて、道化めいた男へと視線を投げれば)……おんしだけは聞いた心象とは違っちゅーが、まぁええ……」
タニヤマン『おや?なんで私の名前知ってるの?もしかして………私って有名人なのかなぁ!?(名乗っていないにもかかわらず名を言い当てられれば大袈裟に驚き意味もなくクロに詰め寄り)』
クロ「(自分達をよく知っているというカノエという男の言葉に)教えてくれるとは思わないっスけど、一応聞いておくっス、オレッチ達の素性を誰から聞いたんっスか?(っと、テンプレの返答で返し)」
要塞司令シュヴィンデル「貴様ぁっ!!!なにをくどくどくとっ……!!いつまで、穢らわしい不信心者と会話をするつもりだっっ!!!やるならばやれいっ!(援軍がかけつけたことでようやく腰を持ち上げれば抗議するように告げて)」
クラスタ「それで、兵をつれてここまでやってきたということは、ボクたちを捕らえにきたのかね――それとも(悠長に会話を続ける庚に対して視線を向けながら)もしお喋りをしに来ただけというのなら、残念ながらボクたちは多忙の身でね。お茶会なら別の機会に設けようじゃないか。だから道を開けたまえよ」
クロ「おお・・・、近いっスよ、ターニャ。まあ、ある意味ターニャは有名人だろうけど・・・(っと、禁書などを強奪したりしていれば、嫌でも有名になるだろうと思いつつ、馬を宥めるように、ドウドウと手をかざし)」
タニヤマン『そっか…私有名人か…ひひん…(クロに諫められればすごく落ち着き)………誰かが私たちのことを彼に話したのかな!?(落ち着いたことで新たな可能性を想起すれば再びクロに詰め寄り)』
ダリル「俺も有名になったものだな。(そう相手が自分の素性を知っていると答えられれば顎に手を添えてそう言葉を紡げば)」
カノエ「にしても……ツイてないわなぁ、おんしも……相手が相手じゃ、ワシもきつくは言えん。(動揺する城塞の主へと憐憫の眼差しを向けては、懐から小刀を取り出し無造作に司令へと放りつつも、関心は4人へと傾いたまま)……なんじゃ見当も付かんか?だあほ、ここはワシの同胞の支城じゃ、ずけずけと土足で入り込んだ輩を叩き出すんは、家主の仕事じゃろがい。」
カノエ「ワシもきさんとは存分にやりあいたいのは山々じゃがな――……約束は約束じゃ、男に二言はないきの……あんな小娘との口約束など…。……のう、ダリル!!おんし、相当に遣手なんじゃろ!?ワシとやり合いたいとは思わんか!!(大声でダリルへと告げれば)」
カノエ「シュヴィンデル、きさんは手打ちじゃ、此度の無調法……無断で教化の儀を推し進めた上に、悪漢徒党に成す術もなく兵を犠牲にした責任。一城の主として……三文字割腹とは言わん、腹ぁ括って自決せぇ。――きさんらもそれでええな!(空間に響き渡る声音で一括する、地に伏した教化兵から4人に至るまで浸透させれば)」
クラスタ「しかし……(庚という男、《ニオファイト》であることは間違いないだろう。となると実力派8年前に戦ったアディシェスと同等とみておくのがいいだろう。)ダリル、相手はあのアディシェスと"同類"の人間だ危険すぎる(庚の挑発にダリルを見据え心配そうな声で呟き)」
クロ「ターニャからの質問に)んー、確かな事は言えないっスけど、相手はどうやらオレッチ達と同じ転生者(ニオファイト)っぽいし、もしかしたら、あちらの上位存在がを与えてる可能性もあるっスね。だからオレッチ達の事を知ってても何の不思議もないっス(っと、上位存在というのは、多分この世の超越した存在であるのだから、何を知っていてもおかしくはない、っと自分なりに考察し、返答を返し)」
ダリル「―――いいだろう、お前が言わなければ俺から死合おうと声を掛けていたところだ。(そうゆらりとした動作で刀を抜いてそう答えれば)」
トトポヤ「……あの、随分混み合った話みたい……ですね……(自身ではついていけない単語が飛び交うなかでおどおどと困惑して)」
タニヤマン『わーお!!賢い!!これあげる(クロの考察を聞くや否やポケットからハチミツの塗りたくられた時計(ゴミ)を取り出し賞賛を込めて差し出せば)』
要塞司令シュヴィンデル「おっ、のれ……おのれっ――……!!このオルメガの長はこの私、シュヴィンデルであるっ!!ずけずけと後からきおった貴様に指図されて堪るかというのだ!!死ねるかっ、このっ、私がッ――!!(覚束ない調子で立ち上がれば、幽鬼めいた足取りで踵を返す。ふらふらと何かに縋るかのようにその場を後にしようとした刹那、白刃の閃光が走ったと同時に、胴と首が切り離される。鮮血も上がることなく、頭が地に落ちれば。離別した四肢だけがまるで別の生き物のよう数歩進み、そして斃れた)」
カノエ「(鯉口を切った瞬間、文字通り大太刀によって首を刎ねれば、小さく嘆息を零す。斃れた四肢を忌々しげに俯瞰すれば)―――おどれは義統か。」
ダリル「万全の状態じゃない俺と戦っても面白くあるまい、何か持ってるなら寄越せ。(そう一連の事の起こりを眉一つ動かくことなく眺めた後、くいっと指を曲げて何か持っているであろう回復薬を寄越せと口元を上げて告げると)」
クロ「ダリル!?正気っスか!!(っと、転生者(ニオファイト)らしき方言の男の一騎打ちをダリルが受けるといえば)回りに護衛らしき親衛隊兵士がいるし、本当に一騎打ちをしてくるか分からないっスよ?罠かもしれないっス・・・(その間に、司令官らしき男が、方言の男に処刑されれば)まあ、因果応報・・・当然の報いっスね・・・(っと、その光景に冷たい目で、無慈悲に言葉を呟き)」
