第36話

なのに、この頑固なリーダーは、




「前髪だけでいいから!いつもみたいに切ってくれよ!」


「いつもみたいに……俺はいつも言ってるよな?今回が最後だ、次はないぞって!」


「でもそう言いながらいつも切ってくれるし!」


「お前がしつこいからだ!だがもう切らない!俺はもう切らないからな!諦めろ!」




思いっきり顔を歪めてそう言い放った俺。


すると透はそこで初めて口を閉じ、悲しそうな表情を浮かべた。




「……怜のカットがいいのに……そんなにダメなのか……?俺のこと、嫌いなのか……?」




妙に寂しげに、悲しげにそう呟いて。


透の目がじわり、と潤み始めた。

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