第30話

……趣味でやっていることが、いつの間にか仕事になっていることはたまにある。




でも俺は違う。趣味は趣味であり、決してそれが仕事になることはない。


だが、周りの人間にとって、俺の趣味は「仕事」だった。




だから今日も、俺の部屋のドアをノックし、しれっと言うのだ。





「怜、前髪伸びたから切ってくれ」





艶やかな黒髪に、女みたいに白い肌を持つ美青年。


切れ長の目は鋭くて冷たい印象を与えるのに、本人の性格はどっちかっていうとマイペース。





俺たちのリーダー。


誘拐団のリーダー。




そう、同い年でありリーダーでもある霧島透が、俺を見つめてそう言ったのだ。


ちなみに時刻は朝の六時。まだ朝御飯も食べてないし、言っておくけどさっきまで寝てた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る