タニヤマン『そーだそーだ!何かよこせ―!それとも万全じゃないなら大侠客の我が兄に勝てると思ってるのかー!』
クラスタ「ダリル(庚の挑発にのるダリルに思わず袖を引こうとする。しかし消耗が激しい上にトトポヤたちを守る立場にいるボクらの状況からみるとこの提案はもしかすると最善の手にも見える。それでも)無茶をするんじゃないぞ」
クロ「(ターニャから、蜂蜜が塗りたくられた時計(ゴミ)を、苦笑いしながら、受け取り)あっ・・・ありがとうっスターニャ、大切にするっス・・・(っと、ゴミらしき物でも、兄弟姉妹(きょうだい)の贈り物は嬉しいので、懐にしまい)」
カノエ「これで、一先ずこの場は互いの遺恨は断ち切ったがじゃ――……ワシャぁもう、今日はその男前以外に手ぇ出す気はない。(指先をダリルへと向けては、悠然と歩を階段下へと進めて)……一騎打ちじゃ、村正。(男へと霊薬を投げては、大太刀を担ぎ)」
【ポーション回復】
ダリルMP:20→52
ダリルMP:52→53
クラスタ「ダリル!(一騎打ちという話になり、鞄の中からポーション瓶を取り出してダリルへと投げる)これでせめて体力くらいは回復しときたまえ」
クラスタ【ポーションピッチ HPP】
ダリルHP:71→86
タニヤマン『………………(不服そうに押し黙ればそれでも兄の決めたこと。いつでも動けるように息をひそめれば)』
クロ「(転生者(ニオファイト)らしき方言の男と一騎打ちする為に、正面の広場にダリルが立てば、お互い、紅の刀と、大太刀を構え)ダリル・・・、頼んだっスよ・・・、大丈夫、お前なら勝てるっス(っと、兄弟姉妹(きょうだい)の勝利を信じ)」
ダリル「―――ッ。(投げられた霊薬便を受け取ればそのまま無言で飲み終えてその後にクラスタのHP回復がなされれば)クラスタ、感謝する。(そう告げた後に全員に背中を向けて跳躍して相手の前に立てば)………一騎打ち受けて立とう。(そう刀を両手で構えてそう呼応するように答えれば)」
カノエ「おんしらも下がってろ、とばっちりで怪我はさせたくないがじゃ。(傍らに侍る教化兵を下がらせれば、光の差す中心部で対峙する。悠然とした佇まいで心底嬉しげに佇立する。自身らを見遣る観客の3人へと一瞥を放っては)」
【ダリル対カノエ 一騎打ち】
ダリル2d6>10
カノエ2d6>7
クロ「クラスタ、ターニャ。あのカノエという男は一騎打ちする気満点っスけど・・・、あの近衛兵はそれを守るか分からないっス。何をしてくるか分からないっスから、警戒しとくっスよ・・・(っと、二人の兄弟姉妹(きょうだい)に注意を促しつつ、大弓をいつでも取り出せるように手を後ろ手に隠し)」
タニヤマン『いひゃひゃひゃ!!任せて!みんなハッピーにしちゃおう!!(クロの指示を受ければ邪悪な魔力を解き放ち、指先一つで即魔法を発動できるようにし)』
ダリル「―――………シッッッ!!!!!!(一時の沈黙が流れた後に火蓋が切って落とされた。瞬時に攻撃が交われば紅のオーラを纏った刃が猛威を振るう様に何もない空間に線を描けば続けざまに身体に捻りを加えて目にも止まらぬ4連撃を叩き込む)」
トトポヤ「……だ、ダリルさん、頑張って……(両手をぎゅっと握りながらも、無性に声援を送らざるをえない。ざわつく胸中を抑えるように上ずった声音で声を張り上げて気づけば身を乗り出すように声を上げており、思わず青年の名をそのまま告げて)……――――ダリルッッ!!!」
クロ「(一騎打ちの始まりの合図は、どこからかカツンッと小石が落ちた音を皮切りに始まった。瞬速と言っていい、目にも止まらぬ速さで、紅の刀と大太刀を抜刀し合えば、目にも止まらぬ速さで、剣撃を繰り出し、打ち合い始め)オレッチの眼でも、追いきれないっス・・・!(っと、剣閃の応酬に、固唾を飲み)」
クラスタ「(互いにしばらくの沈黙が続いていた。どれだけの間を要しただろうか。ほんの些細な出来事、なにかは分からないが彼らの琴線に触れるタイミングがあったのだろう。先に抜刀したのはダリルだった。互いの剣閃が水平に輝く)ダリル!!(剣閃の風圧と圧により爆塵が巻き起る。思わず顔を腕で覆い目を伏せてしまうほどだった。自分はただ案ずる長兄の名を叫ぶだけであり)」
カノエ「―――ッッ、さあ死合いじゃっ、村正ァっ!!(獣性を孕んだ双眸を決しては、大太刀を担ぎながら間隙を詰める。赤く妖しく閃く斬撃、剣戟の音を響かせる。不意に頬へと鋭い灼けた感覚、口角を引きつらんばかりに持ち上げては)面白いッッ!!面白いのうっ!!村正ぁ!!ははっ、噂以上じゃ、やはりッ――……ッッ、汚れ仕事はっ、請け負うもんじゃのうっ……!!!(ぎちぎちと鍔迫り合いで肉薄しながらも、頬から血を流す。眼光鋭くさせては)」
【ダリル対カノエ 一騎打ち2打目】
ダリル2d6>7
カノエ2d6>4
タニヤマン『わーーーーお!!綺麗だねぇ!!よっ!大親分!華の大侠客!!首をはねろー!!(神速の剣閃がぶつかり合い深紅の闘気が弧を描けば応援にも熱が入る。その間も背後に立つ近衛兵たちに殺気は飛ばすことは怠らず)』
クロ「(どちらも実力は拮抗している、これが転生者(ニオファイト)同士の戦い、殺し合い。第三者から見る事は始めてであり、何と凄まじい戦いなのだと、額から冷や汗が流れ)これが・・・転生者(ニオファイト)との戦い・・・(これから幾度も見ることとなり、自分も戦う事になるであろう光景に、ただただ背筋がゾッとする。だがしかし、弱気な事はいってられない、この8年で経験をつけ、実力を上げ、精神的にも鍛えられた、負けはしない、それを見せてくれと、ダリルに叫び)ダリル!!やっちまえっス―――っ!!(っと、ただ一筋の勝利を信じ)」
