第1章 7歳

第4話7歳①

「ふわぁ」


私は目を開けると、すぐに立ち上がった。

周りを見回すとやはり知らないようで知っているあの部屋だった。


「夢じゃない…」


今までの出来事は全て夢だった。

そんな淡い期待はすぐに消えてしまった。


先程とは違い、いい目覚めである。


ただ床で寝てしまったため体が痛く、水も落としてしまい、コップが割れガラスの破片が散らかっている。

しかし怪我はしていなかった。


よかった。


一回私は現在の状況を整理しようと思い、私の部屋のベッドの隣にある大きめの勉強机に座った。


今世の私について整理しよう。


引き出しから紙を一枚引き出し、万年筆取り出す。

そして今の私について書き始めた。


今の私の名前は、シャルロッテだ。愛称はシャルでみんなからはシャルと呼ばれている。

やばい本名が思い出せない。

本名…

前世よりは長い苗字だったのは覚えてるんだけど…


思い出した!


シャルロッテ・マフィーラ・スミズ・マルシェ・ルネディス・ベネディクトだ!


この世界ではミドルネームという文化はあまりなく、ミドルネームのところに親族の家名を自由に入れることができる。

理由は一族の完全なる滅亡を防ぐためだ。

もちろん全ての親族の家名を入れると長すぎるので大体は代表的な親族の名前を入れている。


私の場合、

ベネディクト→父 ルネディス→父方の叔父 マルシェ→母方の伯父スミズ→父方の祖母 マフィーラ→母方の祖母

になっている。


正式な場以外では名前を略し、名前と父の家名で自己紹介をすればいい。

だから名前を忘れてしまいそうだ。

気をつけなければならない。


そして異世界転生といえば貴族か平民か気になるけど…


私はどうだっけ?


記憶がまだ朧気なところがある。


「うーん。」としばらく考え込んでいると思い出した。

私のお父様は公爵だ。

つまり私も公爵令嬢ってことか…

やばい、マナーとか大丈夫かな?


「待って?!やばい!」


うちのお父様めちゃくちゃすごい人だった。

思い出したことを紙に書き込む。


ロッティ・スミズ・ルネディス・ベネディクト

28歳、二児の父。

現剣聖で八年前勇者御一行の一員として魔王城に行き魔王と和解し勝利。

今は魔界の発展のために魔界で暮らしている。

また天才で現代の医学、薬学、数学、理科の知識を塗り替える。

ルネディス王国の王の弟で王弟である。


つまり私も一応王族なのか…


「待って、お母様もやばい!」


リーシャ・マフィーラ・マルシェ・ベネディクト

28歳で二児の母。

聖マフィーラ王国から才女であったため十三年前に留学してきた元聖女。

八年前勇者御一行の一員として魔王城に行き魔王と和解し勝利。

魔王との戦いにて聖女の力を失うも出身国であるマルシェ王国の秘術を使い、今も戦いの最前線にいる。

またダンスやマナー、社交術が非常に長けており社交場の花と呼ばれる令嬢の鏡。


「妹もチート!?」


リーゼロッテ・マフィーラ・スミズ・マルシェ・ルネディス・ベネディクト

5歳、社交会デビューを控える。

生まれた時から聖女の力に目覚め、聖女。

リーシャから修行を受ける。

魔法は苦手だが、精霊魔法が得意で精霊に好かれやすい体質。


「ということは私もチートかも…」


シャルロッテ・マフィーラ・スミズ・マルシェ・ルネディス・ベネディクト

7歳

真っ白な銀髪に赤瞳である見た目から鬼の子と恐れられる。

家族には恵まれるも侍女に嫌われて嫌がらせをされる。

4歳から体を壊し、社交会デビューできていない。

魔法は使ったことがない。


「全然私はチートじゃなかった」


ていうか7歳?

幼女じゃん。

どうせなら華の17歳とかがよかったな。


見た目で差別するなんて最低な侍女たちだ。


私はなんとなく自分の姿が気になり、机の引き出しから鏡を取り出してみると、そこには美少女がいた。

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