第12話 回想〜生徒会長のお仕事〜

 私と彼女が出会ったのは、六年前のことだった。


 当時私は学生で、彼女は私の後輩だった。


 私は生徒会長として、様々な仕事を請け負っていた。そしてその仕事のうちには、生徒間の問題や、学校内の治安維持なども含まれている。


 この学校の方針だ。生徒間の問題は生徒のみで解決しろ。教師が直接手を加えない上、しょうがない問題ではあるのだが、この学校では乱闘騒ぎになることが多い。


 ならず者が多いという意味ではない。それもまた、この学校の方針であり、ルールであるからだ。


 今日もまた一つ、問題が起きていた。どうやら話では、武道館での喧嘩がヒートアップして、周りまで巻き込む事態になっているのだとか。


 私は重い腰を上げ、武道館へと向かった。


 そこで私は、信じがたい光景を目にした。


 武道館の中は、そこら中に剣で傷つけられたであろう跡が大量にあった。


 そして、その中で争っている制服姿の三名の少女がいた。


「あなた達、何をしているのかしら?」


 そんな声は誰にも響かない。私のことも知らずに、よくもまあ平気で暴れられるものだと感心しながら、私は魔杖を取り出し、彼女らを拘束しようと魔法陣を展開し、目眩ましとして閃光を放つ。


 どうせこいつらにとってはコンマ数秒程度の時間稼ぎだが、それでも十分だ。その間に魔法陣を展開し、魔力による糸を生成し、彼女らを拘束しようと向かう。この間0.3秒。だが、予想に反しそれが彼女らを拘束することはなかった。


 その中にいた赤髪で二刀流の少女が、その糸をすべて断ち切ったのだ。


 私は彼女らを睨むが、中央にいた少女が、そんなこと気にしないと言わんばかりに口を切る。


「お、さっすがカルラ。このくらいはやってくれると思ってたよ」


 私の糸を断ち切った赤髪の少女が言う。


「うるさい。優火はわざと避けてないくせに」


 最後にそういえばこいつらの同期だったうちのメイドが言う。


「二人共落ち着いてください。一時休戦する必要があるようですよ」


 どうせ穏便には終わらないので、武力行使に出ることにした。わかりやすく魔力のレーザーを放つため、魔法陣を展開し、奴らに向ける。


「おやおや、やる気かい?生徒会長サマ?」


「…あなた達に、他人を敬うということを教えてあげるわ。まとめてかかってきなさい」


「おやまあ、ご乱心のようで」


 その次の瞬間、私の魔法陣からレーザーが放たれる。

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