第45話

「ぎゃあ!」

 耳をつんざくような悲鳴に、思わずぎゅっと目を閉じた。少ししてから、ゆっくりと目を開ける。

 なに、今の声。辺りを見渡すと、一人の男子が頭を抱えて屈んでいた。

「なに、やってんの。」

 男子はすごく震えていて、たぶん、やばい。そんな人を無視するほど、あたしの心は冷たくない、たぶん。

 面倒だと若干思いながら、うずくまる男子に近付いた。

「大丈夫ですか?」

「む、む、む、む・・・・・・ひぃっ!」

「む?なに?なにがそんなに・・・・・・わお。」

 男子生徒が指差す方向には、すごくすごく小さい虫がいた。多すぎる足と、気持ち悪い見た目。

「え、ムカデ?赤ちゃんかな?え、ちっさすぎるから、違うかも。」

「た、たすけて!虫と犬とお化けは、昔からだめなんだ!」

 「ひぃぃぃぃ。」と漫画のような声を上げる男子に若干呆れながら、近くに落ちていた木の枝で、ムカデを少しつつく。

「うぇ、気持ち悪い。」

 立場が逆な気もしなくはないけど。ムカデとか気持ち悪いし。強く勢いよく押してみると、ムカデは吹っ飛んでいった。

「たぶん、もう大丈夫。」

 そう言うと、男子生徒は周りをきょろきょろ見渡して、ゆっくりと立ち上がる。

 これで年上なら、心の中で馬鹿にしてやろう。そう思いながら、上がった顔を見る。

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