第2話 住宅ローンで35年設定は長すぎ

~本編 第1話~




今年45歳、体重は100キロ超え。




いや、昔はこんなんじゃなかったんです。20代の頃はどれだけ食べても太らない体質だったし、体力も無限。寝不足だろうが忙しかろうが、どうってことなかった。だけど、年齢には逆らえないですね。




35歳を過ぎたあたりから、体が妙に重く感じるようになって、気が付けばお腹周りがブヨンブヨン。気づいた時には体重が100キロを超えてました。




そこで「これはヤバい」と重い腰を上げて始めたのがスポーツジム通い。仕事が終わる深夜にせっせと通ってトレーニングに励み、半年かけて体重を91キロまで落としました。たった9キロかもしれませんが、自分の中では大きな達成感。筋トレのおかげで体も引き締まり、姿勢も良くなったんです。




ジムの鏡に映る自分を見て、「まだイケるな、俺」なんて調子に乗ったりもしましたが、体重を戻さないように努力を続けるのが今の課題です。




そんな私、横浜の片田舎で小さな飲食店を営んでいる。妻と娘二人、庭付きのマイホーム。そして愛車は憧れのメルセデスベンツGL。さらに、大型犬セントバーナードを三匹飼うという贅沢な暮らし。趣味は釣りと筋トレで、世間的には「成功者」の一員だと言われる生活を送っています。




ただね、裏ではちょっとした「悪い遊び」もしてたりするんです。愛人がいたりして。え?最低ですか?まぁ、そうですよね。でも、家庭を壊さないための「調整」だなんて自分を正当化しつつ、バレたら即アウトな綱渡り生活を楽しんでいました。




──いや、正確には「楽しんでいたつもり」でした。




実際のところ、妻にはすぐバレました。




最初は全く気付いてないフリをされてたんですよ。「ああ、俺の隠し事スキルも捨てたもんじゃないな」なんて思ってたのに、ある日、リビングの真ん中に証拠の写真を並べられたんです。




「あんた、これ、どう説明するつもり?」




その時の妻の表情、今でも思い出すだけで背筋が凍ります。逃げ道なんてどこにもない状況で、私は平謝りするしかありませんでした。




そんな私に転機が訪れたのは、遠征釣りの帰り道でした。


泳がせ釣りで大型のカンパチを釣り上げたその日。テンションが上がりすぎて、ウキウキしながら東名高速を走ってたんです。




ところが目の前で突然、2台前の車が急な割り込み。そのせいで前の2台がガシャーンと衝突し、私の車も巻き込まれそうになりました。幸い、ギリギリのところで停車。




「いやー、助かった……」と胸をなでおろした瞬間。




後ろから「ドゴォォォォン!!!」




大型トラックが追突してきたんです。




気づけば意識が遠のき、「ああ、俺、これで終わりか」と悟りました。


でも、その瞬間に頭をよぎったのは、妻でも娘でもなく……住宅ローン。




「でも、大丈夫。俺が死んだら保険でチャラになる契約だから。良かった、これだけは安心だ。」


そう考えたら、不思議と穏やかな気持ちになりました。




「なかなか良い人生だったな……短かったけど。」




そう呟いて目を閉じた私が、次に目を覚ました時。そこには新しい世界が広がっていました。


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