第3話 真実
「どうしたんだろう。本の精霊さん」
本の精霊の言う鍛錬を続けて暫く経った時だ。突然、本の精霊と話せなくなってしまった。いつもなら口うるさく『鍛錬の時間だぞー』と言ってくるのに。「どうかしたんですか?おーい」と声をかけても応答はない。
「そういえばこの本って何だったんだっけ?」
そう言えば本の精霊と話すことのできる驚きで、本自体きちんと読んでいなかったことに気が付く。開くたびにあの騒がしい声がするのだから仕方ない。薄暗い納屋。久しぶりに小さくなった蝋燭に火を点けて本を読む。
この本はとある戦士の物語だった。
腕っぷしの強い戦士は人々から称賛され、様々な悪と立ち向かう。どこにでもあるような冒険小説だった。
本の結末に近づくにつれて手が震えた。
物語は戦士が暴れ竜の討伐に向かって死ぬところで終わっていたのだ。
どこかの本で見かけた地名に伝承……。私は納屋の本棚から古い本を漁り、血の気が引いた。
「いやだ……そんな。そんなことって……」
気が付けば私は納屋を飛び出していた。
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