第6話7歳③

シャルロッテはなぜそこまで侍女に嫌われているのだろうか。


何かがあるはずだ。

真田茜は一生懸命、シャルロッテの記憶を遡っていく。





物心ついた時からシャルロッテは侍女や執事に嫌がらせや陰口をされていた。

だからシャルロッテはそこまで嫌がらせや陰口をされる日々に何も疑問を持っていなかった。


そういう者だと楽観視していた。

だけどシャルロッテが2歳になってすぐ妹が生まれた。


生まれたばかりのリーゼロッテは侍女や執事に嫌がらせや陰口など言われずにすくすく元気に育っていった。


そこでシャルロッテは齢2歳にして気づいてしまう。


シャルロッテは人と違う、普通は侍女や執事に嫌がらせや陰口などを言われないと


なぜここまで侍女や執事に嫌われているのかは外見だ。


真っ白い髪に真っ赤な瞳。

それがまるで鬼の子供のようだと、差別されていたのだ。

父や母は魔王に勝利したため、魔王から呪いを受けた子だと


しかし生まれてきたリーゼロッテは金髪に緑がかった碧眼。

その上母から聖女の力を受け継いでいた。


生まれた瞬間に聖女の力を使い、周りにいた人の疲労や病気、傷も全て治したのだから大したものだ。


まるで天使だと言われ侍女や執事には蝶よ花よと大切にされていた。


リーゼロッテにはたくさん人が集まっていて愛されているのに

シャルロッテは愛されるどころか嫌われる始末。


いつしかシャルロッテは妹のことを避けるようになっていた。

シャルロッテはワガママが多くなった。

(2歳だから、イヤイヤ期だしこんなものだと真田茜は思うが)


それまでは本当に聞き分けが良くいい子だったが、何事にも反抗するような捻くれた子供になってしまっていたのだ。


そしてより嫌われる侍女や執事に嫌われてしまったのだ。


しかしそんなシャルロッテを愛してくれている人もいた。

それはシャルロッテの母と父だった。


白髪赤瞳の私のことを

「白髪はお父さんの銀髪から、赤瞳はお母さんのマゼンダ色の瞳から受け継いでいるものだ」

と言ってくれた。


いつも優しくしてくれたそんな母と父がシャルロッテは大好きだった。


嫌がらせをした侍女や執事も、解雇されていった。

しかし嫌がらせや陰口は減るどころか、より陰湿なものに変わっていった。

その上父や母にばれないように隠れて行うようになったのだ。


そしてシャルロッテも嫌がらせをされても父や母に絶対に言うなと脅されていた。


歩いていたら足を引っ掛けられたり、ご飯に嫌いな食べ物を山盛りにされたりした。

冬、外を散歩していたらわざと水やりの水をかけられた日には流石に辛かった。


そしてシャルロッテは人を信じることができなくなった。

ワガママ癖は治らず、ずっと父や母についてまわっていた。

家族だけが心の支えだった。


しかし、そんな中父の魔界への出張が決まってしまう。

数年は家に帰ってこれないと知った時には泣いて暴れた。


父が出張に行ってから、シャルロッテは不安で徐々に体調を崩す日が増えていく。


そして父が出張に行ってから1ヶ月ほど経った日に、原因不明の病に侵され身体中が痺れ動けなくなった。


母の聖女の力も効かないほど重症だった。

聖女の力が効かないのはよほど強力な呪いくらいだ。


そしてシャルロッテの鬼の子説がより信憑性を増し、

離塔に送られて今に至る。


シャルロッテは鬼の子だったのだ。

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