第27話 塩の未来を変える大計画! 風車・冒険者・天日塩で村の繁栄を目指せ!

父と村長と徹底討論!塩の未来を変える大改革、始動!








第一章:問題の整理――塩の村の未来のために




塩の村の現状を目の当たりにし、俺と父さん、そして村長の三人は村長宅の広間に集まっていた。


村長が奥の部屋から出したばかりの椅子に腰掛けながら、俺は塩の村の状況を改めて整理する。




テーブルの上には、村で生産された塩が置かれているが、その量は驚くほど少ない。


俺たちの領地では黒砂糖の生産が軌道に乗り、さらに燻製肉事業も順調に拡大している。


それに伴い、塩の需要も爆発的に増えているのだが……。




「……それにしても、この村の状況は予想以上に厳しいな」


父さんがぽつりと呟いた。




村長は肩を落とし、深くため息をついた。


「……はい。領主様の領地の発展に伴い、塩の需要が以前の数倍に増えました。


それ自体は大変ありがたいのですが、生産が追いつかないのです」




「確かに、俺の領地での発展が塩の需要を急増させた原因か……」


父さんは腕を組んで考え込む。




「塩の供給が追いつかない主な原因は何ですか?」


俺が尋ねると、村長は苦悩の表情を浮かべながら答えた。




「まず、一番の問題は人手不足です。塩作りの工程には、どうしても海水を汲んで塩田に撒く作業が必要になりますが、すべて人の手で行わねばなりません」




「たしかに、それは大変だ……」




俺は昨日、村の海岸で見た光景を思い出す。


男たちがバケツを使って海水を汲み、それを肩に担いで運び、塩田に撒いていた。


この単純な作業を何度も繰り返しているのだが、見ているだけでも相当な重労働だとわかった。




「人手が足りないのは、村の人口が減っているからですか?」




「ええ。もともとこの村には若者が少なかったのですが、最近は特に他の土地に仕事を求めて出ていく者が増え、ますます人手不足に拍車がかかっています」




俺は深く頷いた。




(つまり、この村には十分な雇用の場がなく、それゆえに人が流出してしまっているってことか)




「人手不足が原因で、塩の生産量はどれくらい減ってしまったんですか?」




「……半分以下です」




「半分!? そんなにか!」




父さんも驚いた表情を浮かべた。




「海水の汲み上げに時間がかかるせいで、塩の生産工程全体が遅れてしまい、


以前のような量を作ることができなくなっています」




村長の声には、明らかに焦りと絶望が混じっていた。




「それに加えて、もう一つの問題が燃料不足です」




俺は静かに頷いた。




昨日、釜焚き場を見たとき、稼働している釜がほとんどなかったのを思い出す。


海水を濃縮し終えた後、それを釜で炊いて塩を作るのが最終工程だが、


燃料がなければ釜を動かすことができない。




「この村には、もともと薪になる木がほとんどありません」


村長は顔を曇らせながら説明を続ける。




「周囲はほぼ海に面しており、森のある領地とは違い、燃料となる薪を自給できないのです。


これまでは、流れ着いた流木や、他の街から仕入れた薪を使っていましたが、


最近は薪の価格が高騰し、とても必要な量を仕入れることができなくなっています」




「……つまり、薪がなければ、釜焚きができずに塩の生産が止まる、ということか」




村長は沈痛な面持ちで頷いた。




「以前は薪を十分に買うことができましたが、最近は黒砂糖事業の影響で、


交易商人たちが砂糖の取引を優先し、塩のための燃料が後回しになっているのです……」




「そんな……俺たちの事業が、逆にこの村に負担をかけてしまっているのか……」




俺は複雑な気持ちになった。




自分の領地が発展するのはいいことだが、それによって別の問題が発生してしまっているのは、考えものだ。


しかも、塩は黒砂糖や燻製肉を作るのに必須の材料だ。


このまま放っておけば、いずれ自分たちの事業にも影響が出る可能性がある。




「人手不足と燃料不足……確かに、この二つが深刻な問題だ」


父さんも考え込んだ様子で呟いた。




「どうにかしないと、このままでは村の人々の生活がさらに厳しくなる……」




村長は静かに頷く。




「ですが、解決策が見つからないのです……」




村の人々は必死に頑張っている。


しかし、限界があるのもまた事実だ。




(ここで俺たちが何かしなければ、この村はどんどん衰退してしまう……)




