第4話
「そう?…そのワリには筆が進んでないね」
心護さんはキャンバスを覗き込んでそう言った。
「……」
「疲れたなら休憩していいよ?」
「……はい」
あたしは筆とパレットを置いて立ち上がる。
「コーヒーでいい?」
キッチンに向かおうとする心護さん。
「あ。あたしが…」
「いいよ。座ってて」
「……」
消えていく背中に黙り込む。
絵画教室をしている間は当たり前だけどちゃんと“先生”になる心護さん。
…あたし、心護さんに甘えてるんだろうなぁ。
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