第7話 婚約パーティー準備中
「よぉ、ソラ。明後日はよろしくな」
「うん。楽しみにしてて」
ラターシャとあってはや1ヶ月。婚約パーティーは明後日に迫っていた。今回は身内のパーティーで4ヶ月後には公爵など貴族が集まった婚約パーティーをするらしい。公爵は大変だ。もう俺はすでに気が重く、溜息をした。
「ラターシャ様とはどうだ?」
「あ~、いつも一緒に勉強したり、世間話したりとかしてるよ。最近は婚約パーティーの準備で忙しかったけど」
確かにそんなことをしているが、ほとんど魔法で遊んでいた。現在のラターシャは俺と同等くらいになり、無詠唱の知識がまだ足りないだけで、俺を越しそうでとても怖い…守れる存在みたいな夫に憧れてたけど…ラターシャ自分で守れちゃいそうなんだよな〜泣きたい…
「お前…なぜラターシャ様と話せる?」
「え?ラターシャ話しかけてくれるし、友達とはちょっと違うけど、とっても話しやすいからかな?」
ナタリアとかウラーとかとはちょっと違う気もするけど隣にいて楽しい。意外と気が合ってよかったかも?
「あのラターシャ様が話しやすい…考えられんな」
ナタリアもウラーも驚いてたけどそんなに笑わない人なの?ラターシャって。
「あれ?ソラ、まだいたの?なんか分からないけどカラータ家の馬車があるからもう教室から出てたのかと…」
「え!?なんで!?」
あれ?先週なんも言ってなかったよね?義母様。
「じ、じゃあ何かわからないけど急ぐわ!」
「お、おう!また明後日な!」
「気をつけてね!」
そして俺は教室を出た。
「お疲れ様です。ソラ様」
「はい…じゃなくてうん。今日は何か用?日曜日に来るなら分かるけど…ここ学校だよ?」
何のようだろうか?あ、実はお義母様に執事やメイドさんのことは敬語ではなくタメ語のほうがいいわよ、あなたは将来ここの当主なのだから。って言われちゃったので現在進行形で敬語をタメ語に直し中だ。
「実は、ラターシャ様に婚約指輪を決めてほしいのです」
「指輪!?」
あ、そういやウラーが指輪交換したとか言ってたな。
「後、今日泊まれないでしょうか?」
「カラータ家に?俺は別に義母様と義父様の許可が出れば全然いいけどどうして?」
「ラターシャ様…公爵令嬢で今回も旦那様や奥様の友人も来るのですが…その方々が苦手で婚約パーティーというのもあってか緊張しているようで…奥様も出来れば今一番仲良く話してくれてるソラ様が来てくださると嬉しいと…」
なるほど…俺も貴族に会うの苦手だけどラターシャは位の立場もあるし、いろいろ言われてきたんだろうな、男子にも女子にも…
「分かった、けどやっぱり許可が…」
「大丈夫です。もう許可は取ってあります」
あ、この笑顔逃がさない笑顔だ。強制でも連れて行くつもりだったな!!まぁいいか。洋服は一応3日分収納箱に入れてるし。
「じゃあまず、指輪見に行きましょうか」
「あ、うん」
そして俺は指輪を選びに行くためカラータ家の馬車に乗った。
「うわぁぁ!指輪ってすごい種類があるんだな…」
とても有名な指輪屋さん(何か奥の部屋に呼ばれた)に連れて行かれ綺麗な指輪が何個も置かれていた。そしてその値段を見て驚愕した。ゼロが何個か多くない?と思ったほどだし。
「あ…」
そして俺は一個の指輪に気づいた。小さなダイヤがあって後ろにはイニシャルが入れられるらしい。他のは派手なのが多いけど、ラターシャに似合いそうだ。
「これ、お願い出来ますか?」
「これですね?分かりました。ラターシャ様にも似合いそうですね」
社員さんがそういうと使用人さん達2人がサイズなどを言って日曜日の朝来ることになった。
「ありがとうございました」
「いえ、次は結婚指輪ですね、待っています」
「あ、はい」
笑顔で言ってくれたけど流石に照れるな…
「じゃあ、カラータ家に向かいます」
「うん、よろしく」
そして用事を済ませた俺はカラータ家に向かった。
「え!?ソラ!?」
「あら、来てくれたのねソラくん」
ラターシャ驚いてんな〜、というかお義母さんあなたが呼んだんだよ?
「えぇ、少し遅れてしまいましたが、婚約パーティーも控えてますし、お言葉に甘えて今日は泊まらせていただきます」
「そう、良かったわ」
あの、お義母さんいろいろありがとうと言ってるのは分かるけど、ウインク&サムズアップは驚くよ。ガチで。ラターシャには気づかないようにしてるけどほらお義父さんが顔引き攣ってるじゃん。
「私達はちょうどご飯食べ終わっちゃったけど、ご飯は?」
「いえ、大丈夫です。食べてきたので」
正確には収納箱に軽食があったので食べたんだけど。
「そう。じゃあ、ラターシャ、ソラくんも来たし一緒にいれば?」
うん。お義母さんラターシャのこと思ってて言ってるよね?ニヤニヤしてるのは気のせいだよね?腹黒っぽいって思ってたけどうん。完全に腹黒だね。Sだね。
「はははは、はいっ!行きましょうか!ソラ!」
「あ…うん。フフッ」
笑ったのはバレてないだろうけどラターシャの動揺っぷりがやばいな。
「びっくりしました。どうしたんですか?」
「いやね、学校の校門でカラータ家の馬車が止まってるってウラー…この前言った幼馴染が言ってさ。びっくりして行ったら今日来れませんか?って言われて」
「バレて心配させちゃったのかもしれないですね」
「いや、俺も緊張してたし、ラターシャと話したかったんだ」
「そうなんですか…?」
お、少し元気になったか?
「私は、毎回パーティーで男性には結婚を申し込まれては射殺されそうな目で見てくる女性に囲まれて…それで笑顔で表にはほとんど出なかったのです」
「ナタリアが言ってたのはそれか…」
男性には好かれ女性には嫌われまぁ、ラターシャが辛いのも頷けるな。
「俺のほうが怖いよ。だって婚約発表の時だって学校中の男子に射殺されそうな目で見られたんだもん、婚約パーティーで何人にそんな目を向けられるのやら」
あ~お腹痛い。考えるだけでお腹痛い。
「だからさ、俺等二人とも緊張してるし、今回は、俺達二人で行動することがほとんどだろ?だったら二人で緊張して、で終わったら二人で愚痴るそれでいいんじゃないかな?」
と言いながらも俺耐えれる自信ないわ。
「うん、分かった。ありがとう、来てくれて良かった…」
「ん?ラターシャ?」
え?嘘、寝ちゃった系?しかも俺の肩で…
「かわいい…」
ちょっと口空いててよだれでそうになってるし、気を張ってて疲れたのか?まぁいいか。寝れたようだし隣にいたいけどお風呂入らないと。
「おいしょ…」
ラターシャをベッドに寝させて布団をかけた。うんかわいい…
「ソラ…ありがとう…す…き…」
「!」
今好きって言ったか?いや寝言だ。夢でなんか美化でもされてるのだろう。まぁ、それでも嬉しいな。
「こちらこそありがとう。おやすみラターシャ。」
そう告げて俺はラターシャの部屋を出た。
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