ダリル「―――ア”ァア”アアア”ッ!!!!!楽しませてくれるッッッ!!!!!!!(そう両者一歩も譲らない剣同士の攻防、幼少期時代に苦楽を共にした少女との戦闘以来の高揚感に男の表情に自然と笑いが溢れており)………フゥウウウウ……―――参るッッッ!!!!!!!!(両者大きく打ち合った後に距離が離れれば上段に構えて示現流の構えをとり、何の小細工もない渾身の一撃を叩き込むべく深紅のオーラが一層濃く吹き出せば一刀両断するかの如く振りかぶる)チェストォォオオオ”オ”オ”ッッッ………!!!!!!」
カノエ「なんじゃ――ッッ、おんしっ、一体どれだけの悪鬼羅刹を斬ってきたッ……!?剣圧、剣閃、っ、どれもが極上、一等ッ、心揺さぶられるがじゃっ――ッッ、強いッ、強い強いのうっ!!!(村正と名乗る青年の予想以上の強さに眦を決しては、喜悦に面差しを歪む。なんの退屈もない、一寸でも気を緩めれば首を刎ねられる、そう確信させるだけの力を持った男との戦いは至上の娯楽であった。)――――ッッちぇりぁああああああああああッッ!!!!(互いに間隙をとった次の瞬間、両者ともに渾身の一撃を交錯させあう。瞬間、肉厚な大太刀が鎬の部分から叩き折れ、肩口を妖刀の一閃が駆ける。朱色の飛沫を散らせば――数歩蹈鞴を踏み。)」
カノエ「はっ……やはり、におふぁいとの……本分は、殺し合いか――…(全身の高揚感を抑え込む、折れた太刀の中程を眺めては、その間隙に刎ねられてもおかしくないにも関わらず、小さく諦観の笑みが滲む。)」
クラスタ「(ニオファイト同士の戦い、互いの剣技が炸裂する。彼らが通った支柱は四散しする。――どれだけの剣閃を交えただろうか。ダリルと庚がぶつかり合った刹那、庚の肩口から鮮血があふれた。それはすなわちダリルが一撃を決めたことに他ならず)――ダリル!」
ダリル「―――いい死合いだった、敬服仕る。(手ごたえがあったことを感じて一旦の勝負はついたと言わんばかりに構えていた刀を降してそう言葉を掛ければ)」
クロ「(空気で感じ取る、勝負が決まる、お互いの全力の剣閃の一撃が交差しあう、相手の大太刀は折れ、肩口から鮮血が噴き、着物を赤く染める、勝利したのは、ダリルであった)やった!やったっス――!ダリルが勝ったっス!!(っと、片手と片長耳で拳を作り、掲げ、ピョンっと嬉しそうに跳び跳ね)」
カノエ「――――……参った、ワシの負けじゃ、村正。(折れた刀を担ぎ、血を流しながらも嗤う。清々しい死合いだったと愛顔を向ければ、僅か一瞬宙空に視線を向ける。ふんっと、鼻を鳴らせば――まぁ、ええ、……と心中紡ぐ。戦いの中に在ったのだから、この世界でもまた戦い続けろと言うのだろう)……見事じゃ、おんしと剣を交えられる奴は幸せものじゃのう。」
タニヤマン『わーーーーお!!さすがは我が兄!!じゃ次は私たちの番だね!(拮抗した剣舞の果てにダリルの勝利を確信すれば愛杖を構える。大将が負けた以上控えていた近衛兵たちが動き出すのは必定。そうでなくとも首は跳ねるべきであろうと言わんばかりに殺気を溢れ出させれば)』
クロ「ターニャ、待つっス、勝負は着いたっスよ。下手に攻撃するなよ(っと、殺気が溢れるターニャを遮るように立ち。宥めようと、両手をストップと言う様に、突き出し)」
ダリル「フッ、世辞として受け取っといてやる。(そう刀を鞘に納めながら降参を告げる男にそう言葉を返せば)」
クラスタ「――ボクはもう疲れたし興がそれたよ。やりあいたいなら勝手にやりあいたまえ(タニヤマンの言葉に駄々をこねながらも近衛たちに目をやる。正直ここに来てから連戦に次ぐ連戦だ。戦うというのならばやぶさかではないが、先ほどのダリルと庚の戦いを見て戦いたい奴がいるだろうか」
タニヤマン『…………オッケー!!(クロに抑止されれば雑に愛杖を放り投げ、とっておいた魔導書を食べ始め)』
トゥワズブリリグ「ぬぁぁぁぁぁ…」
カノエ「――……あーっ、熱ッぅ……じゃかぁしい道楽者じゃのう。(僅かに郷愁を滲ませた面差しから一転すれば、けろりとした表情と声音。血は滂沱の如く流れているが気にした様子はなく。)……おんしら、何の目的もなくここを襲ったわけじゃないんじゃろ?(ふと思い出したように3人へと視線を向け)」
トトポヤ「――――ッッ!!(死合いが決すれば、堰を切ったように飛び出していた。刀を鞘に収めた男性を抱き締めながらも、その身を案じた声音。語気を震わせては大した怪我はないと解っていても神聖魔法をかけて)だ、大丈夫ですか……?ダリルさんっ……。」
カノエ「そいつはほぼ掠り傷じゃろ、安心せぇ――……ワシのほうが重傷じゃ。」
タニヤマン『私は変なおばさんが兄妹達に会えるって言ってたからここに来たのさ!あと母上がいると聞いてね!女の子しかいなかったけど!………もしかして彼女がお母さん!?(本気で今更気付いたようで目をかっぴらきながら大層驚き)そんな……成長期?』
クラスタ「ふむ、《ニオファイト》同士であるのならば此処へ来た目的もそれなりに見当がついているものだと思ったのだがね(カノエがここへ来た理由を聞かれると首を傾げつつ)ボクらの話をする前に一つ確認だ。キミにも上位存在たる者はいないのかね」
