連作の良さは、その三十一字に滲む行間に想いを馳せることができる部分だと思うのですが、この短歌の連なりは、届かないことを二転三転頭の中で転がしながらも、絶望と希望を往復する様子が切実に現れているのが非常に良いと感じました。
『きみの声〜』と言う第一首から片思いである連作の世界が開けていくのを感じ、同時に何か憧憬のようなものを思ったのは、きっとこの片思いの心を多くの人が経験したことがあるからではないでしょうか。
切なさがつぶさに出ており、連なりが深く進んでいけば行くほど、この片思いのどうしようもなさ、そして、それでも君に何かを刻みたい切実な思いが滲んでくるようでした。『秘密なら〜』の青春模様、『普段なら〜』の健気ながらも報われない姿、そして『振り向いた〜』で描かれる様子には胸が締め付けられます。
世界の中心が恋であったあの頃の報われなさを表出した素晴らしい連作。
短い詩のなかに、「まだ」や「知らない」という言葉が柔らかく置かれていて、未成熟なことを否定せず、むしろそこに確かな存在や伸び代を見出している――そんな感覚がとても好きです。
神様じゃなく、君自身を見ているような、圧倒的な信頼があって。
つぼみのままでも尊いこと、変化を前提としつつ、今の姿もちゃんと愛していること。
静かな言葉の中に、成長と希望の両方がそっと息づいているようで、読みながら胸がふわりとあたたかくなりました。
うまく言葉にできない自分がもどかしいのですが……この詩の「子」も、きっとそんなもどかしさを抱えながらも、自分を信じて一歩ずつ歩いていくのかな、なんて思いました。