第25話

「傑。パン買って来てよ。」

「・・・・・・うん、分かった。」

 誰か、引き留めてくれたらいいのに。それか、もっと辛くなることをしてくれたらいいのに。

 こういうの、なんて言うんだろう。生き地獄?ああ、そんな感じだ。死なせてくれないのに、痛ませてくる。

「あ、月野さん。」

「相変わらず綺麗だけど、かっこつけてるよね。」

「友達になりたくないタイプだわ。」

 ぼくの隣を、綺麗な女の人が通り過ぎていく。少し派手な見た目で、けど、ぼくとは違って自信を持っていそう。ああいう人が羨ましい。好きなことを貫けて、幸せだろうなあ。

「早く行かないと。」

岩清水いわしみず!ピアスをいい加減外せ!校則違反だと言っているだろう!その金髪も気持ちが悪い!」

 廊下に怒鳴り声が響いて、うるさかった話し声が消えていく。

 廊下の中心で、身体が大きい男の人と、金髪の髪を揺らす男の人が向かい合っていた。

 ここの生徒指導の先生は、声がうるさくて体も大きいことで有名だ。みんな、あの人に見つからないところで校則を破っている。今怒鳴られている男の人、咲弥くんみたいに目の敵にされない程度に。

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