第24話

小首を傾げて聞いた綾乃。


それを聞いて脱力する俺。



……そうだった、綾乃は正直に告げても気付かない鈍感だった……




前に何度かあったことだ。


今さらショックは受けないが、悲しいとは感じる。




俺は無言で首を横に振ると、椅子に座った。


それを見た綾乃は、俺の朝食の準備を始める。




エプロン姿で料理をする彼女の後ろ姿を眺めながら、俺は思った。





……すごく、幸せだ。


こんな可愛い女の子が、俺のために料理を作ってくれている……


まるで、まるで……新婚……




そこまで思って、俺は自分の頬っぺたを強く捻った。


そして激痛で意識を現実に戻す。




落ち着け、落ち着け。


彼女は仕事で作ってくれているだけだ。勘違いしてはいけない。

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