俺は改めて、この村の現状を整理しながら考えた。




問題点の整理


✔ 人手不足  → 海水の汲み上げが手作業


 → 若者が流出してしまい、作業に必要な人がいない




✔ 燃料不足  → 薪が手に入らず、釜焚きができない


 → 他の交易商人が黒砂糖を優先し、薪の供給が後回し




「まずは、この二つの問題をどう解決するかを考えなきゃな」




父さんの言葉に、俺は深く頷いた。




「そうですね……何か方法があるはずです」




俺はじっくりと考えを巡らせる。




(人手が足りないなら、"人の力"を使わずに済む仕組みを作ればいい。


燃料が足りないなら、燃料を安定供給できる手段を考えればいい)




「少し、アイデアが浮かんできました」




俺は静かに口を開いた。




父さんと村長は、俺の言葉に期待するように耳を傾ける。




(風車を使った海水汲み上げシステムを導入することで、


人手を大幅に減らすことができるかもしれない……!)




この問題を解決するための鍵が、


俺の前世の記憶に眠っている気がした――。












前世の記憶:シチリアの塩田と風車の風景




「……風車を使えば、海水を汲み上げる人手を減らせるかもしれない」




俺はぼんやりと、前世で見た光景を思い出していた。




かつて、旅先で訪れたイタリア・シチリア島の塩田。


そこには海風を利用する風車が立ち並び、広大な塩田が広がっていた。




(シチリアの塩田は、風車をただの観光名所として置いていたわけじゃない。


塩作りの工程に、しっかりと組み込まれていたんだ)




シチリアの塩田では、風車が "二つの重要な役割" を担っていた。




① 海水の移動


まず、海水の塩分濃度は約3.5%。


このままでは塩を作るには薄すぎる。


そこで、風車の動力を利用して、海水を塩田へと引き込み、


段階的に塩分濃度を濃縮する。




風車が動くことで、水車のような仕組みで海水をくみ上げ、


高い位置にある塩田へと流し込むことができるのだ。




塩田では海水を長い距離に渡って流しながら自然蒸発を促し、


徐々に塩分濃度を上げていく。




最終的に、**塩分濃度が24%**に達したところで、


結晶化を待つために静置する。




ここまでにかかる時間は、およそ2ヶ月。


ゆっくりと時間をかけることで、純度の高い天然塩ができあがる。




② 塩の粉砕


収穫された塩は、大きな塊のままでは使えない。


そのため、風車の動力を利用して塩を粉砕し、細かい粒状にする工程があった。




(このシステムを、今いる塩の村にも応用できるかもしれない……)




俺は自分の記憶を整理しながら、塩田の風景を思い浮かべた。




海風を受けて、静かに回る巨大な風車。


延々と続く塩の結晶が白く輝く塩田。


そして、それをじっと見守る職人たちの姿――。




この世界の塩の村にも、風車を活用すれば状況を変えられるかもしれない。
















第二章:人手不足を解決する革命的アイデア!風車式の海水汲み上げ装置!


「村長、ここに風が吹く日は多いですか?」


俺が問いかけると、村長は少し驚いた顔をした。




「え? ええ、海沿いですからね。ほぼ毎日、風が吹いていますが……?」




「なら、"風車"を作りましょう」


俺の言葉に、村長と父さんの視線が集中する。




「風車……?」


村長は不思議そうに首をかしげた。




「はい。風の力を利用して、水を自動で汲み上げる仕組みを作るんです!」




俺は目の前のテーブルに紙を広げ、簡単な図を描き始めた。




「こういう風に、風車を海の近くに設置します。そして、風の力で水を上げるポンプのような仕組みを作れば、人力で海水を汲み上げる必要がなくなります」




村長が目を丸くする。


「な、なるほど……! 確かに、それなら人手をかけずに海水を汲める!」




「さらにです!」


俺は図の続きを描きながら説明を続ける。




「汲み上げた海水は、そのまま塩田に撒くんじゃなくて、"長い下り坂" に流していきます」




「下り坂……?」


父さんが興味深そうに俺の描く図を覗き込む。




「はい。ゆるやかな下り坂を作って、その途中に小さな穴を開けておくんです。


すると、海水は自然に流れながら蒸発して、より濃縮された状態になります」




村長はハッとした表情を浮かべた。


「……つまり、塩の濃度が高くなった海水だけを、最終的に釜焚きに使うと?」




「そうです! こうすれば、濃縮にかかる時間を短縮できるし、塩田の管理がずっと楽になります」




「な、なんという発想……!!」


村長は感動したように頷いた。




「これなら、人手不足を根本的に解決できます!」


俺は確信をもって言い切った。


















第三章:燃料不足の解決策!低ランク冒険者の活用!




