第38話

うそ泣きで我が儘を通そうだなんて……透、お前一体何歳だよ……


男だろ、うそ泣きでも気持ち悪い……




引いた目で彼を見るが、透は泣き止まない。


俳優並みの演技力で次から次へと涙を作り、俺を見つめる。




「外は嫌だ……だって、怜のカットの方が俺のイメージと合うし……」


「……」


「それに、ずっと怜に切ってもらったから、他の奴だと気持ち悪いんだよ……」


「……」


「だから怜がいいのに……怜は嫌だって怒鳴る……」


「……」


「俺はっ……怜じゃなきゃ嫌なんだよ……!怜の指じゃなきゃ、テクじゃなきゃ嫌なんだよ……っ」


「……」


「怜、俺は……っ」


「……ああああ、もう!ウザいなお前は!!」

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