第30話 酒とパンで領地繁栄!? さとうきび酒の開発 & 天然酵母パン作りに挑戦! 目指せ新たな名産品!

ラム酒で領地の財政強化! さとうきび事業、次の一手








第一章:領地の財政を見直す——新たな金策を考える




「ふむ、最近、領地の出費が増えているな……」




父親が書類をめくりながら、小さくため息をついた。


塩の村への投資、技術者の招聘、風車や塩田の改良……どれも領地発展のために必要な支出だが、さすがに 資金の流れを見直す必要がある。




「確かに、金の流れを整理しておかないと、後々困るわね」


母さんも真剣な表情で頷く。




「領地の財政って、そんなに厳しいんですか?」


俺が問いかけると、父さんは「厳しいというよりは——」と言いかけたところで、一度言葉を区切った。




「これから先、投資すべきことが多すぎる、というのが正しいな」




「投資、ですか?」




「そうだ。この領地をより発展させるためには、 先に資金を投入して環境を整えなければならない。だが、当然ながら支出ばかりが続けば、いずれ財政が逼迫することになる」




「つまり、使う分だけ、ちゃんと稼ぐ仕組みを作らなきゃいけないのね」


母さんが腕を組みながら言う。




「ふむ……現在、領地の主な収入源は 黒砂糖、燻製肉、生ハム、塩の生産 だが、これらは着実に利益を生み出してはいるものの、急激な収益増加には繋がりにくい」




「確かに、これから塩の生産量も増えてくるだろうけど、それは少し先の話ですものね」


メイドのリリーが慎重に言葉を選びながら口を開いた。




「うーん……何か 領地で大量に取れるもので、金になりそうなもの ってないかな?」




俺は腕を組んで考えた。




さとうきびの生産量は安定して増えている。


しかし、現在は 砂糖の製造にしか使われていない。


それ以外の活用方法があれば、さらなる利益を生み出せるはずだ。




「さとうきびを加工して、さらに価値を上げる方法……」




その時、ふと前世の記憶が蘇った。




「そうだ! さとうきびから酒を作るのはどうかな!?」




「お酒?」




父さんが眉をひそめる。




「なるほど、砂糖を作る過程で出る 搾りかす を有効活用するのね?」


母さんがピンときたようだ。




「いや、搾りかすじゃなくて さとうきびの搾り汁そのもの を発酵させるんだ」




「……搾り汁を発酵?」




父さんと母さんが顔を見合わせる。




「俺も前に本で読んだことがあるんだけど、果実や穀物を発酵させて酒を作るのは一般的だよね? それなら、 さとうきびの搾り汁を発酵させても酒になるんじゃないかな」




俺の言葉に、リリーが目を丸くした。




「……でも、それって本当にお酒になるんですか?」




「なると思うよ。さとうきびには糖分がたっぷり含まれてる。糖分が発酵すればアルコールができるはずだから」




「ふむ……確かに、理屈としては正しいな」


父さんが考え込む。




「ただ、酒を作るには 発酵に適した酵母 が必要になる。普通は、穀物酒や果実酒はそれぞれの原料に適した酵母を使うんだけど……さとうきびの場合はどうすればいいんだ?」




「うーん……」




俺も一瞬考えた。


この世界には まだラム酒という概念はない。


つまり、 さとうきびの酒造りを試した人がいない 可能性が高い。




「とりあえず、まずは小規模で試してみよう!」




「まあ、やってみる価値はありそうね」


母さんがクスリと笑う。




「お酒が作れたとして、それをどうやって売るの?」




リリーの素朴な疑問に、俺はニヤリと笑った。




「貴族や商人に売れば 高値で取引できる と思うんだ」




「なるほど、確かに 保存性が高く、価値のある嗜好品 になれば、領地の収入源として申し分ないわね」




「しかも、 保存が効く っていうのがポイントだ。作れば作るほど 熟成 されて価値が上がるし、長期間の交易品としても使える」




「ほう……なるほどな」


父さんが目を細める。




「ふむ、 まずは試験的に製造してみて、実際に酒になるかを確かめる必要があるな」




「そうだね。あと、発酵には 酵母 が必要だから、そっちの準備もしなきゃ」




「酵母……? それはどうやって手に入れるの?」




リリーが首をかしげる。




「それについては、天然酵母を培養すればいいと思う。 りんごやぶどうを使えば、比較的簡単に天然酵母を作れるはず だから」




「りんご……?」




母さんが驚いた顔をする。




「うん、果物の皮や果汁には 自然の酵母 が付着しているんだ。それをうまく培養すれば、さとうきびの発酵に使えると思う」




「……なるほど。お前は、本当に不思議な知識を持っているな」


父さんが微笑む。




「それじゃあ、 さとうきび酒の試作 を始めるとしよう!」




こうして、 新たな領地の事業が始動することになった——。












第二章:発酵の鍵——天然酵母の培養と新たな可能性!




