ほろ苦コーヒーフロート

第14話 ルームシェア

 最近、老舗の喫茶巡りにハマっている。

 学生の頃から仲良しの後輩のなみ透子とうこが東横線沿線に住んでいて、お互い社会人になって共同生活ルームシェアを始めた。最初は自宅近くを開拓していたけれど、沿線の学芸大学駅まで足を延ばすことにした。

「コーヒーでも飲みに行こう」

「そうですね」

 駅前の喫茶店はどこも混み合っていた。

 二人して住宅街をふらふら彷徨さまよっていると、看板に明かりが灯っていない喫茶店を見つけた。外観は味のある古めかしい雰囲気だが、営業時間は夜の八時から十一時であるらしい。

 店名は「喫茶微睡」と書かれていた。

「やってないみたいですね」

「なんで夜しか営業していないんだろう」

「さあ。なんででしょうね」

 夜の三時間だけしかやっていない特殊な営業形態に興味が湧いた。

 ただ、開店までたっぷり五時間もある。

「また今度にしようか」

「そうですね」

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