第31話

もっと正確に言うと、コイツのノックのせいで起こされた。


透だってこんな時間、普段ならまだ寝ている筈だ。




寝起きで少し機嫌が悪い俺は、パジャマ姿である透を睨む。





「は?なんでこんな朝早くから」


「綾乃に会う前にちゃんとしておかないと、って思って」




真顔でそう言った透。




ああ、頭が痛い。


思わず額を押さえて目を瞑る俺。


真剣なところが面倒くさい。お前の前髪が少し長かろうが、その整った顔は隠しきれないし、あの馬鹿奴隷はそこまでお前を見ていない。





「頼む、怜」





どうやって追い返そう、と考えている俺の前で、透が切ない声で言う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る