クロ「一応確認しておくっスけど、アンタもオレッチ達と同じく転生者(ニオファイト)なんっスよね?ならオレッチ達と同じく、この世界に転生させてくれた上位存在がいると考えていいっスよね、オレッチはその上位存在(ダアト)の託宣を受けて、ここに着たんっス。うちらの上位存在(ダアト)がどういう目的かはいまいち分かってないんっスけど、恐らくアンタの存在も関係してここに呼んだのは間違いないっスね。ついでではなく、オレッチ達はそれが大本命に近いんっスけど、そこにいる少女、トトポヤちゃんを救いにきたのも目的っスね(っと、ここにきた経緯を素直に、転生者(ニオファイト)である方言の男に話し)」
ダリル「無暗な殺生は好かん、この辺で手打ちといこう。(そう男との戦闘を終えたと言わんばかりにそう告げれば)かっ、母さ………!?―――…コホンッ、この男の言う通り掠り傷ですので問題なしです。(そう抱き着いてきた女性に少し動揺して抱きしめそうになったが、すぐに両目を瞑って咳ばらいをした後に身体から離すようにスッと離せば)」
カノエ「――……知るかい、転生者同士が対立しあうのは理解できちゅーが、やり合うならせめて世界樹の中じゃろ。(問いかけに対してふんっと顎先を持ち上げて見せる。腕を組みながらも、未だ敵陣営の中にも関わらず気安い調子で)……おるわ、マルクトとかっちゅー人使いの荒い女がのう。ワシャぁ、あの女は苦手じゃ。」
ダリル「クロ、ターニャ、クラスタも迷惑を掛けた。(そう一人突っ走ってしまった自身の行動を詫びる様にそう告げる)」
クラスタ「なに、ボクは迷惑だなんて思ってないさ(ダリルが自分たちに対して詫びの言葉を投げかけられれば微笑んで)キミなら問題なく勝てると思っていたよ。むしろ予定通りだ」
タニヤマン『かける?何を?ハチミツ?(先走ったことを詫びるダリルにそうとぼけて見せ)』
クロ「(カノエの返答に対し)やっぱり、オレッチ達の上位存在(ダアト)以外にも上位存在はいるんっスね・・・(っと、腕を組みながらウンウンっと頷き)オレッチ達の存在や素性も、そのマルクトとかいう上位存在から聞いたんっスか?(っと、先ほどターニャに話した、自分達の素性を知っていた考察の答え合わせをするように、再度質問し)」
トトポヤ「……掠り傷でも――傷は傷ですからね。(名残惜しそうに神聖魔法を掛け続けながらも、改めてぺたぺたと男の上肢へと触れる。まるで何かと整合するかのような手付きで腹筋や胸部へと触れながらも――紡がれる自身の名前に目を丸くさせる。まさか自身を助けにきたとは想ってもらずに)……わわ……私を、ですか……?(クロの一声に見に覚えがなく慌てふためいた様子で)」
クロ「なーに、勝ったのなら何の文句もないっスよ。よくやったっス、ダリル(っと、ダリルの肩を、片長耳でポンポンっと労う様に叩き)」
クラスタ「しかしなんだ、ボクらの目的はあくまでトトポヤくん達の救出だ。カノエくんと言ったか。キミがこれ以上争う気がないというのなら、ボクたちも早々に撤退したい(自分たちはともかく、トトポヤたちの体力も気になる。今の何とも言えない空気なら有耶無耶にして脱出したい)」
カノエ「――……はっ、まぁおんしらとやり合う算段になったら、ペラペラ喋るだろうのう、マルクトは。(上位存在の話題が出れば、思わず眉間に皺が寄ってしまう。忌々しいとばかりに口にしては少女の問いかけへと頷いてみせ)ワシは正直、教化だ、どうのだのはどうでもいい思っちゅう――……ダリルとも会えたしのう。目的がわかればそれでええ、マルクトも受け入れはせんが納得はするじゃろ……。(はぁ、っとさめざめとした嘆息、糸髪を搔いてはの主の名を聴く疑問に)……なんじゃ、本当に皆目見当つかんのかい……可哀想にのう」
クロ「(トトポヤの言葉に対し、しっかりと頷き)そうっス、トトポヤちゃんはオレッチ達のかあちゃ・・・(っと、放とうとした言葉を飲み込み)いあ、家族、そう生き別れの家族みたいなもんなんっスよ、血は繋がってないっスけど(っと、それらしい理由作って、言葉を紡ぐ、母であったのだから、家族というのは何も間違ってはいない。これからは新たな兄弟姉妹(きょうだい)として扱う方が、彼女も混乱しなくて済むだろうと考え)トトポヤちゃんも孤児なのなら、兄弟姉妹(きょうだい)の様な存在がいても、何の不思議もないっスよね?(っと、無理やり納得させる様に言葉を積み重ねて)」
カノエ「……コルタナっちゅう、マルクト以上にじゃかぁしい女じゃ。青白い肌に、長耳の――……短い期間言うとったが、オーランド領で過ごした時季があるがじゃろ?――最近、ようやっと口を開くようになってのう、喋りよるとおもったら、延々きさんらの話ばかりじゃ、堪ったもんじゃないわい。」
クラスタ「なにをこのやろぉ!下手に出ていればいい気になりやがって!(の提供者にたいしてカノエがあきれたように首横に振ってため息を吐く。その姿をみてプンスカと激高する。上位存在が介入していないのなら見当なんてつくはずもない。ヒントのない謎かけはただの意地悪だ)」
カノエ「ははっ、怒っても可愛いのう、おんし(ぷんすか憤る少女へと子供に接するようにへらへらと笑んでみせ)」
タニヤマン『やっぱり誰かが私たちを監視しているのかなぁ…?(わざとらしく怯えたふりをすれば瞬く間にゲラゲラと笑い始め)それほどまでに有名なりすぎたんだね私は!!!(かと思えばぴたりと動きを止め)……なんかしたっけ?(さっぱり思い当たる節が無いといった様子で首を傾げ)』
ダリル「ゴホンッ!!―――感謝します………。(そう女性に治療されながら男は気恥そうにそうボソッと言葉を紡げば)カノエ、お前にもう戦闘の意思がないなら俺は追わん。俺に会う目的があったなら達成も出来たならとっとと引け。(そう言葉を告げた後に驚愕の言葉が出てくれば)コルタナ………まさか…」
