『生き方』と『社会』という、人間が生きる上で重要なテーマの答えを歴史から得られないか

わたしは、人間が生きる上で重要なテーマは2つに集約されると思っています。

1番目は、『生き方』。

2番目は、『社会』です。

2番目の社会とは、人間が集団を構成する上で必要な仕組みやルールのことであり、これは有史以来多くの方法が試されました。

独裁制、共和制、民主主義、資本主義、社会主義、共産主義などでしょうか。

どれが良いかの議論はさておき、一つだけ確実に言えることは……

「どんな実もやがては腐る」ということです。

腐り果てた実を滅ぼすための『破壊』と、新しい体制の『構築』が何度も繰り返され、その一つ一つが歴史として残っています。

その一つ一つの歴史を紐解（ひもと）くと……

今わたしたちの生きている体制は、永遠に続く、完成形ではないことが分かるはずです。

例えば。

アメリカ、イギリスなどの欧米諸国や日本などの国が取り入れている民主主義という制度でさえ、2000年以上も前に地中海沿岸に存在した古代ローマの「共和制（議会制）」を『真似した』に過ぎません。

この共和制（議会制）という斬新な社会システムは、強い愛国心の元に一致団結して戦う世界最強の軍隊・ローマ市民軍を誕生させ、加えて属州から富を吸い上げる秀逸な経済システムの構築で世界で最も富裕な国家となって、強大な武力と絶大な富を背景に数百年に亘（わた）る平和［パックス・ロマーナ］を築きました。

ところが！

「どんな実もやがては腐る」との言葉通り……

共和制（議会制）もやがて腐り果て、格差の拡大、物価高騰、治安の悪化、未婚の増加による少子化問題などを解決できず、世襲議員に愛想を尽かしたローマ市民は『強いリーダー』を求めるようになります。

巧みな印象操作でローマ市民から絶大な支持を集めた戦争の『天才』・カエサル（ガイウス・ユリウス・カエサル）は、腐り切った議員を一掃（いっそう）すべく自身を慕う兵士たちを率いて首都への進軍を開始します。

「賽（さい）は投げられた」

この有名な言葉を残してルビコン川を渡河したのです！

ローマ市民から熱狂的な歓迎を受けて首都へ入城したカエサルは、議員に味方する軍勢を次々と撃破して『独裁者』への階段を駆け上がっていきますが……

権力や富を奪い取られた者たちの深い恨みを買ってしまい、めった刺しにされて殺害される悲劇的な結末を迎えます。

「ブルータス、お前もか！」

この有名な言葉を残して。

しかし。

暗殺やテロリズムで歴史の流れを『停滞』させることは出来ても、『逆行』させることは絶対にできません。

腐り果てた実である共和制（議会制）の終焉は刻一刻と迫っていました。

カエサルから後継者に指名されたオクタウィアヌスは、養父と同じ轍（てつ）を踏まないよう蛇のような用心深さで行動します。

表向きは共和制（議会制）を守ると言って議員や民衆を『騙（だま）し』、『欺（あざむ）いて』味方に付けつつ、その裏では着々と自分自身に権力を集中させて共和制（議会制）を有名無実化させていくのです。

こうして古代ローマの共和制（議会制）は終焉を迎え、「独裁制（帝政）」への劇的な変化を遂げることになりました。

「兵は詭道（きどう）なり（正面から戦うなど愚かであり、むしろ相手を騙（だま）し、欺（あざむ）いて犠牲を最小限にすることこそ肝心である）」

この有名な孫子の兵法にある言葉の通りに。

加えて。

共和制（議会制）から独裁制（帝政）へ移行した直後の時代には、世界で最も大勢の人々の『生き方』に影響を与えた人間であるイエス・キリストが誕生し、古代ローマが築いた平和［パックス・ロマーナ］を利用して急速にその影響力を拡大していきます。

まるで。

誰かが彼の影響力を拡大させる目的で、古代ローマという秀逸な国家の誕生を導いたかのように。

これらの出来事は……

今わたしたちが生きている現代起こっている出来事と非常に『酷似』していると感じられてなりません。

歴史は、繰り返すのです。

一方。

1番目の生き方とは、人間としてどんな生き方が『最善』なのかを考えることです。

人々が真摯（しんし）に学ぶことを怠（おこた）り、自分の頭で筋道（すじみち）を立てて考えることを怠り、誰かに付いていけばいいと『楽』をした結果として、社会が劇的な変化を遂げてしまうとしても……

わたしたちが自由意思を持つ人間である以上、どんな生き方をするかと社会の変化は全く別問題であるべきです。

もし。

社会の変化に伴って生き方まで変わってしまうのならば、それは『自ら』生きているのではなく『誰か』に生かされているだけの存在……

飼い主の言いなりになるしか選択肢のない奴隷と、何ら違いがないではありませんか。

ならば。

より多くのお金を稼げばいいのでしょうか？

より多くの楽しみを得ればいいのでしょうか？

より有名になって承認欲求を満たせばいいのでしょうか？

お金があれば、楽しみがあれば、有名になれば、誰かの奴隷として生きる人生から『自由』になれるのでしょうか？

これも一つだけ確実に言えることは……

お金も、楽しみも、有名になることも、自分を一時的に幸せにしてくれるものの、すべての人間を幸せにはせず、不幸や悲劇を生む場合さえあるということです。

では。

どんな『生き方』をすれば良いのでしょうか？

この非常に難しい問いの答えを『歴史』から得たいと思い、わたしは小説を描くことを決めました。

大衆娯楽［エンターテインメント］とは違って小難しい内容になっているかもしれませんがご容赦ください。

（わたしは本当の歴史はエンターテインメントではないと思っています）

ご質問、ご指摘含めてコメント頂けると嬉しいです！

いずもカリーシ