第29話 紅蓮の戦姫と慈愛の賢者、旧友ドワーフを招く——新たな技術者たちとの出会い
紅蓮の戦姫と慈愛の賢者、旧友ドワーフを招く——新たな技術者たちとの出会い
第1章 件名: 【ご無沙汰しております】グラムへ——かつての戦友より
本文:
親愛なるグラムへ
お元気でお過ごしでしょうか。
あなたが王都で 王宮御用達の鍛冶師 として変わらず活躍されていると聞き、嬉しく思います。
最後にお会いしてから随分と時が経ちましたね。
突然の手紙で驚かせてしまったかもしれませんが、今日は あなたの力をぜひお借りしたくて 筆を取りました。
私たちの領地で、新たな事業を始めることになりました。
それは 塩の増産計画 です。
「塩? 鍛冶師の私に何の関係が?」
そう思われるかもしれません。
ですが、これは 領地全体の発展に関わる一大プロジェクト なのです。
領地は急成長中——塩の需要が爆発的に増加
私たちの領地は 黒砂糖の生産によって急成長 し、経済が活性化しています。
その影響で 塩の需要も大幅に増加 しました。
しかし、現在の塩田と製塩設備では生産が追いつかず、領地の発展に支障が出ています。
そこで、あなたの 鍛冶技術、そして 信頼する仲間の技術者たち の力をお借りしたいのです。
求めているのは以下の技術
・ 風車・水路の設計・建造(海水を効率よく汲み上げるため)
・ 塩田と釜焚き設備の強化(生産効率を大幅に向上させるため)
・ 新たな工場・施設の建築計画(職人たちが快適に働ける環境づくり)
・ 魔道具職人の協力(将来的には魔道具による動力化を視野に入れる)
特に魔道具職人を求めている
現時点では風車や薪を使った 手動の製塩設備 ですが、将来的には 魔道具を活用してさらなる効率化を図りたい と考えています。
魔力を動力源とした風車や、魔道具を利用した竈焚き技術の開発にも挑戦したいのです。
そのため、 鍛冶職人だけでなく、魔道具職人も募集 しています。
もし 腕の立つ魔道具職人を知っていたら、一緒に来てもらえると大変助かります。
すべての種族に公平な待遇を約束
また、 今回の募集に関して、職人の種族には一切こだわりません。
ドワーフ、エルフ、獣人、どの種族であろうと その技術を平等に評価し、賃金・待遇に一切の差別なく雇用いたします。
安心して、あなたの信頼できる仲間たちとともに来てください。
安心して移住できる環境を整える
・ 相応の報酬は必ずお支払いします
・ 王都からの交通費・移動費は全額負担
・ あなたと技術者たちが安心して暮らせる住居を用意
・ 新たな工房を建設する計画も進行中(理想の鍛冶場を持てる環境を整えます)
王都では制約が多いかもしれませんが、ここでは 職人たちが自由に腕を振るえる環境 を提供できます。
あなたの技術を存分に発揮できる場所が、ここにあります。
そして、私の息子に会ってほしい
彼は わずか6歳にして魔法や武術の才能を発揮し、領地の発展にも関わるようになっています。
私は彼の未来に大きな期待を抱いていますが、 一流の職人であるあなたの目から見て、どう映るのかを知りたい のです。
あなたともう一度お会いできる日を楽しみにしています。
ぜひ、あなたの力を貸してください。
かつての戦友より。
P.S.
昔と違って、今は穏やかに暮らしておりますが、やはり あなたの鍛冶の腕前は誰よりも信頼しています。
もう一度、あなたが打った剣を手に取ることができたら嬉しく思います
第二章:戦友からの手紙——ワイバーン便、王都に舞う
鍛冶師たちの誇りと嘆き——王都の名工房
王国の中心地、王都。そこには、数百年の歴史を誇る鍛冶ギルドが存在していた。その中でも最上級の職人のみが許される『鉄神の炉アイアン・フォージ』——王国の貴族や騎士団、王宮の武具を一手に担う工房であり、ここで働く者たちは王国最強の鍛冶職人たちだった。
その工房の主にして王宮御用達の鍛冶師、ドワーフのグラム・アイアンハートは、その日も炉の前で黙々と巨大な戦斧を打っていた。
「……チッ、また無茶な注文しやがって。」
目の前に転がるのは、王国の高位貴族からの依頼。「特注品の戦斧を三日以内に仕上げろ」——そんな無茶苦茶な納期が記された依頼書だった。
「俺たちは、奴隷じゃねぇんだよ……」
鍛冶ギルドに所属する職人たちの顔も、皆疲れ果てていた。最近の王都では貴族たちが鍛冶職人を酷使する傾向が強まり、特に名のある職人ほど無茶な注文を押し付けられる状態だった。
「はぁ……、こんな仕事、やってられねぇ……」
そんなときだった。
ワイバーン便が舞い降りる——旧友からの手紙
「グラム様! ワイバーン便が来ました!」
弟子の一人が工房へ駆け込んできた。
「ワイバーン便だと?」
グラムは眉をひそめた。
王都では貴族や王族が緊急の連絡をする際、ワイバーン便を使う。そのため、ワイバーンが飛んでいるだけで街の注目を集めるほど珍しい光景だった。
鍛冶ギルドの入り口へ向かうと、ちょうど王都の使者がワイバーンの背から降り、封書を差し出してきた。
「これは……」
見覚えのある紋章。グラムは目を細め、手紙を受け取る。
封を開くと、そこにはかつての戦友の名が記されていた——。
旧友からの招待状
グラムはその場に立ったまま、ゆっくりと手紙を読み進める。
「……へへっ、面白ェ話じゃねぇか。」
自然と口元が歪む。しかし、その目は真剣そのものだった。
内容は極めてシンプル。
新しい土地での鍛冶師の募集
待遇は王都と同等以上、交通費・住居も完備
魔道具職人や建築職人も歓迎
種族は問わない
そして、送ったのはかつての戦友
「……ふっ、まるで運命のいたずらだな。」
——この手紙が届いたのは、まさに限界を感じていた瞬間だった。
グラムは拳を握り、工房を見渡す。そこにいる職人たちは、皆疲れ切っていた。王国の無茶な要求に振り回される職人仲間たち。
「おい、職人ども! 集まれぇッ!!」
——その言葉に、工房の仲間たちが一斉に振り向いた。
仲間たちへの提案
「師匠、一体どうしたんですか?」
「……王都の仕事、もうウンザリじゃねぇか?」
グラムが手紙を掲げてみせる。
「ここにはしがらみも貴族の横暴もねぇ。思う存分、好きなだけ鍛冶ができる場所があるんだとよ。」
「なっ……!? そ、そんな場所が!」
「報酬は王都と同等かそれ以上、交通費や住む場所も完備。王宮のくだらねぇ注文に追われることもなし。」
「お、俺たちにもチャンスがあるってことか!」
弟子の一人が驚いたように叫ぶ。
「……で、誰からの依頼なんですか?」
グラムはニヤリと笑う。
「《慈愛の賢者》と《紅蓮の戦姫》からの招待状だ。」
「「ええええええ!?!?!?」」
工房が大きくざわめく。
「そりゃ確かに……あの二人の依頼なら、ウソじゃねぇな……!」 「まさか……あの領地の話か……!?」
王都の職人たちの間でも、彼らの名は知られていた。そして、その二人の戦友からの招待状となれば、これはまさに一世一代のチャンスだった。
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