坊ちゃまのひらめき——さとうきび酒とパンの新時代!?




「坊ちゃま、先ほどの さとうきびのお酒 の件ですが、具体的にはどのように作るおつもりですか?」




メイドのリリーが 興味津々といった表情 で尋ねてくる。




「うん、さとうきびの絞り汁を 発酵 させて、お酒を作るつもりなんだ!」




「ほう……発酵、ですか」


父が 顎に手を当てる。




「そう! 自然の力 で、さとうきびの糖分を アルコールと炭酸ガスに変える んだよ。それには 酵母 っていう、小さな生き物の力が必要なんだ」




「酵母……? それは、どこから手に入れるの?」


母が 眉をひそめる。




「自然界のいたるところにあるんだよ。特に 果物の皮や果汁 にはたくさんついてるんだ」




俺は 用意していたりんごを手に取り、みんなに見せる。




「だから、まずは 天然酵母を作る ところから始めるんだ!」




りんごを使った天然酵母の培養!




「坊ちゃま、具体的にはどのような方法で?」


リリーが 真剣な表情 で尋ねる。




「まずは、りんごを細かく刻んで、 砂糖を少し加えて水に漬ける。それを 常温で発酵させる」




俺は 手早くりんごを小さく刻み、 清潔な瓶に詰めた。


そこに ほんの少し砂糖 を加え、 水を注ぐ。




「坊ちゃま、この瓶の中で何が起こるのでしょう?」




「簡単に言うと、りんごに付着した酵母が糖分をエサにして増えていく。それが進むと シュワシュワと泡が立って、発酵が進んでいる証拠になるんだ」




「へぇ……坊ちゃま、なかなか面白いことを思いつかれますねぇ」


リリーは 瓶を覗き込みながら 目を輝かせる。




「この状態で 3〜5日くらい待てば、発酵して酵母が増えるはずだよ」




「失敗することもあるの?」


母が 興味深そうに瓶を覗き込む。




「うん、温度が低すぎたり、高すぎたりすると発酵が進まないこともある。でも 泡がちゃんと出れば成功 !」




「なるほどねぇ……思ったより簡単そうじゃない」


母は 面白そうに瓶を指でつつく。




パン作りにも応用!? 坊ちゃまの新たな提案!




「それとさ、リリー。この酵母って 酒造りだけじゃなくて、パン作りにも使える んだよ」




「まぁ、パンですか!?」




リリーが 目を丸くする。




「そう! 天然酵母を使うと、もちもちで風味のあるパン が焼けるんだ。ちょっと発酵に時間がかかるけど、とても美味しくなる んだよ!」




「ほぉ、パンか。確かにこの領地じゃあんまり見かけないな」


父が 腕を組みながら考え込む。




「うん、だいたいは固くて長持ちする黒パンが主流だからね。でも ふわふわのパン を作れるようになれば、新しい名物 になるかもしれないよ!」




「ふわふわのパン……うわ、それ、すっごく食べてみたい!」


母が 目を輝かせる。




「試してみよう! 酵母がちゃんとできたら、リリーにお願いして焼いてもらおう!」




「はい! ぜひやってみましょう!」


リリーが 張り切った声 で答える。




領地に広める? 新たなビジネスの可能性!




「ねぇ、これって 領地全体に広めたら すごいことになるんじゃない?」


母が ニヤリと笑う。




「広めるって……どういうこと?」




「だってさ、みんな黒パンしか食べてないんでしょ? じゃあ、ふわふわのパンを焼けるようになれば、商売になる じゃない?」




「確かに……! みんなが美味しいパンを食べられるし、領地の名物にもできる」




「おぉ、それは面白いな」


父も 笑顔を浮かべる。




「パンを作る工房を開いて、領民たちにパンの焼き方を教えたり、冒険者ギルドで売るのもありかもな」




「それなら、酒とパンの両方を作れる施設をまとめて作るのはどうでしょう?」


リリーが 提案する。




「いいね! じゃあ、まずはパンの試作から始めて、成功したら領地全体に広める計画を立てよう!」




こうして 天然酵母の培養 から始まった実験は、 酒造りとパン作りの新たな可能性を開く こととなった。


領地に 新たな名物が誕生する日 も、そう遠くはなさそうだ——!
