「薪が足りない……」




村長の言葉が頭の中で繰り返される。




塩の製造には、窯焚きによる濃縮と結晶化が欠かせない。


しかし、この村には燃料となる木材がほとんどない。




「村の周りに木がないんじゃ、どうしようもないよな……」




村の近くには広大な海が広がり、森は遠い。


そのため、薪はわざわざ別の場所から運んでくる必要があった。




「だから、燃料が高騰してるのか……」




父さんも深く頷く。


「薪を買い続けるのでは限界があるな」




村長が力なく笑う。


「はい……領主様がここまでしてくださっても、焼け石に水で……」




このままでは、塩の生産量が制限されるだけでなく、コストもかさむ。


儲かるはずの塩事業が、思ったほど利益を出せない理由の一つだった。




薪の安定供給のために――低ランク冒険者の活用!


「薪が足りないなら、調達するしかないよな」




俺は腕を組みながら考える。




「この村に木がないなら、森から運ぶしかない……なら、冒険者に依頼するのはどうだ?」




「冒険者……?」




村長は怪訝そうな顔をする。




「そうだ。うちの領地には、魔の森があるだろ? あそこで倒れた木や伐採した木を集めて、この村まで運べばいい」




「でも、魔の森は危険なのでは?」




「確かに、森の奥は危険だ。でも浅い部分なら、危険度は低い。


今、冒険者ギルドには低ランクの冒険者が増えてるんだよな?


だったら、彼らの安定した仕事として、木材の運搬依頼を出すのはどうだ?」




「な、なるほど……」




俺の提案に村長は驚いたような顔をする。




父さんも納得した様子で頷く。


「確かに、低ランクの冒険者は安定した収入を得られるし、村も助かる。双方にとって悪い話ではないな」




「うん。安全な仕事なら、冒険者の数も増えるし、定着率も上がるはず。」




今までは「魔物を倒して生計を立てる」のが冒険者の基本だった。


でも、俺の領地では燻製肉の狩猟依頼など、すでに安全な仕事の仕組みを作り始めている。




「なら、次は薪運びの仕事を増やせばいい」




これで塩の村の燃料不足は徐々に解決されるはずだ。




将来の展望――高級塩への道!


「でも、窯焚きに頼りすぎるのも問題かもしれないな」




父さんがポツリと言った。




「確かに、燃料を確保する方法は見つかったけど……この方法では塩のコストがかかりすぎる」




村長も頷く。


「薪の値段が下がったとしても、毎日大量の薪を消費する以上、赤字にはならなくても利益が薄いままです」




「うーん……」




俺は考えながら、ふと思い出した。




(シチリアの塩田では、塩の結晶化に2ヶ月かかるけど……


その分、高級な塩として取引されていたんだよな)




そう、天然海塩の製造――。


時間はかかるが、窯焚きしなくても塩を作る方法がある。




「……だったら、窯焚きだけに頼らず、天然の天日塩も作れないか?」




俺の言葉に村長が目を丸くする。




「天日塩ですか?」




「うん。塩分濃度を上げた海水を長期間放置して、自然に結晶化させる方法」




「ですが、それには時間が……」




「そう、だから今すぐに量産するのは難しい。


でも、時間をかけてじっくり作れば、より高価な塩が作れるはずだよ」




「なるほど……!」




村長は納得したように頷く。




「窯焚きの塩は、すぐに大量生産できるけど、薪が必要になる。


でも、天日干しの塩なら時間はかかるけど、燃料はいらない。


しかも天然塩として、貴族向けの高級品にもなる!」




「おぉ……」




俺の話を聞いて、村長の顔に希望の色が見えてきた。




「この村の未来は、薪を使う窯焚きと、自然に結晶化する天日干し塩の両方を活用することで、より豊かになれると思う」




俺の言葉に、父さんと村長は深く頷いた。






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