トトポヤ「い、いいい……生き別れの家族……そのぉっ……ダアトさんには、……前にそんなことをさらりと言われたような記憶がありますけど……(実感どころか記憶もなければ戸惑うように視線を彷徨させる。)」
クラスタ「…………(コルタナという女性の名前が出れば、一瞬沈黙が訪れた。先ほどまで激高していた思考が急激に冷えていくのが分かる。一瞬、過去の出来事が走馬灯のように頭に流れ込んだが咳払いを一つして)――ふむ、カノエくん、そのコルコ……コルタナくんはいまこの場所にいるのかね?」
ボッツ「へぇえええっ……!?トトポヤ姉ちゃんの生き別れの家族だってぇっ!?ちょ、そんなっ……それにしても、バラエティ豊かすぎじゃないっ…?」
クロ「(カノエの上位存在から自分達のを聞いたと思ったが、まさかの名前が出て、驚きで両耳がピンッと立ち、眼球が見開き)コル・・・タナ・・・だって?嘘を言うなっス!!コル姐はもう亡ないんっスよ――――ッッッ!!(っと、激昂し。コルタナは、確かにあの夜にアディシェスに殺された、間違いない、生きているはずがないのだ)」
タニヤマン『……………………(コルタナの名を聞いた途端どす黒く変色したマナを全身から吹き出せば)いひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!いゃははっはははは!!!(刹那壊れたおもちゃように笑い始める。一通り笑いきればその膨大なマナの矛先をカノエに向け)笑える』
カノエ「――……(4人の感情の起伏と激高具合を見遣る、視線を僅かに伏せては前髪を揺らして小さく首を左右に振って)……おらん。聖紋はここで賜ったと聞くが、ワシはドラシール教については自他ともに認める程に関心がないからのう。」
クラスタ「クロ、静かにしたまえ。カノエくんが彼女の名前を出し、生存の有無をこの場で立証することの出来ない以上、コルコルが過去に死んだ、死んでないという理系特有の『1』か『0』かの不毛な水掛け論は不要だ(そう、彼女は8年前『死んだ』。だがそんなことは重要じゃない。いまここで彼女の名前が出て、誰が彼女の名前を語っているのか。その人を知ることが重要だろう)」
クラスタ「カノエくん、急に取り乱して失敬したね。キミが呼んだ子の名前はボクにとってとても大事な人の名だ。ボクらは彼女が8年前に死んだことを確認していてね、だからちょっと動揺しているんだ(カノエの前まで歩み寄り、彼の両目をじっと見つめて)その現代に生きている『コルタナ』くんという人間についてボクは非常に興味がある。ここにはいないのなら今どこにいるか教えてはくれまいかね?」
ダリル「本当にコルタナなのか………。(そう自問自答する様にそう言葉を紡いで顎に手を添える、確かに自分たちの存在を詳しく知る人物の名としては納得できるところもあり)クラスタの言う通り実際に俺たちの目で確かめるまでは断言はできないな。(そう憶測で物事を荒がないようにそう言葉を紡げば)」
カノエ「おんし、ターニャじゃろ。――酷い有様じゃのう、互いに知らずに死んだ方が一等マシと思うわい。――……人情っちゅうは、ルナヴェスであろうと日の本であろうと普遍じゃ、ワシは原生民相手に義理人情を抱くなとは言わんが…(憐憫とも哀れみとも取れない眼差しを向けては、酷く残念気なため息を零す。これ以上、この話を広げて良いものかとうしろ髪を搔いて)」
クロ「(クラスタの冷徹な言葉、そして、ターニャの狂気の笑いに、身体がビクつき、主人から怒られたペットの様に気落ちした表情で俯き。クラスタはコルタナと女性同士で一番仲は良かったし、傷ついているのにも関わらず、冷静に分析し、を探ろうとしている。そしてコルタナが亡くなって、一番傷つき、狂気に落ちているのはターニャだ、二人を除いて、自分に何かいう資格はこの場にはないだろうと、頭を冷やし)すまないっス・・・、冷静じゃなかったっスよ。クラスタ、この件は任せるっスよ(っと、自分は口を閉じ)」
タニヤマン『(ダリルの言葉、クラスタの考察、クロの謝罪を聞けばすっとマナをひっこめる。頭が冷えたのかいっそう冷徹な視線をカノエに落とし)…………そりゃそうだ。死人が私たちを拐してる!怖い!怖いから歌っちゃお!!(くるくると踊りながらその場を離れ愛杖をかき鳴らし始める。自分が口を挟めば話が進まないことを何処かで悟ったのかあえて興味なさげな態度を取り)』
カノエ「……ドラシール教の総本山、王国のヤレファ大神殿内におる。死んではおらんが……(教化を施された経緯や全身くまなく施された聖紋、喉元まででかかった言葉を飲み込んでは、あっさりと居場所を吐露する。)……とは言え、ユカリアのお気に入りじゃ、たった4人で乗り込める程、甘くはないき――……」
クロ「(カノエとの話は、クラスタやダリルに任せていいだろう。自分はそれ以外のフォローに回ろうと、トトポヤに近づき)そういあ、聞きそびれてたんっスけど、トトポヤちゃんはどういう経緯でここに来たんっスか?(っと、経緯を聞こうと、質問を少女に投げかけ)」
トトポヤ「コル、タナ……(4人が次々に名を出す人名と思われる単語。知らない筈なのに妙に呼びなれた、馴染みのある語感に思えては、静かに一同の会話に耳を傾けて)」
ダリル「クロ、お前の他者を全力で想いやる気持ちは嫌いじゃない。(そういつも全力で何かを表現する男にそう声を掛けてシュンとした頭をポンっと手を置けば)ターニャも傷ついているならいつでも頼れ。(そうソッポを向いた男の背中にそう声を掛け)」