第三章:発酵の実験——初めての天然酵母と試作パン!




天然酵母、ついに完成! その結果は……?




あれから 五日後——。


俺たちが作った りんごの天然酵母 は、ついに発酵を終えた。




「おおっ! リリー、見て見て! シュワシュワしてる!」




瓶の中を覗き込むと、そこには 細かな気泡が立ち上り、甘酸っぱい香り が漂っていた。


成功の証拠だ!




「まぁ……坊ちゃま、本当に発酵いたしましたね!」




リリーも 目を輝かせている。




「うん! りんごの糖分を食べて、酵母が元気に増えた証拠だよ! これを 液体ごとパンの生地に混ぜ込めば、ふっくら膨らむはず!」




「まあ、素晴らしいですわ! 早速試してみましょう!」




リリーは ぱっと笑顔になり、厨房へ向かう。


俺も後を追いかける。




領地初のふわふわパン の誕生なるか!?




パン生地作り——手ごねの温もりと発酵の神秘




「では、まず 小麦粉、卵、塩、水、そして坊ちゃまの酵母 を混ぜますね」




リリーは 慣れた手つきで材料を計量 し、ボウルの中で生地をこね始めた。




「おおっ……!」




俺は 食い入るように その作業を見守る。


手の中で 小麦粉が水を吸い、しっとりした生地 になっていくのが分かる。




「ここで しっかりこねること が大切なのです。グルテンを形成 して、パンがもちもちになりますのよ」




「へぇ〜! なんか魔法みたいだな!」




「ふふっ、魔法みたいなものかもしれませんね」




リリーは 優しく微笑みながら生地をこね続ける。




「よし、生地がまとまりました! では、これを発酵させましょう!」




パン生地、膨らむ! ふわふわへの第一歩!




俺たちは こね終わった生地を布で覆い、暖かい場所 に置いた。




「さぁ、ここからが 酵母の出番 ですね!」




「どのくらいで膨らむの?」




「そうですね……数時間ほど 置くと、この生地が 倍くらいの大きさ に膨らむはずです」




俺たちは 期待しながら発酵を待った。




——数時間後。




「……おおっ!?」




生地が ぷく〜っと膨らんでいる!




「坊ちゃま! これは大成功でございます!」




「すっげぇ! これが酵母の力か……!」




俺は 思わず生地を指で押してみる。


ふんわりと 弾力のある感触、これなら……!




「では、成形して焼いてみましょう!」




領地初の焼きたてパン! そのお味は……?




リリーは 生地を小さく丸め、オーブンで焼き上げる。




「うわぁ……!」




オーブンから こんがり焼けたパンの香ばしい匂い が広がってくる。


俺も 母さんも父さんも厨房に集まってきた。




「おおっ、これは……すごくいい香りだな」




「……早く食べてみましょう!」




俺たちは アツアツの焼きたてパン を手に取り、口に運んだ。




「おいしぃ……!」




外は カリッと していて、中は ふわふわもちもち。


ほんのり甘みがあって、口の中に 優しい風味 が広がる。




「うん! これなら間違いなくウチの領地の名物にできるぞ!」




「こりゃあ……朝ごはんに毎日食べたくなるな!」




父さんも 満足げに頷く。




「坊ちゃま、すばらしいです……!」




リリーも 感動して目を潤ませている。




パンを領地に広める? 新たな計画!




「ねぇねぇ、これさ、もっと みんなに食べてもらいたい と思わない?」




俺は パンを両手に持って笑う。




「確かに……! これなら 冒険者たちの保存食 にもなるし、領民の食事の選択肢も増える ね」




母が 大きく頷く。




「パン工房を作って、村の人たちに教える のもいいかもな」




父も 面白そうに微笑む。




「そうですね。パン作りはそれほど難しくはございませんので、村の女性たちにもお教えできますね」




リリーが 嬉しそうに頷いた。




「さとうきびの酒と一緒に、パンも 名産品 にしちゃいましょう!」




こうして 領地初の酒造り と パン作り の計画は、新たな局面へと進むのだった——!




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