ケモフェチッショナル

大星雲進次郎

~挑戦者達~

――あなたにとって「猫」とは

「そうですねぇ……。ん~、言い方は悪いけど「ネタ」かな?そうだね、ネタだ。例えば犬好きな友人がいるとする。僕も犬好きだったとしたら、その後はもう単なる誉め合いだ。この世界で最も無駄な時間だよ」

――誉め合いは無駄?

「イッヌを誉め合うってことがだね。誤解されてると思うから言っとくけどさ、僕は犬好きは嫌いではないんだよ?……犬好きから付き合いが始まっていないことが前提だけどね。わかんない?例えばYS-11のことで一晩話せるくらいの友人がだよ、実は俺犬好きなんだってカミングアウトしてくれたなら、僕はどうこう言わないよ。「ヘーソーナンダー」って言うだけ」

――興味がない?

「そこも誤解だよ。僕はイッヌのことは常に興味を持って対応しているよ?公園の芝生で粗相したのなら即通報しなくちゃならないからね。むしろ飼い主よりも気にかけている場合すらあるよ」

――狂気ですね

「僕自身もそう思うよ。これに関しては……子供の頃のね……って。そうそう、本に書いてあるからそっちを読んで下さい」

――宣伝はやめて下さい

「ケチくせぇな!」

――黙れ

「ひえっ」

――あなたは無類の猫好きだと有名ですが、あなたにとって「猫」とは?

「犬好きのことをさっき話したよね。その中で僕がイッヌと犬好きを明確に区別していたのはわかっていたかい?ヌコに対しても同じことが言える。僕は猫好きだけど、ヌコが好きなのか猫好きの自分が好きなのか」

――つまり?

「混乱しちゃったかな?僕にとって理想のステータスであるために、ヌコは必要なもので、実はイッヌも必要不可欠だと言えるんだ。面白いよね」

――その、イッヌとかヌコとか、止めてくれませんか。イラッとする

「ひえっ」

――だから?あなたにとって「猫」とは……?

「いや、そもそも飼ったことないし。本に書いてあるけどさ……」

――ァ?

「宣伝ではありません!ヌ……猫は僕にとって憧れです!鍋に入れてみたいし吸ってみたい!ツンデレもされてみたいし、足元を少し触って歩いていってもらいたい!あと……」

――もういい、黙れ……

「はい!」

――とんだ変態だ

「あ、ありがとうございます!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ケモフェチッショナル 大星雲進次郎 @SHINJIRO_G

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