第23話

「・・・・・・傑。」

「あ、咲夜さくやくん。久しぶりだね。」

「なんで、ここにいるんだよ。」

「お父さんのお見舞いついでだよ。たまには、こっちの家にも帰って来たくて。咲弥くん、学校で全然見ないから、心配してたんだよ。」

「・・・・・・変な顔してるぞ、お前。」

 噛み合わない会話はいつものことだ。咲弥くんは言いたいことばかり言うから、けれど、人の悪口は滅多に言わないから。隣にいたし、隣にいたかった。

「べつに、学校には行ってる。」

「どこにいるの?咲弥くんってC組だよね?ぼく、Ⅾ組だから、会うと思うんだけど・・・・・・。」

「なんで知ってんだよ、お前。」

「咲弥くんはぼくの幼馴染だから。それに、有名人だから。」

「黙れ。」

 綺麗な顔を歪ませて、ぼくを睨む咲弥くん。高校生になった途端、ぼくらには距離ができた。お母さんが死んだ時も、お父さんが倒れた時も、咲弥くんは隣にいてくれたのに。

「ぼくが、平和な世界を望んでる、って言ったから?」

「違う。お前と俺は生きてるとこが違うんだよ。お前みたいな下の奴と一緒にいたくない。」

 幼馴染の言葉はよく傷を抉ると思う。本心じゃないことは分かってる。なのに、どうして傷付くんだろうか。人間って不思議だ。

 本心じゃないと分かるのは、咲弥くんが一瞬だけ、悲しそうな顔をしたから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る