ヤマシタ アキヒロ

あなたを思うとき

わたしの心は

子供にもどります


わたしがまだ

雲の上でひとり

さまよっていたとき


遠くの空に

あなたの姿を

見つけました


下界へ降りて

あなたの胸に

居場所を見つけた


あなたは

わたしの頭をなで

その乳を含ませた


わたしがどんなに

むずかろうとも

辛抱づよく

わたしをあやした


長じてのちも

いつも遠くから

わたしを見守った


年老いたあなたを

背負うときでさえ

心はあなたに

ついて行きます


いつまでたっても

あなたに追いつけない


ああ今なぜ

涙が出るのでしょう


ああ今なぜ

胸はふるえるのでしょう


老いさらばえた

母なる人よ


あなたを思うとき

わたしの心は


神のみむねに抱かれる

天使のように

安らかです


       (了)

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