クラスタ「ボクはその『原生民』という言葉は嫌いだ(この世界の人間とボクたちの間に壁があるようなその言葉は、まるで自分たちを『特別な存在』だと自負しているような気がしてならない。だがそれは間違いだと自分は思っている。トトポヤだってコルコルだって、ウェン爺だってオーランドのみんなだって、自分たちとなにも変わらないのだから)――ふむ、総本山、ヤレファ大神殿……か」
トトポヤ「ええっと……ドラシール教の皆さんに療養教会ごと拐われてしまって……(クロの問いかけへと宙を仰いでは思い出すように紡ぎ)」
クロ「お互い様っスね。ダリル、お前のクールな空気と思いやりにいつも助けられてるっスよ、オレッチが冷静でいられない時は、任せたっスよ(っと、いつも感情論で物を言ってしまう自分に反省しつつ、ダリルならそれを止めてくれるだろうと、お互いの信頼をぶつけ合うように、片長耳で、ダリルの肩をポンッと叩き)」
カノエ「――――……妙な考えはやめえ、ワシら転生者の目的はあくまで世界樹の踏破じゃろ。」
タニヤマン『真善美に背いたおどりかたをーおしえーてやるーからーいっせーので狂っちまえみじーめなすがーたでー♪(トゥワズブリリグをギターのようにかき鳴らし(ギターっぽい音が出る)歌っていればダリルに言葉を投げかけられ)何だい!?よく聞こえないよ!今の私はエンドレスで歌えそうなんだ!(聞こえているのかいないのかあいまいな態度でかき鳴らし続ければ)』
トゥワズブリリグ「なんなんぬぅ…」
クロ「そりゃ、トトポヤちゃんも災難だったっスね・・・。まあ、安心して欲しいっス、連れてる子供も安全な場所までオレッチ達が送り届けるっスよ(っと、ニカッと子供の様な純粋な笑みを向けながら、サムズアップし)さっき、ダアトの名前がでたっスけど、オレッチ達の事をどれくらい聞いてるんっスか?(っと、ダアトから何と説明されているのだろうと、を探り)」
トトポヤ「有難うございます、クロさん……お優しい紳士的な方なんですね……?(見上げるほどの等身を持った男性へと近づいてはその毛並みを撫ぜるようにして紡いで見せる。ダアトのことを聞かれれば何年も前になりますからねぇ、と続いて)……そうですね……昔一緒にいた人たちと時が来たら迎えにくるって……でも,別に死んでても良いって……」
ダリル「あの女………。(そうクロが話をしている彼女から上位種の話を聞けば男は眉間に皺を寄せれば)」
クロ「(トトポヤからダアトからの話を聞き)たくっ、あの上位存在(ダアト)、トトポヤちゃんに何て事言うんっスか。次あったらオレッチの両長耳で往復ビンタっスね(っと、軽くプンプンっと怒りながら)」
トトポヤ「ま、まぁ……出会ったときからあんな感じの人でしたから……冷たい人ですけど、真っ当な方だと思いますよ……(無機的で冷たい印象をもったのは否定せずに眼差しを伏せる。とはいえ、悪感情は抱いていない様子で)」
カノエ「まぁ……あん小娘もおんしらと会いたがってたのは事実じゃ。切っ掛けを作った身としては、少々心苦しくはあるが――……。(滔々と居場所を喋った身では在るが、相手が軽率な行動を取るのは頂けない。是非、眼前の陣営とは真っ当な目的の途上で戦いたいという気持ちは強く。)」
クラスタ「世界樹の踏破、それは上位存在が勝手に創ったレールだ。その上をボクが走ることは否定できないが、それ以上にボクはこの世界の人間で居たいと思っているよ(カノエの言葉をあしらいながら今後のことを考える。)」
クラスタ「――しかし、さすがにボクたちでも総本山へ忍び込むのは危険、か(口元に手を当てて熟考する。いくら自分たちがニオファイトであり相当な力を有するとは言え、この世界に存在する一大勢力と言っても過言ではない勢力の本部へ闇雲に突撃するのは危険だろう――しかし……)それでも、ボクは彼女にまた会えるのなら会いたいな」
クラスタ「すまない、少々感傷に浸ってしまったようだ。(軽く首を振って頭のモヤモヤを取り払う。)とりあえず今はトトポヤくんの保護が最優先だったね。ここはボクらにとってアウェィもいい所だ。こんなところで長居して敵兵に囲まれる前に一度街まで降りようじゃないか(相当体力も削られているだろう。まずは皆で休憩をとるのが先決だろうと考え)」
タニヤマン『え?なに?2番も聞く?(クラスタから撤退の案が出ればすっと首を突っ込み)』
クラスタ「えっ、なにそれ、2番もあるの(タニヤマンからの提案に一瞬真顔になる)」
カノエ「…………ふん……青臭い理想論じゃのう(クラスタの言葉に唾棄するが如く鼻を鳴らす。何処か苛立った表情で腕を組めば思索を巡らす。恐らく爆発的にその規模を膨張させているドラシール教の総本山に乗り込むなど、現在のどの陣営でも困難であろう。)…………クラスタ、確約はできんが、おんしらとあん小娘を引き合わせることは可能じゃ、まぁ、そも……彼奴が承諾すればの話じゃが……。」
クロ「クラスタの意見に、賛同する様に頷き)コル姐の存在の件は気になるっスけど、とりあえずこの場では答えはだせないっスね。クラスタの言う通り、一度街に戻って、兄弟姉妹(きょうだい)全員でこれからの方針を話しあった方がよさそうっスね(恐らく、街に戻れば、なんらかの上位存在(ダアト)の接触もあるだろうと、察し)」
タニヤマン『あるよぉ!いつも歌っていたからね!他にもたくさん歌えるのさ!(クラスタに反応してもらえばじゃかじゃん♪と愛杖をかき鳴らして嬉しそうに天を仰ぎ)』
