第39話
「・・・・・・だれだ。」
嫌になった。誰かがいた。もちろん、開放されているんだから、利用者は少しぐらいいるだろう。けど、まさか、授業前にいるなんて。
傷んだ金髪があたしと似ていて、両耳に二つずつ着けられたピアスは校則違反。かなり高い身長と、派手な見た目は、あたしも知ってる。きっと、学年一のワルだと思う。
「あんたこそ、だれ。」
知らない人間に名前を知られている気持ち悪さはあたしも知ってる。あえて、何も知らないフリをした。
「・・・・・・お前、どっかで見たことある。」
「あたしも、あんたのことどっかで見たことある。」
「・・・・・・月野とかいうやつだよな、お前。」
「正解だけど。あんたも、岩清水とかいうやつだよね。」
「真似すんな。」
授業前にもかかわらず屋上にいた男、岩清水咲弥は、意外と面白そうな人だった。
「あたし、月野真衣。二年E組。あんたは?」
「・・・・・・岩清水咲弥。」
「咲弥って呼ぶね。あんたもあたしのことは、好きなように呼んで。」
「・・・・・・は?」
咲弥は、面倒くさそうにため息を吐いて、あたしを睨む。けど、気にしない。
同じ有名人だからか、なんだか楽だ。ボロボロの柵に肘を置く咲弥の隣に並んだ。そうしたら、咲弥はまたため息を吐いた。
「・・・・・・なんか、すごい楽。」
なんとなく、自然体でいられているような気がした。風が気持ちいい。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
結局、咲弥が屋上から離れることはなかった。何も喋らず、お互いを意識せずに誰かの隣にいることは、意外と気持ちよかった。
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