第21話

「あ、傑くん。久しぶりね。お父さんのお見舞い?」

「お久しぶりです、山田さん。父は、どうですか?」

「今は、寝ているわ。昨日は起きていたのよ。傑くんが持って来てくれた小説を楽しそうに読んでいたの。」

「そうですか、なら、よかったです。」

「傑くん。あんまり思い詰めちゃだめよ。おばあさんもいるし、私だってついているわ。」

「・・・・・・失礼します。」

「あ、傑くん・・・・・・。」

 ぼくは、おばあちゃんと二人で暮らしている。家は学校からかなり離れていて、毎日電車に乗って通学している。乗り換えの駅で降りれば、すぐそこに大きな病院がある。

 その病院、桜川総合病院はぼくのお父さんが入院している。

 四人の患者さんが入る大きな部屋は、今はお父さんだけが使っている。この前までは、胃がんになったおじいさんがいた。話し相手にもなってくれて、いい人だったけれど、亡くなってしまった。

「お父さん、来たよ。」

 ぼくの言葉に反応しないお父さんは、ぼくが中学一年生の時とは全く違う。頬はこけて、筋肉がすごかった腕はか細くなった。

「お父さん。おばあちゃんもぼくも心配しているんだ。早く、起きてよ。ぼくを一人にしないで。」

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