ボッツ「療養教会のみんなもほとんど居なくなっちまったし……オイラも兄ちゃん達にしばらくは厄介になろっかな!トトポヤ姉ちゃんも一緒みたいだし!一人二人増えても問題ないだろ?(このままでは寄る辺がなくなると言わんばかりにトトポヤの服の裾に縋るようにこれから同行することを意思表示し)」
クラスタ「理想論でも結構だ。ボクは結果をあまり重んじないタイプでね。(たとえ理想論であり目標にたどり着けなかったとしても、それまで歩んだ軌跡に人の生き様というものが出るものだとボクは信じている。)なに、会うことができるのか!?(カノエの一言にずずいと顔を寄せて近寄り)会うためにはボクは何をしたらいい?」
ダリル「カノエ、その提案は受け取っておこう。こっちとしてもコルタナの名を聞いたからには引くに引けないところもあるしな。(そう相手の提案に乗る様にそう答えれば)」
クロ「よし、ボッツ。仲間になるのなら、獣頭種(リカント)としてオレッチは先輩っス。先輩の命令は絶対厳守っス!後輩としてしっかり先輩の背中を見て、勉強するんっスよ~(っと、鼠の獣頭種(リカント)の少年に、フンスっと、胸を逸らして、偉ぶり)」
カノエ「……好きにせえ、理想を懐いて死ぬのも、おんしの勝手じゃ。(口許を心なしか綻ばせては、身を乗り出してくる少女に目を丸くさせる。現金じゃのう、と眼差しを細めては)――……聖都での拠点がわかればええ。世界樹に向かうなら王都のどこぞを仮宿にしとるんじゃろ?……あとはマルクトの目を上手く欺けるか……」
クラスタ「聖都はそれこそ敵の本拠地じゃないか。いくらなんでも、そんなところに拠点なんてあるはずないだろう」
ボッツ「へへっ、クロの兄貴よろしくなっ!オイラぁ、獣頭種だけど、なんの訓練とかも受けてなくてからっきしだから、暇なときに色々教えてくれよ!(偉ぶるクロに対して満更でもない様子で瞳を輝かせて)」
クロ「(コルタナらしき人物の件で、カノエにどこで落ち合うかと聞かれれば)ターニャ、確か、王都に住んでたんだよな?そこは使えないっスか?(っと、ターニャに質問し)」
ダリル「なら母さ………ンンッ、トトポヤ…さんの護衛は俺がしよう。(そうクロにボッツが行けば、言い慣れないのか男が咳ばらいをしながら帽子を被ってそう答えれば)」
タニヤマン『聖都に帰るのかい?私の家泊る?下水道からこう行って…(トゥワズブリリグの切っ先で地面に地図を描きながら生き方を教え)楽しみだなぁ!!人を泊めるのは初めてだ!!!(よく話も聞かず勝手に喜びながら)』
クラスタ「なんと、ターニャは聖都に住んでたのかね(クロがターニャの住処について言及すれば、目を丸くして)聖都を根城にしていたなんて、酔狂にもほどがあるだろう……」
タニヤマン『私が狂ってるって!?そんなに褒めないでくれたまえ!!(ケラケラと笑いながらまたしても心底嬉しそうにくるくる回り)』
クロ「よーし、ボッツ!オレッチは弓が得意っスから、いつかオレッチが立派な狩人の技術を教えてやるっスよ!(っと、腕まくりしながら、少年に自信満々で返し)」
クラスタ「しかし、ボクらは目立つだろう。聖都でターニャの根城を拠点にしたとして、トトポヤくんやボクたちがしっかり羽を伸ばせるのかね(ニオファイトであり様々な種族で共に行動している自分たちだ。下手に目立ってほかのニオファイトに目を付けられでもしたらそれこそ面倒ではある)」
トトポヤ「ボッツ、あまりクロさんに迷惑をかけては駄目よ……(はしゃぎ回っている獣頭種の少年をしょうがなさそうに見やっては、傍らのダリルへと視線を持ち上げる。浅く微笑んでみせては、僅かに首をかしげてみせ)護衛……宜しくお願いしますね、ダリルさん。」
ダリル「―――委細承知した。(微笑みかけられた男は久々に向けられたその表情に色んな感情があるのか目を瞑ってそう答えれば)」
カノエ「(ターニャが描く地図を膝を折っては眺める。神妙な面持ちで記憶しながらも、はぁっと嘆息を零す。)ワシが言い出したことではあるが……おんしらなぁ……仮にも敵のにおふぁいとにこうも安々と根城の教えるっちゅうんも、感心せんのう……。人がいいんか、阿呆か……。まぁ、どっちでもええがじゃ――……言っておくがワシは伊達や酔狂でおんしらを引き合わせようとしちゅう。憐憫や思い遣りではないき……、ええな!」
クラスタ「――ふう、ボクとしたことが難しく考えすぎている節があるな(くるくると回ってよろこぶタニヤマンを横目に小さくため息をはく。色々と問題点を考えればキリがない。まずは行動してからその後を考えてもいいだろう)まあターニャの拠点が小さかった場合、ボクの錬庭術もとい箱庭の力で無理やり魔改造するとしよう」
タニヤマン『もちろん!!スウィートルームもかくやといった様相を呈していると言っても過言じゃないよ!!(キャッキャと喜びながらも全員を見回し己のアジトを想起する。狭いながらも楽しい我が家。盗品で作ったキッチンや盗品で作ったバスルーム、お宝(ガラクタ)の山に小さな同居人(なんかよくわからん虫)たち…広さも申し分ない。ここにいる者たちも入るはずだ。多分。きっと。おそらく)』
クロ「(ターニャが地面に描いた、聖都のターニャの隠れ家の地図を指差しながら)とりあえず、コルタナに会わせるという件で落ち合いたければ、ここに来るっス。茶は出せるかは分からないっスけど、出せたら一杯くらい出してやるっスよ(っと、カノエに軽口で返し)それじゃ、オレッチ達はそろそろ行くっスよ、せっかく転生した同士なんだし、できればもう戦いあわない事を祈るっス」
