第42話
「・・・・・・ねえ、なんでいんの?」
あたしが声をかけると、あたしの存在に気づいたらしい女子はゆっくりと口角を上げてから、顔を上げた。
「・・・・・・お久しぶりです。私の家がここから近いんです。だから、一休みに来ていて。すみません、邪魔でしたか?」
ぞわっとした。丁寧な敬語も、上がっている口角も。嫌だった。
「ねえ、その笑顔、気持ち悪いから。やめて。」
そう言っても、そいつは表情を最初のようには戻さず「すみません、元々こういう顔なんです。」と笑った。
「嘘言わないで、だってあんたさっき―――」
「すみません。そろそろ、帰らないといけないので。失礼します。」
立ち上がって、一礼してから離れていく。なんだか、すごく苦しくて。いつものベンチで休むこともせず、自転車を漕いで漕いで漕いだ。
「真衣?おかえり。・・・・・・どうした?」
「とーさん、帰ってきてたの。」
「おう。今日は、久しぶりに定時で帰れたよ。」
ガハハと豪快に笑いながら、キッチンに立つとーさんを見たら、暴れていた心が、少しだけ落ち着いた。
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