第5話 親衛隊の別の顔

「月華………可愛、あ〜どうしてそんな格好を……?」


正直な私の反応に月華の眉がピクリと動くのを見逃さなかった。慌てて質問を変えてみるけど彼の機嫌は変わらない。


「隊長からの命令です、幸いまだ桜花さまの詳細については、確かな情報は流れていません。そして俺と桜花さまなら身長、体重、髪の色、長さなど瞳の色以外はほとんど変わりません」


それが災いと舌打ちしかねない声で言いながら、月華は普段彼が身にまとっている桜の紋章入りのシャツ、漆黒のジャケット、色の抜けたジーンズを渡しながら。


「俺と桜花さまは入れ替わりましょう、貴女を誘拐しようと企む輩を上手くおびき出して、逆に捕らえるのです」


目が本気だった。もし上手くおびき出せたら八つ裂きにしかねないような表情。

月華の言葉に頷きながら、私は着替えを完了させた。

彼になりきるため、普段は下ろしてある髪を後ろで1つに束ねる。

すると、普段の彼とほとんど変わらなかった。

彼の方は反対に、長い髪を下ろしている。


「本当に私と変わらないわ」


私の感想に月華は、嘆息して頭をかいた。


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