びっくり

 オレはこのまま調子にのって、カナヨをドキドキドギマギさせるつもりです。

 

 

「あ、なんかノド渇いたね。いま飲み物とってくるわ」

「うん、ありがとう。それならわたしも手伝うよ〜」

 ってカナヨは、立とうとしてくれた。

 

「大丈夫だから座ってて」

 

 その言葉にカナヨは、

「ありがとう」

 と、お礼の言葉と同時にかわいい笑顔をセットでよこしてきた。

 

 くっ…

 

 かわいい。

 

 

 おいオレよ‼︎

 

 今は、オレのターンじゃないか!

 

 うっかりドギマギしてるのは、オレやん…。

 

 

 よし‼︎気を取り直してと…。

 

 下におりて、お茶とカナヨの好きなお菓子を用意した。

 

「飲み物お待たせー」

 と、飲み物とお菓子を提供いたしました。

 

 

 するとカナヨが、お菓子を手に持ち…

 

「はい、お礼に食べさせてあげるねぇ♡あーんは?」

 なんて言ってきやがったぜ。

 

 …

 

 おっとぉ‼︎このままじゃ、カナヨのペースにのまれてしまう。

 

 

 …けど、あーんしてもらっちゃう?

 

 うーん…

 

 

「あ、オレにお構いなく。なんならオレがカナヨに食べさせてあげようか?ほら、カナヨちゃんあーんどうじょー」

「え、わたしは…てか、どうじょーってなによ。どじょうみたいでなんかイヤ。」

 と、ソッポむかれてしまいましたね…。

 

 

 てか、どじょうってなんなんよ…。

 

 

 …

 

 そのあと、二人でお茶をごくりと飲んだ。

 

 よくわからんが、気を取り直してお菓子をとろうとしたら…

 

 

「「あ」」

 

 まさかの同じお菓子に手を伸ばしたオレとカナヨ。

 

 

 手が重なりました。

 

 だから、オレはそのままカナヨのおててをスリスリしてやった。

 

「ちょ…気持ち悪いから」

 

 カナヨは、慌てて手をどけた。

 

 

 たしかに、おててスリスリは…キモかったね。

 

 少し反省しているとカナヨが

「手…おっきくなった?ちょっとみせてー」

 とオレの手を拝借しだした。

 

 

「あー、やっぱり手大きいね。」

 って言いながらさ、オレの手のひらを指で優しくつつ〜ってやるんよ。

 

 

 ヤバ…

 

 くすぐったきもちいやん。

 

「ちょっ…カナヨ…くすぐったい」

 

 慌てて手を引っ込めたよね。

 

 

 な、なにしてくるんよ…。まったくカナヨってばさ。

 

 

 危うくカナヨペースになるところだったわい。

 

 変な汗をかいたので、オレはお茶をゴクゴク飲んだんだけど…

 

 

「それ、わたしのお茶だよ?」

 って言われた。

 

「えっ⁉︎」

「ウッソ〜ん」

 って騙された。

 

「なんだよ、びっくりしたわ」

「なんでびっくりなの?それは、嬉しいびっくり?それともかなしいびっくり?」

 

 …

 

「かなしいびっくりって…なんだよ」

「あー、じゃあ、嬉しいびっくりなんだ?あ、間接キスじゃん♡って思った?」

「べ、別に思わないし…」

「なーんだ。残念だなぁ。嬉しいびっくりだったよ。っていうかと思ったのになぁ。そしたら、ほんとに飲みかけあげたのに。ノドカラカラみたいだしさ。」

「いや…なんかもうそれは…目的が変わってるし…」

「目的地周辺です」

 

 

 …

 

 カナヨは、いつも思ったことを口にする。

 

 

「なんだよ、目的地周辺って…」

「なんだろうね。あ、ところでそろそろ寝ない?」

 

 

 ⁉︎

 

 いきなりの寝ない?発言にびっくりするオレ。

 

 

「な、なんだよ…寝るってなに?」

「仮眠だよー。十五分くらい寝るのっていいんだって。だから、昼寝仮眠だよ」

 

「そういうことね。なら、寝ていいよ。オレ時間になったら起こすよ」

「え、一緒に寝ないの?新婚なのに?」

 

 …

 

「そもそも新婚じゃないし。あ、でもカナヨが一緒に寝て欲しいっておねだりするなら、腕枕してやろうか?」

 

 オレは冗談で一緒に布団に入ろうとした。

 

 そしたら、全力で

 

「え、え…えと…だ、大丈夫です。ま、枕あるから、ほんと大丈夫。」

 と、見事にテンパっていた。

 

 

 やっぱりかわいいカナヨなのでした。

 

 

 続く。

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