第33話
「ねえ、バイトしたいんだけど。」
「なんでだ?」
「美容代ぐらい、自分で稼ぎたいし。」
「そんなの、俺に払わせろよ。それぐらいしかできないんだからさあ。」
分厚いのに形は綺麗な唇を尖らせるとーさんは正直、気持ち悪い。
「五十一歳がすることじゃないし、それ。」
「ははっ、とりあえず、心配する必要はないし、真衣は黙って甘えてくれたらいいんだよ。じゃあ、行ってくる。」
「・・・・・・行ってらっしゃい。」
どたどたと足音を立てて、とーさんが家を出て行く。ばたんとドアが閉まったのを確認してもう一度鏡の中の自分を確認する。
傷んでも明るい茶髪。今日のピアスはシンプルなゴールドのもの。制服は少しだけ着崩す。寒いから、スカートは折らずにタイツを履いてる。
真っ赤な唇と、きらきらのアイシャドウ。少し多めに乗せたのに、派手に見えないのは、とーさん譲りの濃い顔立ちだからだと思う。
「・・・・・・うん、大丈夫。月野真衣になれてる。」
綺麗な顔立ちをしているのに、毒舌。一匹狼。もったいない美女。
それが、みんなが描く月野真衣だ。
本当のあたしがそうじゃないとしても、こんなキャラを作り上げることができたんだから、満足。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます