第4章 新たな風を受けて①
4.1 彩乃、編集者としての初めての挑戦
4.1.1 同僚や先輩との出会い
彩乃が初めて足を踏み入れた出版社のオフィスは、期待と緊張が入り混じった空間だった。忙しそうに動き回る社員たち、電話の音、キーボードのカタカタとした音が響く中、彩乃は自分の席に案内されると、まずは深呼吸をひとつ。初めての仕事に対する不安と興奮が入り交じり、手に持っていた書類を少しだけぎゅっと握りしめた。
「はじめまして、高橋彩乃さんですね? ようこそ!」
その声に振り返ると、温かい笑顔を浮かべた女性が立っていた。桐山恵だった。恵は、彩乃よりも少し年上の先輩で、編集部の主任を務めている。落ち着いた髪型に、シンプルながらもおしゃれな服装が印象的だ。彩乃は少し緊張しながらも、彼女の穏やかな表情と柔らかな口調に、どこか安心感を覚えた。
「私は桐山恵。今日はよろしくね。何か不安なことがあれば、遠慮なく言ってね。」
恵の言葉に、彩乃は自然と肩の力が抜けた。彼女の親しみやすさと穏やかな性格に、少しずつ心が温かくなっていくのを感じた。
その後、彩乃は他の同僚たちとも挨拶を交わし、軽く自己紹介を済ませる。皆、それぞれ忙しそうにしていたが、どこかフレンドリーな雰囲気が漂っていた。彩乃が隣のデスクに目を向けると、無表情な男性が黙々とパソコンに向かっている。彼が小田原陽一だった。
「お疲れ様です。新入社員ですね。よろしく。」
小田原は言葉数少なく、淡々と挨拶をした。その冷静な口調と、少し厳しそうな目元が、彩乃には少し威圧的に感じられた。だが、どこか頼りになる雰囲気もあり、彼の存在感は確かだった。
その後、上司から簡単に仕事内容の説明を受け、彩乃は初めての業務を任されることになった。内容は、次号の特集記事に必要な資料の整理と、軽い校正作業。彩乃はその仕事内容に不安を抱えつつも、「できるだけ頑張ろう」と自分を奮い立たせる。
「始めたばかりだから、無理しなくていいからね。私も最初は迷ったけど、少しずつ慣れてきたよ。」
恵の言葉に励まされ、彩乃は少しリラックスした。恵がそばでサポートしてくれることに安心感を覚え、少しずつ自分のペースで作業を進めていく。
「最初は誰でも不安だよ。でも、焦らずに一歩ずつやっていこう。」
恵が言ったその言葉が、彩乃の心にしっかりと響いた。この職場で自分の居場所を見つけるために、少しずつ努力を重ねていこう。彩乃は心の中で決意を新たにし、仕事に取り組み始めた。
4.1.2 初めてのミス
初めての校正作業が終わりを迎えようとしていた日、彩乃はある重大なミスに気づく。特集記事の一部に重要な誤りがあり、それが見逃されていたのだ。最初は、見間違えだろうと自分に言い聞かせ、再確認することもなくそのまま提出してしまった。しかし、同僚がその部分に気づき、すぐに上司から指摘を受けることとなった。
「この部分、明らかな誤りじゃないか。デッドラインに間に合うように直さないと。」
その言葉を聞いた瞬間、彩乃の胸は冷たく締め付けられた。初めての仕事で、しかも重要な部分でのミス。デッドラインは迫っているし、上司に迷惑をかけることになってしまう。自分がやってしまったことの重さに、急に体が震えるのを感じた。
「どうして、こんな大事なところを見逃したんだろう…」
その夜、彩乃はオフィスで一人、反省しながら資料を再確認していた。頭の中で「もっと慎重にやらなければ」と自分を責める声が繰り返される。しかし、その後もミスを直せないことに焦りが募り、心の中で涙が溢れそうになった。
そんな時、桐山恵が声をかけてきた。
「彩乃さん、大丈夫?」
恵は、彩乃が顔を伏せているのを見て、心配そうにその様子を伺っていた。彩乃はその場で感情を抑えきれず、悔しさと申し訳なさから顔を覆ってしまう。
「私は、あなたが犯したミスを最初に見たわけじゃない。でも、これから一緒に解決できるよ。」
恵は、彩乃が落ち込んでいる理由を察して、優しく声をかける。そして、冷静に状況を把握し、彼女に手を貸してくれる。
「まずは、このミスをどこで見逃したのかを一緒に確認して、間に合わせる方法を考えよう。焦らなくていいから、少しずつ直していけば大丈夫。」
恵は、彩乃が必要な修正を進めるために自分の手を貸しながら、校正作業の進め方を教えてくれた。恵の助けを借りて、何とか間に合わせることができたが、彩乃はその間、ずっと自己嫌悪と戦っていた。自分の仕事が原因で、チーム全体に迷惑をかけてしまったと強く感じていた。
作業が終わり、彩乃は深く息をつくと、恵が静かに言った。
「ミスは誰にでもあること。大事なのは、それをどう活かすかだよ。」
恵は、自分が最初に犯したミスについて話してくれた。彼女も新人時代に、大きなミスを経験している。しかし、それを乗り越えて今の自分があると言う恵の言葉は、彩乃の胸にしっかりと刻まれた。
「次からは、どこで見落とすかを意識して作業を進めること。焦らずに、じっくりと確認していく。それが成長への一歩だから。」
恵は、そんなアドバイスを彩乃にくれると、肩を軽く叩いてくれた。その言葉に、彩乃はようやく少しだけ気持ちが楽になった。
その夜、帰り道で彩乃は、心の中で再び誓った。「ミスから学び、次に生かす」。まだまだ成長途中の自分に、恵の言葉が支えとなり、少しずつ前に進んでいけることを信じていた。
4.1.3 社会人としての覚悟
最初の数週間が過ぎ、彩乃は少しずつ自分の成長を感じるようになった。初めは毎日が緊張の連続だったが、日々の仕事に取り組む中で、少しずつそのペースにも慣れてきた。校正作業で一つひとつの細かい部分を丁寧に確認し、編集作業でも精度を高めるために、自分のスキルに対する自信が芽生え始めていた。
「前よりも集中できるようになったな。」と、ある日、編集部の仕事を進めながら、彩乃はふと思った。ミスを犯したこともあったが、その経験を活かし、仕事を進めるスピードも上がってきている。そして、何より以前は感じていた不安が少しずつ薄れていき、自分が確実に前に進んでいるという実感が強くなってきた。
その日、小田原陽一が彩乃に声をかけた。
「彩乃さん、最近は仕事を覚えるペースも悪くないね。焦らず、でも着実に進んでる。いい感じだ。」
小田原は冷静で理論的な人物だが、こうした言葉をかけられることは、彩乃にとって大きな励みとなった。最初の頃は、どこか頼りない自分を感じていたが、少しずつその自信を持てるようになってきた。
さらに、恵からも声をかけられた。
「彩乃さん、あなたならできるよ。最初は誰でも不安だし、仕事に慣れるのは時間がかかる。でも、あなたにはその力がある。自分を信じて、もっと挑戦してみて。」
恵の言葉は、彩乃の心に深く響いた。恵が見守ってくれること、そして自分が少しずつ進歩していることに対する実感が、彩乃にさらなる勇気を与えた。
「最初の頃は本当に不安だったけれど、今はこの仕事を通じて自分を証明したいと思えるようになった。編集者として、この道を進んでいく決意が固まった。」と、彩乃は心の中で強く誓った。
社会人としての責任感が、彩乃の中で芽生えた。それは、自分の成長に対する誇りでもあり、今後の仕事に対する覚悟でもあった。以前感じていた不安や恐れは、確実に後ろへと押しやられていき、代わりに新たな意欲が湧いてきた。
次に任される仕事には、もっと難しい課題が待っているだろう。それでも、彩乃はもう不安ではない。自分の力を信じ、次のステップへと進んでいく決意を胸に、彩乃はこれからも編集者として、社会人としての一歩を踏み出していくのであった。
4.2 さらなる学びと挑戦
4.2.1 新しい出会い
大学院に進学して数ヶ月が経ったある日、真奈は心理学のセミナーに参加していた。その日は、臨床心理学に関する重要な議論が交わされる予定で、真奈も期待と不安が入り混じった気持ちで会場に足を運んだ。
セミナーが始まり、教授が進行を始めると、自然と参加者たちも活発に意見を交換し始めた。その中で、ひときわ目立つ存在がいた。それが美玖だった。彼女は冷静かつ理論的な思考を持ち、複雑な問題についても一歩引いて冷静に分析する能力に優れていた。美玖が発言を重ねるたびに、真奈はその落ち着きと知識の深さに圧倒されると同時に、強く引き寄せられていった。
「なるほど、そういう視点もあるのか」と、真奈は心の中で感心した。彼女が話す内容は、これまでの真奈には思いつかないような視点が多く、それが新鮮で、同時にとても印象的だった。美玖の理論的なアプローチは、真奈が抱えていた不安や疑問を、まるで解きほぐすかのように整理してくれる感覚があった。
セミナーが終わり、真奈は思い切って美玖に話しかけた。「初めてお見かけしましたが、とても理論的で分かりやすかったです。もっとお話を聞きたくて…」と言葉をかけると、美玖はにっこりと微笑み、心地よい声で答えた。「ありがとうございます。私もあなたの意見に共感できましたよ。今度、ランチでもどうですか?」
こうして、真奈と美玖の関係が始まった。ランチを共にしながら、お互いに自己紹介をする中で、美玖が持つ深い背景が少しずつ明かされていった。美玖は、家庭環境に困難を抱えて育ち、人間関係の難しさや心理的な苦悩に触れてきたという。その経験が、今の彼女の心理学への強い興味と情熱を形作っていることを知った真奈は、次第に彼女に対して深い尊敬の念を抱くようになった。
「実は、私は家族との関係でいろいろと難しさを感じてきたんです。それがあったからこそ、人々の心の痛みや葛藤に対してもっと理解を深めたくて、臨床心理士を目指しているんです」と美玖は語った。その言葉に真奈は驚き、また自分も共感できる部分があった。家庭の問題に苦しんだ経験を持ちながらも、それを乗り越えて他者の力になりたいという彼女の思いに、真奈も心を打たれた。
美玖のアプローチは、常に理論を基にしつつ、実際の臨床現場での応用を大切にするもので、真奈はその姿勢をとても刺激的だと感じた。「理論だけでなく、実際にどのように使うかが大事なんだ」と美玖が言った言葉は、真奈に新たな視点を与え、彼女の学びをさらに深めるきっかけとなった。
やがて二人は、セミナー後にもランチを共にすることが増え、お互いの考えや悩みを交換し合うようになった。美玖は冷静で理論的だが、感受性が高く、他者の感情に対しても深く寄り添うことができる人物だった。そんな彼女に、真奈は次第に強い信頼を寄せるようになり、心から打ち明けることができるようになった。
美玖はまた、無理に自分の考えを押し付けることはなく、相手を尊重し、学び合う姿勢を大切にしていた。真奈にとって、そんな美玖は、まさに理論と感情、そして実践をうまくバランスさせるための手本であり、心強い仲間となった。
4.2.2 新しい実習の始まり
真奈が新しい実習先での研修を始めて数日が経った。これまでの実習とは異なり、今回はより深刻なケースに関わることが求められていた。実習先は中規模の心理相談センターで、訪れる患者は多岐にわたる問題を抱えている。
初日から指導担当の心理士に案内されながら、真奈はセンターの雰囲気を肌で感じていた。待合室には静かに座る人々、受付で緊張した様子の患者、時折響く電話の声——すべてが、これまでの大学の講義やシミュレーションとは違う「現場の空気」を持っていた。
「今日から、君には加藤さんのケースを担当してもらうことになる」
指導担当の心理士が手渡したカルテには、**加藤 高志(かとう たかし)**と書かれていた。年齢は40代後半。仕事のストレスと家庭の問題を抱え、精神的に追い詰められている。カルテの内容をざっと読むと、長年の過度なストレスが積み重なり、自己肯定感の低下や不安障害の症状が出ていることが記されていた。さらに、過去のトラウマが影響しており、それが現在の心理状態に大きく関与している可能性が高い、とも書かれている。
「加藤さんは、最初はなかなか心を開かないかもしれない。でも、焦らずにじっくり関わっていくことが大切だ」
指導担当の心理士の言葉を受けて、真奈は改めて気を引き締めた。これまでの実習で関わったケースとは違い、今回の患者はより複雑な背景を持ち、簡単に信頼関係を築ける相手ではない。だが、それこそが自分の成長につながる挑戦なのだと感じていた。
初めての面談の日、加藤は静かに診察室へ入ってきた。長身だが、少し猫背気味で、どこか疲れた様子をしている。目の下には薄いクマがあり、表情には警戒心が見え隠れしていた。
「加藤さん、今日はお時間をいただきありがとうございます。私は臨床心理の研修生の島崎真奈といいます。よろしくお願いします」
真奈はできるだけ落ち着いた声で挨拶した。加藤は軽く会釈をしたものの、視線は机の上をさまよっている。
「……よろしく」
その声は低く、消え入りそうだった。
最初のうちは、加藤はほとんど話をしなかった。真奈が質問をしても、返ってくるのは短い答えか、あるいは沈黙。その沈黙を埋めようと真奈が焦れば焦るほど、加藤はますます口を閉ざしてしまうようだった。
(どうしたらいいんだろう——)
心の中で焦りを感じながらも、真奈は深呼吸をし、これまで学んできたことを思い出した。「無理に話をさせようとしないこと」「患者のペースに合わせること」「まずは安心感を持ってもらうこと」。
「……お仕事、大変そうですね」
ぽつりと真奈が言った。その言葉に、加藤の指がわずかに動いた。
「……まあ」
たった一言だったが、それまでの沈黙よりもずっと意味のある返答だったように感じた。
「よかったら、どんなお仕事をされているのか、少しお聞かせいただけますか?」
加藤はしばらく黙っていたが、やがてぽつぽつと話し始めた。大手企業に勤める管理職で、部下の指導や業績のプレッシャーに日々追われていること。家では家族ともうまくコミュニケーションが取れず、自分の居場所を見失っているように感じること——。
加藤の言葉は断片的で、ときどき途切れた。しかし、彼が少しずつ言葉を紡いでいく様子に、真奈は耳を傾け続けた。そして、加藤の語る内容の端々に「自分の存在意義への疑問」や「他者との距離感の難しさ」が浮かび上がっていることに気づいた。
「……結局、俺なんかがどれだけ頑張っても、何も変わらないんですよ」
加藤はため息をつきながら呟いた。
その言葉に、真奈は胸が痛くなった。彼が長年積み重ねてきた苦しみの重さが、たった一言に凝縮されているように感じた。
「そんなことはないですよ」と、安易に言ってはいけない。真奈はそう思った。
「加藤さんが、頑張ってこられたこと、少しずつでもお話を聞かせていただけませんか?」
加藤はしばらく沈黙したあと、小さく頷いた。その日、彼が多くを語ることはなかったが、それでも最初の一歩としては十分だった。
加藤との面談を終えたあと、真奈は実習記録をつけながら深く考え込んだ。
(心を開くことって、こんなに難しいんだ——)
これまでの実習では、比較的話しやすい患者と関わることが多かった。しかし、加藤のように自己表現が苦手で、長年の苦しみを抱えた人と向き合うことの難しさを、今日改めて痛感した。
だが同時に、「信頼関係を築く」ということの本当の意味も少し見えた気がした。加藤はすぐには心を開かない。それは当然のことだ。しかし、彼がわずかでも言葉を発し、自分と向き合おうとしてくれたこと。それ自体が、大きな一歩なのではないかと思えた。
「焦らないこと。相手のペースを尊重すること」
真奈は自分にそう言い聞かせた。そして、次の面談ではどのように加藤との距離を縮めるかを考えながら、実習ノートにゆっくりと筆を走らせた。
4.2.3 前進する真奈
加藤とのセッションを重ねるうちに、真奈は少しずつ変化を感じるようになっていた。
最初の頃は、加藤の言葉がどこか遠くに感じられ、何を言えばいいのか戸惑うことが多かった。しかし、回を重ねるうちに、彼の些細な表情の変化や、言葉の選び方に注意を向けられるようになった。そして、彼の沈黙の裏にある思いや、言葉にならない感情をくみ取ろうとする自分がいることに気づいた。
ある日のセッションの終わり、加藤がふとこんなことを言った。
「……話すことが、少し怖くなくなった気がします」
それは、真奈にとって大きな意味を持つ言葉だった。
「そう思えたこと、とても大事ですね」
自分の言葉が、誰かにとって意味を持つかもしれない。そう実感できる瞬間があるからこそ、この仕事を続けていきたいと思えるのかもしれない——そんな風に、真奈は感じ始めていた。
実習後、美玖と大学のラウンジで落ち合った。
「最近どう?」
コーヒーを片手に、美玖が問いかける。
「……少しずつ、できることが増えてきた気がします。でも、やっぱり難しいです。相手の気持ちを引き出すのって」
真奈がそう言うと、美玖は少し考えてから口を開いた。
「うん、難しいよ。でも、無理に引き出そうとする必要はないんじゃない?」
「え?」
「大事なのは、相手が話せるときに、話せるような環境を作ること。こっちが引き出そうとしなくても、話せる準備ができたら、自然と話してくれるものだよ」
その言葉に、真奈はハッとした。
(そうか……今まで私は、“話してもらわなきゃ”って思ってたのかもしれない。でも、本当に必要なのは、話せる場を作ること……)
美玖の助言は、真奈にとって新たな視点をもたらした。患者が「話せる状態」になるまで待つこと。それもまた、心理士として大切な役割なのかもしれない。
しかし、少しずつ手応えを感じるようになった一方で、真奈の中には新たな不安も芽生えていた。
(私は、本当にこの仕事を続けていけるのかな……?)
患者と向き合うたびに、自分の未熟さを痛感する。言葉の選び方ひとつで、相手の心の扉を開けることもあれば、逆に閉ざしてしまうこともある。その責任の重さに、プレッシャーを感じることが増えていた。
そんな真奈の様子を察したのか、美玖がぽつりと言った。
「ねえ、真奈ちゃんはさ、どうして心理士になりたいって思ったの?」
「え?」
「自信がなくなることもあるし、怖くなることもある。でも、それ以上に”なりたい”って思った理由があれば、それが支えになるんじゃないかなって」
真奈はしばらく考えてから、ゆっくりと口を開いた。
「……誰かの力になりたいって思ったから、かな」
それが、真奈の根本にある気持ちだった。
「だったら、焦らなくていいんじゃない? その気持ちがあるなら、迷っても大丈夫。ちゃんと前に進めるよ」
美玖の言葉は、不思議と真奈の心を軽くしてくれた。
加藤とのセッション、美玖との対話——それらを通して、真奈は少しずつ自分の中の軸が定まっていくのを感じていた。
「私、きっとこの道を進んでいくんだろうな……」
もちろん、まだ迷うこともあるだろうし、これからも壁にぶつかることはある。でも、そんな時に立ち止まってもいい。そう思えるようになったことが、何よりの成長かもしれない。
真奈は静かに深呼吸をした。
そして、また次の一歩を踏み出した。
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