第13話 婚約パーティーはやっぱり大騒ぎ

「えっと…こんなんでいいのか…?」


そういやこの前も鏡の前でこんなこと言ったわ。あ~、胃薬飲みたい。その時ドアがノックされた。


「はーい」

「ソラ、やっぱり似合ってます」


ドレスを着たラターシャだった。うんかわいい…


「ラターシャも似合ってるよ」

「あ、ありがとうございます…」


少し顔が熱くなったけどお互いを見て笑いあった。ラターシャも顔が熱くなっていたらしい。


「ごほんっ、ソラ様、ラターシャ様ご準備を。」

「「あ、はい!」」


やっぱり執事さん舌打ちするような顔してるわ。そんなイチャイチャみたいなのしてないだろ?まぁ、いいわ。


「あ〜胃が痛い」

「私もです…」


ホールの扉の前で小声で話す俺等。


「「ふふっ」」

「まぁ、頑張ろう」

「ですね」


そして、ドアが開かれ婚約パーティーが始まった。

この前と違うのは人数とホールの広さくらいだった。本当に人数が多かった。それはもう本当に。


「ソラくん、婚約おめでとう」

「ありがとうございます」


お祝いの言葉をくれたのはナタリアの父親だった。


「まさか、あの小さなソラくんが婚約だとは。早いもんだね」

「やめてくださいよ、昔の話は」

「公爵、後で詳しく聞いてもよろしいですか?」

「っラターシャ!?」


ラターシャ、いつの間に!?というか小さな頃の話って言っても5年前くらいだよ?


「承知しました」

「あ、ちょっ」

「良いじゃないですか。ソラの昔話なんてそうそう聞けないんですから。」

「まぁ、そうだけどさ〜」

「ははっ、ラターシャ様も良い笑顔で笑っていらっしゃる。ソラくんのおかげかな?」

「そうですね、ふふっ」


なんかナタリアのお父さん楽しそう?ラターシャもニコニコしてるし。まぁ、見えづらいところで話してるからだろうけど。


「ソラ」

「ナタリア!それにウラーまで!」

「ふふっ、似合ってるじゃん」

「だな。いつもと別人だ」

「一応貴族モードなので」


軽口を叩きながら話す。そういやそろそろウラーも家名呼びにしないとか。いや、ウラーも公爵に嫁いだら家名変わるからそっちか。色々大変になりそうだ。


「ラターシャ様、お久しぶりです。ソラのことよろしくお願いします。」

「はい。もちろんです。」


はぁ〜、なんか恥ずいな。友人にそういうこと言われると。その時だった。


「「!?」」

「ねぇ、ラターシャ」

「えぇ、誰かが見ています…」


そう、見られているのだ。しかもこの感じただ見られてるだけではない。殺気というか狙いを定めてるというか…まずいな。


「ナタリア、カリーさんのところに」

「分かった。近くに魔法師団の者もいるから言っておくよ」

「頼んだ。ウラーも家族の元へ」

「分かった」


ナタリアとウラーも動きが早いから助かるわ。


「ラターシャ、悪いけど手離さないでね」

「はい」


多分だけど他国の者だ。誘拐でも企んでるのか?


「ラターシャ、結界も張るから」

「分かりました。バレないように隠蔽魔法使いますね」

「あぁ、頼んだ。」


そして俺達は結界をバレないように張った。手を繋ぐのも忘れずにだ。その時、停電が起きた。


「きゃぁぁ!何なの!?」

「停電!?」


俺はすぐさま光魔法をつけた。ラターシャも魔力をくれる。


「ちっ」


どこからか舌打ちが聞こえた。


「ラターシャ、隠蔽魔法解いて良いから。光魔法に専念して。俺は襲撃者を止める」

「分かりました」


そしてラターシャは隠蔽魔法を解いた。光魔法の光が強くなる。そして俺は襲撃者を結界で囲んだ。狙われているであろうカリーさんとナタリアも囲んで。その後俺は拘束する魔法を用意し襲撃者達を拘束した。魔力探知では他の殺意はないので大丈夫だと判断した。

そした数分後電気がまたついた。そのことに気づき、ラターシャは光魔法を解いた。あ、拘束されたな。俺は全ての魔法を解いた。流石に魔力量が…


「っソラ!」

「ご、ごめん」


ラターシャに支えられてしまった。ラターシャが治癒魔法をかけてくれた。


「ありがとう、ラターシャもお疲れ様」

「はい、ソラもお疲れ様です」

「ラターシャ様!ソラ様!大丈夫ですか!?」

「あ、はい。魔力がごっそり取っていかれたのでちょっとふらついちゃいましたけど大丈夫です。」

「私も大丈夫です。」

「族の拘束や結界での保護ありがとうございました!」

「いえ、後はよろしくお願いします」


そして襲撃者達は逮捕され、俺達の婚約パーティーはなんとか無事終わったのだった。


ーーーーーーーーーーーー


「はぁ〜俺たちの婚約パーティーはなんでいつも大騒ぎなんだが…」

「確かにそうですね…」


呪いか?なんかあんの?


「っラターシャ?」

「はぁ〜本当に良かった」


ラターシャが抱きしめてきたのだ。なんかラターシャがしたそうだったので俺も抱きしめる。


「ソラが汗ダラダラで倒れそうになった時背筋が凍りましたもん。本当に良かった。」


少し涙声だ。そこまで心配にさせちゃったか…。俺は抱きしめる力を強くした。


「ありがとう、心配してくれて。でも、ラターシャに何も無くて良かった…本当に良かった…」


結局俺達は自分では無く相手の方を心配していたみたいだ。


「ソラ、ありがとう大好きです」

「俺も大好きだ、ラターシャ」


そして思ってもみなかったが、俺とラターシャの口が重なった。





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