第35話

「ねえ、新しいリップ買ったの!」

「え、それ、私も欲しいやつ!」

「ほんと?安くなってるところ知ってるから、今日の放課後、一緒に買いに行こうよ!」

 楽しそうな声が、色んな所から聞こえてくるたび、心が黒くなっていく。辛い。

「あ・・・・・・。」

「・・・・・・月野さんだ。」

 あたしが、教室に入ると、静かになるのはやめてほしい。嫌な気持ちになる。

「・・・・・・。」

「・・・・・・あ、そうだ!今日、カラオケ行こうよ!」

「そうだね、いいね!」

 少しの沈黙のあと、誰かがあからさまに声を張り上げると、みんなまたおしゃべりを再開する。なに、これ。

 苦しい。ぜんぶ、原因はあたしだけど。そんなの知ってるけど。

「・・・・・・つら。」

 さっき座ったばかりの席を立って、教室から出て行く。

 こんな風になったのは、元々あたしのせいじゃないよね。なんて他人のせいにして、また自己嫌悪。ああ、疲れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る