2. 技

 一つ、技がある。幸せと不幸の両方を、属性違い、正負の符号違いの幸せと捉えることで、それらを真の幸せとすることができる。


 これすなわち零の幸福、表題に掲げた表現を使うならば、正負零的幸福、である。


 幸福とは無である、などと言いたいのではない。あくまで幸というものの正と負の揺れ動きの過程を無視しない。


 俗的な表現をするならば、人生酸いも甘いも、というやつである。


 つまりは幅を楽しむ、というわけである。


 この境地に至っている限りは、解釈的幸福を享受し続けているので、あなたは健全な状態である。

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