第19話

「あ・・・・・・。」

 いつも通り、購買に向かっていると、ぼくよりちょっとだけ背が低い女の子と目が合った。名前とクラスしか知らない。この前、ぼくが勘違いをしてしまって、困らせてしまった人だ。

「こんにちは。」

「あ、こんにちは。」

 教室から出てきた彼女は、それだけ言って、ぼくも行こうとしている方向に歩いて行く。もしかしたら、ストーカーしているって思われるかもしれない。けど、遅すぎたら、あの人が望んでいる焼きそばパンが売り切れるかもしれないし。それで怒られるのはぼくだ。

 別に、あの人はぼくに暴力をふるうわけでもない、暴言だって吐かれたことはない。けど、なんとなく分かるんだ。ぼくを下に見てるんだろう、って。実際、ぼくに友達はいないし、勉強も運動もできない。背だって百六十五しかない。かっこいいわけでもないから、誰がどう見ても、下だ。悔しくてたまらないけれど、何もできない。ぼくはいつだって無能だ。

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