ボッツ「オイラ弓より剣とかのほうが良いけど……まぁいいや!これから宜しくな、クロの兄貴に、ダリル兄ちゃん!クラスタ姉ちゃん!……それとタニヤマンって人!」
ダリル「後カノエ、一つ言っておくことがある。(そう拠点に移動とする前に脚を止めて威圧感がある表情を向ければ)―――………妹はやらんからな。(そう何故か釘を差すように告げると)」
クラスタ「あはは、この雰囲気がボクたちの良いところでもあるのさ(ペラペラと自分たちのをカノエの前で相談していることを問われれば口元を緩ませて)なに、目的はなんであれ引き合わせてくれるのならその厚意に甘えるまでさ。よろしく頼むよ(ここで話は終わりだと目を伏せてから兄弟のほうへ振り返り)さあ、聖都へ向かおうか」
タニヤマン『同感だねぇ…(ダリルの「妹はやらん」という旨の発言に心底同意すればらんらんと目を光らせカノエに睨みを利かせ)』
クロ「オレッチはクラスタが幸せなら、何でもいいっスけどね~(っと、シスコンが目立つ兄弟と違って、あっけらかんと軽口で答え)」
クラスタ「みんな過保護すぎる!」
カノエ「はっ―――おっかないのう、言われんでも、手は出さんわい。……なにせワシらは、転生者同士きのう。多かれ早かれ斬り合う仲になるくらいなら色恋なぞ首を突っ込まん方がマシじゃ。(釘を差してくる男性へと口角を持ち上げる。ふぅっと一段落がつけば、再度念押すように告げて)――……コルタナの奴に無理強いはせんからな。ただでさえ聖都の空気は淀んでおるからのう。さあ、もう十分じゃろ――……(行ってしまえ、と顎で催促しては)」
クロ「(カノエに見送られ、この場から離れる為に、踵を返し、神殿を後にしようと、兄弟姉妹(きょうだい)と共に歩み始める。平行に並ぶ、兄弟姉妹(きょうだい)を見渡し、この縮図は何としても守って見せる、誰一人欠けさせないと、心に誓い)守ってみせる・・・その為に帰ってきたんだ―――立ち塞がる者は全て、オレッチが射殺して見せる・・・(8年前の少年だった時の自分が重なり、あの時誓った言葉を再度呟きながら、力強く一歩を踏み出した)
タニヤマン『聖都に帰るのかぁ…楽しみだなぁ!!(数年住んでようやく客人を迎えることに胸躍らせながら男は一歩を踏み出す。思い出したくない名に不安を抱きながらもそれを笑顔で振り払い道化は狂い舞う。もし彼女と会った時冷静でいられるか男に知る由もない)』
クラスタ「ところでポッツくん、キミは錬金術に興味はないかね。良質なリカントの毛や爪、牙は鮮度が高いほど良質な魔力結晶や武具、魔道具の素材になるんだ。なに、痛いことは寝てる間に済ませてあげるから心配しないでくれたまえ。キミのちょっとした協力でボクの知的好奇心が……仲間の装備が強くなるんだ、悪くないだろう。それに――(踵を返して聖都へと歩みをすすめながら、ポッツの毛並みを観察しながらみんなと共に歩きだした。)」
ボッツ「ひっ―――お、オイラ、難しい魔術とか錬金術とかはは興味はないというかっ……クラスタ姉ちゃんの目、なんか怖ぇよぉっ……!(知的好奇心に爛々とした眼差しを向けてくる錬金術師の少女へと、本能的な警鐘が鳴り響く。毛を逆立てては距離を取って)」
クロ「クラスタ・・・良質な獣頭種(リカント)の素材って・・・、オレッチも例外じゃないんじゃ・・・(っと、クラスタの錬金術の過程を聞きながら、自分にも降りかかってくるかもしれない話に、冷や汗を流しつつ)」
クラスタ「――じーっ……(クロの言葉にじっと見つめて)」
クラスタ「…………――!!」
クロ「おっ・・・、お助けぇええええ―――――ッッッ!!!!(っと、クラスタに実験材料の視線と、ターニャに変な対抗心の嫉妬に当てられ、直ぐさま獣の本能の危険を感知し、同じく狙われているボッツを抱え、脱兎の如く逃げ出すのであった。やはり自分には真面目な〆は似合わない星の元に生まれているのだろうっと、一人ゴチた)」
ダリル「いいだろう………―――ただお前の剣は嫌いじゃない。(そう男の物言いにそう含みがある言い方をして口元を上げて話を切るように立ち上がり背を向けて歩みだせば)ボッツ、剣なら俺が教えてやる。しかし俺の教えは生半可じゃないがな。(そう剣に興味のある少年にそう声を掛けて拠点に歩ませながらその場を後にしていく)」
タニヤマン『実験体の座は渡さないぞぉ…(チャキッとトゥワズブリリグを構えて威嚇し)』
トトポヤ「(ずっと酷いこと続きであったけれど、ここに来てようやく展望が見えてきた。療養教会の皆――自身を育んでくれた人間達がたかが一ヶ月も経たずに帰らぬ人となってしまった事は沈鬱な気持ちを引き摺るには十分な理由であったが、今は4人らといるだけで不可思議な充足感に包まれており)……賑やかで、良いですねぇ……昔みたいで……。」
【分かたれた兄妹との再会、そしてドラシール教との新たな確執を生みながらも、かつてオーランド領で起居を共にした養母の救出を果たす。然しながら世界樹の頂きを目指す旅は、その始まりを目前として暗雲が垂れ込めていた。王国に比肩するほどに勢力を増し続けている教皇――新たな転生者や、深い因縁を持つ王族の転生者の影、水面下で蠢動する世界変革のときが近づいている。】
【瘴気と黄昏の大祝祭――異世界ルナヴェスの終末に向けて加速度的に事態は動き出していた。】
【次回へ続く】
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